決死の作戦
ミヨモのホーリーバーストにより致命傷を負わせ魔王デスマスターを打ち破ることに成功したかに見えたが、傷口より魔力が暴走して魔の国をも巻き込みかねない程の魔力を発するというのだ。止める術がなく誰もが絶望に打ちひしがれる中。ニラダはまだ魔力を抑えることが可能だと言い放つ。
「何だっていうんだ?ニラダ、奴を止める方法がまだあるだって⁉」
「ああ、1つだけだけどね」
「それでどうするの?」
「マジックバリアを使う、奴の魔法の威力を抑え込むんだ」
ニラダはデスマスターを抑え込む手段として補助魔法のマジックバリアを使うことを思いつき、それを一同に告げるが、ティアからは反対の意見が出る。
「マジックバリアを使うですって?無理よ⁉デスマスターの暴走した魔法は常軌を逸しているわ、それに私達だけに使っても外にいるメアリア様たちは……」
「それは大丈夫だマジックバリアは俺達にだけじゃなく、奴に、デスマスターにも使う!」
「え?それって……」
デスマスターにも補助魔法であるマジックバリアを使う事を告げ、ティアはその発言に戸惑ったがガンディーはニラダの狙いを察し、言葉を発する。
「そうか!奴を今マジックバリアで包み込んでその魔法を抑え込んで威力を軽減させるって事だな」
「ああ、デスマスターは魔王であるがゆえに元々の魔力耐性は高い、バリアは本人の能力に比例して強化されるからね」
「なるほど、それだけ高い魔力耐性を利用して、奴だけを自爆に追い込むんだな、考えたなニラダ」
「ああ、だけど……」
マジックバリアは魔力耐性をバリアによって強化する魔法である、ゆえに元の魔力耐性が高いとその耐性に応じてバリアも強化されるのだ、この状況で活用すればバリア内で魔法が誘爆し、デスマスターのみが自爆するとジャンは読んだが、ニラダは何かを言いよどんでいた。
「だが、補助魔法は接近してかけないと効果が出ない、ニラダは今から決死の覚悟でこの行動に臨まなくちゃいけない、そうだな」
「ああ、そして奴の暴走魔法がどれほどの破壊力になるかは想像できない、完全に抑え込める保証はない、だから、みんなにはマジックバリアをかける。そして、先にここから離れてくれ」
「え⁉ニラダ君、それってニラダ君だけをおいて逃げろって事?」
「ああ、もう時間がない、すぐに作戦を実行しなければ俺達だけじゃなくカイルさん達まで……」
もう時間に猶予はなく、ニラダは1人残ってデスマスターを抑えることを告げるとミヨモがその事に返事をする。
「……分かった、でもニラダ君も必ず帰ってきてね。約束だよ」
「ミヨモ、ああ……」
「お前らとっとと行け、俺も念の為にニラダをサポートする」
「お願いします」
「気をつけろよ」
ニラダはミヨモ達に補助魔法をかけてその場を離れるとニラダはガンディーとともに残り、いよいよ決死の作戦を実行する。




