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もう1つの目、耳

障壁を解いたわずかな隙を突き、ミヨモの魔法はテリソンをたじろがせることに成功する。だがそれでもなおテリソンは倒れずにいて、ミヨモに言葉をぶつける。


「確かに少々、ダメージを受けたがその程度の魔法で我を倒す事はできぬぞ」

「まだまだ、私達の力はこんなもんじゃないし、あなたをこっから先には行かせない」

「そうね、まだまだ行くわよ」

「散らしてくれる」


 ミヨモ達魔法使いは再度テリソンに魔法を放つが今度は魔力障壁を張らず、自身の魔法でミヨモ達の魔法を相殺し、攻撃を防ぐ。


「ふっふっふっ!」

「魔力障壁などなくとも貴様らごときの魔法など叩き潰してくれる」


 ミヨモはもちろん強力な魔法を放ち、テリソンを滅する事も考えてはいたが街中での魔法は被害を大きく生む恐れがあり、放てないでいた。だけど、自分の魔法は牽制さえすればニラダがホープブレードで倒してくれると信じてもいるからこその決断でもあった。


「ニラダ!ミヨモ達が牽制してくれているからどうにかしてテリソンに近づくぞ!」

「ああ、強化したホープブレードなら奴を倒せるはずだ」

「もう俺達もそんな強力な武器はねえからお前に賭けるしかねえけど、勝算はあるのか?」


 冒険者達はホープブレードの切れ味や威力は疑っていないものの、勝算があるのか気になり、ニラダに問うがニラダに代わってジャンが返答をする。


「あるぜ!なんせこいつは拳を強化しただけであのギガングを追い払ったんだからな」

「ジャン!」

「何だって⁉チクショー!悔しいがやっぱお前に賭けるしかねえようだな!」

「ニラダ!絶対に奴を逃がすなよ!」


 ジャンがかつて補助魔法の重ね掛けとはいえギガングを追い払った事を話すと、その事実に冒険者達は湧き立ち、ニラダに激励の言葉を投げかける。


「だけどそれにはみんなのフォローも必要だ、防御魔法をかけるぞ、プロテクト!」

「よし、これで少しは安心だ、みんな俺が先頭に立つからついて来いよ!」

「何言ってんだ?お前は明らかに前衛の中じゃ軟弱な方じゃねえか」

「前面は俺達に任せろ、お前はニラダをそばでフォローしてくれ」

「みんなの言う通りだ、ジャン、俺は補助魔法と気功スキルの重ね掛けでかなり集中するからジャンには俺のもう1つの目であり耳でいて欲しい」

「ニラダ、分かった!お前が喰らわねえようにしっかりフォローするぜ!」

「頼んだぞジャン!みんなも頼む!」


 ミヨモ達がテリソンの動きに制限をかけている中、遂にニラダが動き出す!

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