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正規軍と冒険者

 冒険者パーティーのリーダー同士との話し合いの結果、調査部隊の希望パーティーはニラダ達『成長しあう者達』だけであり、それをギルド職員であるアービットが兵団長であるガードに伝えに行っている間、作戦室で待っている間にカイルがニラダに声をかける。


「反対していた私が言うのもなんだが、結果的にはこれで良かったのかもしれないな」

「ん?どういうことですか?」

「他のパーティーが全て防衛希望で、もし私達も防衛希望を言っていたら全パーティーが防衛希望という事になっていたからね」

「そうか、でもそれはそれでこの街の防衛力は増していましたね」


 ニラダはカイルの言葉を聞いて全パーティーが防衛希望をしていたら街の防衛力は増すと言っていたが、カイルが話したい事は違うようだ。


「いや、多分だがこの場合、冒険者パーティーからも1組は調査部隊を出すよう要請があったかもな」

「まさか……」

「あの兵団長は冒険者特有のいわば機動性の高さは外でこそ真価を発揮すると考えても不思議ではないからね」

「でも指揮下にはいれないと言ってましたし、防衛希望ばかりじゃあそうはしなかったんじゃ?」


 指揮下には入れないとガードが言っていた事で仮に全パーティーが防衛希望でもさすがに1パーティーを調査部隊には要請しないんじゃないかとニラダは話すが、カイルはそれについて自分の考えを話す。


「ニラダ君、彼らはギルド、ひいてはカーリソンギルド長が領主との結びつきがあるからああ言っているだけで、正規軍からすれば我々は傭兵と変わらないと思った方がいい」

「でも今は魔王軍の幹部との戦いですよ」

「だからだ、命令はしなくとも作戦から大きく外れたという事は十分にあり得た」

「なあ、さすがに全員防衛は極端な例だけど、俺はあのおっさんは信用できると思うぜ」

「何故そう思う?」

「確かな根拠があるわけじゃねえが、俺は元々盗賊専門の盗賊をやっていたし、あくどいやつを見分ける自信はある。あのおっさんが俺達を使いつぶすつもりならもう少しやりようもあるはずだが、あくまでも俺達には作戦範囲内なら相当な裁量権をくれていると思うぜ」

「ええ、作戦の為かもしれませんが、私達冒険者が動きやすくしてくださっているとは思います」

「まあ結果的に俺達の言い分が通りそうだし、あんたも正規軍だ、冒険者だあって難しく考え過ぎなくてもいいんじゃないのか?」

「……そうだね、もしもの話をしても仕方なかったな調査をしっかりするだけだな」


 正規軍はいざとなれば冒険者を傭兵扱いするのではと口にしたカイルであったが、彼の真意はどこにあるのか?

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