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報酬の上乗せ

 Aランク冒険者カイルとギルドで知り合った、ニラダ達は互いに遭遇した事のある魔王軍の幹部である魔物についての情報交換をする事となり、まずニラダ達がクロスマウンテンで遭遇したハイ・デュラハンのギガングとの戦闘についての話し合いを行い、続けてカイルが自分が追っているという魔王軍の幹部である闇魔導士について語りだす。


「私が追っているかつての魔王軍の幹部であった魔物は闇魔導士のズームだ」

「闇魔導士ズーム、どんな奴なんですか?」

「ズームは闇魔導士というだけあって、厄介な魔法を使う、君達同様クエスト中に遭遇したがあと一歩のところで逃がしてしまったな」

「だけど、カイルさんはさすがにAランク冒険者だけあって、それ程の魔物を追い詰めるなんてさすがですね」


 ニラダはカイルが魔王軍の幹部を追い詰めた事に感心していたが、次の瞬間カイルは悔しそうな表情を見せながら話の続きをする。


「いや、協力してくれた者達がいて、彼らの魔法もあっての事だ、だが彼らはそのクエスト中にズームの手で犠牲となってしまった」

「そ、そうだったんですか……」

「彼らが作ってくれた隙を活かせず逃がしたのは私の落ち度だ、だからズーム、奴はこの手で倒さねばならぬ」


 悔しそうな表情のカイルを見て、ニラダも自分や仲間の犠牲があったかもしれないと考え、カイルにかける言葉が見つからないでいた。


「おっと、すまんな暗い話をしてしまって」

「いえ、冒険者にとっては危険は隣りあわせですから、むしろカイルさんのお話は俺達にとっても身が引き締まる思いです」

「そうだな彼らの犠牲を無駄にしない為にも、どうにかしてズームの情報、それから君達がクロスマウンテンから追い払ったギガングについても確かめなければな」


 ニラダ達とカイルが話していると受付嬢の1人がニラダ達に接近し、声をかける。


「あの、『成長しあう者達』の皆様、報酬の受け渡しがまだでしたので、受付に来ていただけますか?」

「あ!そうだった!すいません、それじゃあカイルさん、また何か分かれば情報交換しましょう」

「ああ、当分はこの街にいるつもりだし、何かあれば遠慮なく声をかけてくれたまえ」


 そう言うとカイルはギルドをあとにし、ニラダ達は受付で報酬を受け取るがある違和感がありニラダは受付嬢に尋ねる。


「あの、報酬が思ったより多いんですが、どうしてですか?」

「今回、皆様は手配魔物のギガングをクロスマウンテンから追い払ったとして、その分を上乗せしておきました」


 ギガングをクロスマウンテンから追い払った事で、報酬を上乗せされたニラダ達、だがまだ本当の意味で脅威は去っていない!

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