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異世界えぶりでい ―王国兵士の成り上がり―  作者: バージョンF
序章 どうも新人警備兵のヨハンです
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2話 初めてのステータス




 というわけで戻ってまいりましたマイルーム。


「はぁー、やっぱ自分の部屋は落ち着きますわー」


 たった四畳一間の小さな部屋だが、自分専用の部屋があるというのはいいものだ。


 全裸でブリッジしていても、全裸でヘビーローテーションしてても、誰にも何にも言われない。だってここは俺の部屋なのだから。


「こればかりは警備兵になって良かったな」


 俺の実家は平屋1DKのため、個々の部屋なんてものは存在しない。これがこの国の一般市民クオリティ。複数階層の家に住めるなんて、貴族か金を持っている商人くらいである。俺たち一般市民には到底住めるものではない。


 そんな小さな家に俺、両親、妹の4人家族で住んでいるのだ。プライベートなど皆無である。


「食堂、トイレ、風呂は共同だけど個室を貰えるのはほんとありがたいよなー」


 さて、せっかく安静という名の休みをもらったことだし、まずは自分の能力でも確認するかな。


「では、ごほん。――ステータスオープン」



▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽


・名前:ヨハン

・種族:ヒューマン

・年齢:16

・職業:見習い兵士

・LV:5

・SP:510


〔発現スキル一覧〕

《アクティブ身体強化一覧》

・筋力強化     練度【0】

・体力強化     練度【1】

・反応強化     練度【0】

・才覚強化     練度【0】

・魔力強化     練度【0】

・精神強化     練度【0】


《流派スキル一覧》

☆アルフェリア王国流護身術

・護身剣術     練度【0】

・護身体術     練度【0】 


《魔法系スキル一覧》

・初級回復魔法   練度【0】 NEW!


《魔法補助系スキル一覧》

・体内魔力操作   練度【0】 NEW!

・術式制御     練度【0】 NEW!


《加護一覧》

・ガイアードの祝福


▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽



「うわー、雑っ魚! 十六年も生きて取得できたスキルが体力強化だけってヤバすぎだろ俺? センスゼロじゃん! まじでスキルポイント制にしてもらって良かった」


 転生前、じーさん(神様)からこの世界のことを聞いたが、剣と魔法の世界だというのに、レベルの概念やステータス制度がないと言う。スキルや魔法といったものは、こつこつ修練して取得していくか、専門の学校及び道場などに通わなければならない。もちろん相応の知識を得るためには、それに応じた対価も必要となる。なんと世知辛い世界。


「こういったスキルや魔法があるくせに変なところはリアルなんだよなー。俺のような才能ない者ほど生き辛いじゃないか。といってもそれは日本も同じか」


 だから作ってもらった、ステータス。


 だから作ってもらったSP(スキルポイント)システム。

 

 じーさんはかなり渋っていたが、そこは過失の追求で事なきをえた。ありがたし神様ギフト。


 でもこれにも少し制約がある。


 新たなスキルや魔法資質の発現についてだが、まずは自分自身で一度体験する必要があるのだ。


 つまり師匠を作り教えを請えということだ。


 もしくは相手のスキルや魔法を受けることで、スキルが発現することもあるらしい。


 ナタリーさんが使った回復魔法が良い例だ。


 しかしスキルの発現はランダムとなるため、上記の方法でスキルを取得する場合は、かなり高い運要素が必要となる。


 まぁ、発現したらラッキー程度に考えておこう。


「さてスキルの割り振りをどうしようかな? じーさんからたっぷりSP(スキルポイント)を貰ったことだし、とりあえずオール5づつ振ってみるか? まずは試してガッテン!」 


 ステータス画面に表示されている【練度】なる数字を思念で操作可能なようなので、まずはSPを5づつ振ってみた。



▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽


・名前:ヨハン

・種族:ヒューマン

・年齢:16

・職業:見習い兵士

・LV:5

・SP:455


〔発現スキル一覧〕

《アクティブ身体強化一覧》

・筋力強化     練度【5】

・体力強化     練度【6】

・反応強化     練度【5】

・才覚強化     練度【5】

・魔力強化     練度【5】

・精神強化     練度【5】


《流派スキル一覧》

☆アルフェリア王国流護身術

・護身剣術     練度【5】

・護身体術     練度【5】 


《魔法系スキル一覧》

・初級回復魔法   練度【5】


《魔法補助系スキル一覧》

・体内魔力操作   練度【5】

・術式制御     練度【5】


《加護一覧》

・ガイア―ドの祝福


▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽



 すると何かティンっときた。


 頭のてっぺんから足の指先まで、稲妻のような何かが駆け巡る感じ。それと同時に頭の中に浮き上がってくる様々な知識や情報。


 ぬお、これは凄い!


「なるほど。……これがスキル(・・・)か」


 今までただ漠然としていたものが、確信に変わった瞬間だった。スキルを理解したことで、その使い方もお手の物。


 試しにアクティブ身体強化、つまり能力バフをフル発動。


 ブォンという擬音が脳内補完される。


 結果、身体の内側から恐ろしいほどの膂力が込み上げた。


「おお、凄まじいな。これなら俺でもオークくらいは簡単に倒せそうだ。やっぱり能力バフって大事なんだな」


 生来のもやしである俺は、お世辞にも運動神経が良いとは言えない。だから練度1の体力強化を使っても、その上昇率は雀の涙ほどしかなかったりする。それなのに練度をたった5上げただけでこれなのだ。


 もう倍プッシュしたら……。


 いや、今日はやめておこう。急激な身体強化バフに身体がついていかないかもしれない。下手こいて致命的な怪我をしても困るし。うん、まずはこれで慣らしてからにしよう。


 あー、でもなんだろうなー。


 あれだけ嫌だった警邏(けいら)隊の戦闘訓練も、今は期待に満ちている。むしろ早くやりたいくらだ。


「きっとこれなら教官の指導にも余裕で耐えられるぞ」


 おっと、これは失言だったか?


 よくないフラグが立たなければ良いが。


「さーて、それじゃあ残りのスキルの確認でもしようか」


 ナタリーさんのおかげで回復魔法の資質も取れたことだし。ありがてぇ、ありがてぇ。


 そんなこんなでその日は過ぎていった。



◇◆◇



 そして翌日。


 時刻は朝の七時、空は雲一つない快晴。


 まるで俺の新たなる門出を祝福するような、それはもう清々しい朝だった。


 俺はルンルンといつものように身支度を整えていく。


 支給された新人兵士用のレザーメイルを身にまとい、腰の剣帯には刃渡り八十センチほどの両刃の片手剣を装備する。


 どちらも国指定の大量生産品のため、お世辞にも良い物とは言えない。剣なんて一回使ったら刃こぼれを起こし、もう斬れないんじゃないかと思うほどの低品質である。毎日のお手入れが欠かせない。まだ武器屋のセール籠に入っている中古品の方がマシ。


 でも俺たち新人警備兵の主な仕事はパトロールや、取り調べ、地域住民の御用聞きといった、いわばお巡りさん的なポジションだ。なので戦闘があったとしても、訓練でモンスターを少し倒すくらいである。


 仮に市内で戦闘があったとしても、その時は警邏隊の上位部隊である衛兵隊、もしくは王国騎士団へ出動要請するのが、俺たちの主な任務と言える。むしろ下っ端は足手まといだから下がっていろ感が強いのだ。


 だから先日のようなケースは非常に稀とも言える。ほんとついてなかった。あんなん新人にはハードル高すぎるって。見事に地雷を踏み抜いたよ。俺たち新人よりもそこいらの冒険者の方がよっぽど強いからね。


「しかーし!! 今日からの俺はもう昨日までの俺ではない!」


 同じ外見でも、もはや中身は別物。


 1986年製のカローラレビンに、最新のGR86のエンジンを搭載しているようなもの。


 出力が雲泥の差。


 うははは!


 もはや普通のハチロクではないのだよ、ハチロクでは。


 鼻歌交じりに鏡を見ながら、トレードマークともいえる黒髪をセットし、頬を軽くパンパンと三回ほど叩いて気合を入れる。


「あー、今更だけど転生するなら条件にイケメンにしてほしいって言っておけば良かったなー」


 良くも悪くも俺の顔は平ぺったいアジア人顔。両親と妹はがっつりヨーロッパ仕様なのに、なぜ俺だけアジア仕様?


 もうね、これ俺が捨て子だった説濃厚ですわ。


 白鳥からカラスが生まれるかっつーの!


 でも両親が何も言わないから俺も何も突っ込まない。仮にそうだとしてもちゃんと親からの愛情は感じてるから特に問題はなし。ここまで育ててくれた両親にはほんと感謝である。


「さて、んじゃそろそろ詰所に向かうとするかな」


 そして兵舎を後にして、王都東門近くにある警邏隊詰所まで颯爽と歩いて行く。


 石畳みがきっちりと敷かれた王都の街並みは大変見栄え良く、その大通りも老若男女さまざまな種族の人たちでごった返していた。


 特にここアルフェリア王国の王都アウストラではエルフや獣人といった亜人種が多い。彼らの作るアクセサリーや革細工といった郷土品が王都では人気のため、そこいらの町で売るよりも遥かに良い値が付くのだ。わざわざ何日もかけて馬車を乗り継ぎ、王都までやって来ても元がとれるという。そのため彼らを狙った犯罪が多いのも然り。


 俺たち王国警邏隊に持ち込まれる相談の約半数が、彼らからの窃盗被害の相談なのである。


 王都の治安は近隣の街に比べて良いといっても、それはこの世界の基準であって、現代日本であれば夜の外出禁止令が布かれるレベルだ。俺からすれば物騒なこと極まりなし。


「それでも今日は平穏に過ごせるといいな」


 そんな甘い考えなどすぐに吹き飛ばされることなどつゆ知らず、俺は詰所を目指して歩いて行った。





【後書き】


読んでくださいましてありがとうございます。

本日はここまでです。

更新はゆっくりとなります。

気長にお待ちください。

ある程度書き溜めて更新していきますゆえ、よろしくお願い致します。

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