No.8 先天性無痛無汗症
資料を確認していると、メールにシェイシェイから送られた例の個体のレントゲン画像を発見する。
「……シェイシェイ。そういえば、例の非翔種はどうでした?」
「あぁ〜……元気ねぇーあの子! 栄養状態が良くなかったから点滴しようと思ったら、ぴょこぴょこ逃げ出して捕まえるの苦労したネ!」
「ああ……」
車椅子に乗ったシェイシェイと白衣集団たちが、ミステラリタイトと追いかけっこをしているシーンが何故か目に浮かぶ。
「あとネ……動きがおかしいと思ってレントゲンも撮ったノ。そしたら1ヶ所骨折してたのヨ。あの子、体の動かし方が下手っぴみたい。ものにぶつかったり、危なっかしい。転倒の危険がない環境で様子見てあげた方がいいネ」
「骨折……ですか?」
「この部分拡大するとネ」
タブレットに表示されたモノクロの写真には、前足をバンザイした状態の骨格図が映っている。
「たしかに……私は気づきませんでしたが」
「俺も……」
彼女がついついと指を指す場所……右前足部の第五指、小指の先端部が折れてずれ込んで見えた。同じく画面覗き込むロベルの眉がキュッと寄る。
「ウワ、痛そう……」
「この子、ヒジョ〜に不器用。檻の中で拘束された身体を無理に動かそうとした結果こうなったのかもしれないネ」
タブレットを取り外してもらい、画像を拡大する。
人間とは違い、足指が丸くもふもふとした毛に覆われているため、確かにただ見た目だけでは異常が見つかりにくいようだ。
「ダンボールで受け取った時点ですでにケガをしていたのでしょうか。たしかに動きがフラフラしていましたが、栄養状態がよくないせいかと」
「シェイシェイもレントゲン撮るまでは確信がなかったから。この子、痛みにドンカンなのかもしれないヨ。“先天性無痛無汗症“って病気があるんだけど、痛覚や温度覚が障害されてると、痛みに気づきにくいコは知らない内にそこかしこケガしたりするの……幸い、一箇所で済んでよかったけど……しばらくアンヨはお預けネ」
全体像を見てみようと、拡大を戻してみると写真の一部に違和感を抱いた。
「シェイシェイ、これは何でしょう?」
「ン? どれどれ? あー……これネ。これなんだろうネ」
よく見ないと気づかないレベルだが、左胸のちょうど心臓の核にあたる部分に白い影がある。小指のつま先ほどのサイズで種のような型だ。
「これは……植物の種?」




