No.5 白衣の集団
聖獣収容エリアからぐるりと一周し終わり、再び研究棟へ戻ってくる頃にはすっかり日が暮れていた。
「案内は以上です。道は早めに覚えたほうが身のためですよ。ヘタなところで迷子になると職員が助けにいけないところもあります」
「……マジすか」
あからさまにゲンナリした顔を隠そうともしない。
文句があるならばお宅の上司にどうぞ。
「それで、課長はなんと?」
「終わったら上がってイイそうっス。明日の時間は追って連絡するって」
「そうですか。ならここで解散にしましょうか」
「リョーカイ! センパイ、忙しい中案内してくれてアリガトね」
「いえ……仕事ですから」
屈託のないスマイルを食らい、きょとりと瞳を瞬く。
センパイと呼ぶ割に敬語の使い方がなってないが、お礼は言えるのか。とんだ科外業務だったが、ロベルという新入りの人柄を知るにはいい機会だったように思う。
「てか、センパイもモー帰りでしょ?」
「私はもう少し残ります」
「ええ、これからまだ仕事すんの?」
「どうぞ、お構いなく。寮に戻っていただいて結構ですよ」
彼の案内をする間、非翔種のことがずっと気にかかっていた。ゴート保安課長が面倒をみておくなど言っていたが、素人の仕事など信用出来ない。いや、そのあとシェイシェイに預けたはずだから問題ないとは思うが。
ぶつぶつ考えながら歩いていると、前方の廊下から白衣の集団が近づくのが見えた。
車椅子の少女を筆頭に、彼女の後ろから数人の男たちがゾロゾロと後をついて歩いている。研究員たちは彼らが通り過ぎるまで足を止め、頭を下げる。
「センパイ、あの医療ドラマっぽい人達はナニ?」
「医療……なんですか?」
それよりもまだ帰っていなかったのか。
「ウワ。こっちに近づいてきてるよ。ねえ、俺らも頭下げた方がいー感じ?」
白衣の集団に興味を持ったのか、隣からこっそりと耳打ちが囁かれる。彼が何を言っているのかさっぱりだが、確かにこの集団を初めて見るものが圧倒されるのも仕方ない。彼らの説明を口にしようとした時、砂糖菓子のような声が私を呼ぶ。
「子姐」




