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廻間麗奈④

「痛っ」


 慌てて逃げてきたせいで人とぶつかってしまい、床に転んでしまう。


「す、すまない大丈夫かい……って千尋くん?」

「は、廻間先輩?」


 部活の服を着ている。そっか……テスト期間が終わったから部活動も今日からまた再開だった。


「すいません。ぶつかってしまって……」

「いや全然大丈夫だよ。……千尋君、怪我をしているじゃないかっ!?」

「えっ……あ」


 確認すると肘が少し擦り剝けていた。転んだ時にできたのだろう。ちょっとヒリヒリするがなんてことない。


「早く保健室に行かないと」

「こ、このくらいなら平気ですよ。ぶつかってしまって本当にすいませんでした」


 その場から立ち去ろうとすると廻間先輩が強引に前に入ってくる。


「いや駄目だ。保健室に行くぞ」

「でも、本当にちょっと擦り剥いただけなので……」

「そこからばい菌などが入ってしまう可能性だってある。保健室に行って消毒だけでもしてもらった方がいい」


 かなり熱のこもった様子の廻間先輩。先ほどの桜佐さんと同様の圧を感じる。僕のことをそんなに心配してくれているのかな……。


「先輩、部活の練習ありますよね。僕一人で保健室行けるので大丈夫ですよ」

「いや、私としてもぶつかってしまった申し訳なさがある。一緒に行かせてほしい。それにこの前のおまじないのお礼もまだしていない」


 廻間先輩の手元をふと見てみると手首にハンカチが結ばれていた。おまじないを続けてくれているんだ。


「う、うーん」

「…………断るなら強引に連れていくことになるよ」

「わ、わかりました」

「よし。じゃあ保健室に行こう」


 廻間先輩の後ろを付いていきながら保健室に向かう。保健室に到着し、扉をノックして中に入る。


「失礼します。…………先生は今不在のようだな」


 保健室の中には人がおらず、先生はどこかに行ってしまっていた。


「先生がいないなら、消毒は大丈夫ですよ」

「いや消毒液の場所はわかっている。確かここら辺に……あった」


 廻間先輩が机の上に置いてあった消毒液とガーゼを持ってくる。


「勝手にいじってもいいんですか?」

「大丈夫だ。駄目でも後で謝ればいいさ。さあ肘を出してくれ。少し染みるぞ」


 擦りむいた箇所を出すと廻間先輩が消毒を垂らして、ガーゼをトントンと当てる。

 ……ちょっと染みて痛い。


「ぃっ………」

「…………………」


 消毒が終わっても、無言でじっと僕の肘を見つめる廻間先輩。

「……………廻間先輩?」

「えっ…………あ、ああ。すまない。ちょっとボーっとしていて。よしこれで消毒完了だ」


 少し慌てた様子であったが、消毒液などを元の場所に手際よく片付ける。


「ありがとうございます。消毒までしてもらって」

「いや、これくらい何てことないさ。君のくれたこのおまじないに比べたらなんてことないよ」


 ハンカチの付いた手首を撫でる廻間先輩。力になれたみたいでなによりだ。


「またいつか何かお礼します」

「お礼か。……………なら今日の部活の練習を見学に来てほしいな」

「見学ですか?」

「ああ。君に久しぶりに私の頑張りを見てほしくてね。…………ダメかな?」


 今日は何も用事もないし、一回くらいなら見学してもいいかも。廻間先輩の部活を頑張っている姿を見てみたいし。


「わかりました」

「ほ、本当かい!? ははっ……嬉しいよ。じゃあ行こうか」


 とても嬉しそうな廻間先輩。そ、そんなに見学に来て欲しかったのか……。


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