桜佐咲①
<朝・登校中>
「千尋、おはよー!」
一人で登校していると後ろから元気の良い挨拶をされる。
「おはよう桜佐さん」
声の主は幼馴染みの桜佐咲さんだった。
「千尋、今日提出の宿題やった?」
「うん。難しかったけどなんとか」
「あれ難しかったよね。絶対嫌がらせだよー。でもまあ提出さえしちゃえばこっちの勝ちだもんね」
「そうだね」
「おーい咲ーっ! おはよー! 早く来てー」
話しながら登校してると、何メートルか先の方から桜佐さんの友達が手を振って桜佐さんを呼んでいるのに気づく。
「今行くっ! じゃあ私先に行くから、また教室でね!」
笑顔でこう言うと、桜佐さんは友達のところに走っていった。
桜佐さんはクラスのカーストトップで学校中の男子からモテモテの存在だ。おまけに雑誌のモデルもやっていて、今人気急上昇中のモデルさんらしい。
昔はよく遊んでいて仲は良いと思うのだが、大きくなるにつれて桜佐さんと僕とでは住む世界が違い過ぎるし、迷惑になると思うので僕からはあまり話しかけないようにしていった。でも桜佐さんの方からよく話しかけてくれるので今でも仲はいいと思う。
■
<放課後>
「千尋、今から帰るの?」
帰りの準備をしていると桜佐さんに話しかけられた。
「ううん。図書室に本を返してから帰るよ」
「そっか。ねえねえ本返し終わったらさ一緒に――」
「おい咲」
桜佐さんを呼んだのは同じクラスの不二恵介くんだ。
クラスの男子の中でもカーストトップの不二くん。運動神経が良くて、体育大会とかではいつも活躍をしている。
「げえ不二……見つかっちゃった」
「何してんだよ。早く行くぞ」
「ちょっと、わかったから引っ張んなっ!?」
桜佐さんはどうやら不二くんとどこかに出かけるみたいだ。
クラスの噂だがなんでも不二くんは桜佐さんのことが好きらしく、桜佐さんに猛アピール中らしい。
「……ごめんね千尋。また明日ね」
「うん。また明日」
桜佐さんは申し訳なさそうに僕に手を合わせて、不二くんと一緒に帰っていった。
「いいよねー不二くん」
「うん。私もイケメンの男子にああやって振り回されてみたい」
「わかる。強引な感じがたまらないよねー」
「不二くんと桜佐さんが付き合ったら、美男美女でお似合いだよね」
「…………」
不二くんのことでクラスの女子が盛り上がっていた。
不二くんも桜佐さんと同様にモテモテだ。カッコ良くて運動もできて、男らしくて、盛り上げ上手で……僕とは全然違う。僕も人生で一回でいいから不二くんみたいになってみたかったなあ。
……忘れてた。本、返却しに行かないと。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
「面白かった!」
「もっと読みたい!」
と思っていただけたなら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちで、もちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当にうれしいです。
何卒よろしくお願いいたします。
短編も書いてます。一番新しく投稿した『女騎士、アイドルになる ~ステータスが弱くて所属パーティーをクビにされたけど、職業アイドルは可能性が無限大です~』もお時間あればぜひ。
https://ncode.syosetu.com/n6382hs/




