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廻間麗奈⑪

□■□


 私の家庭は他の家より厳しいと思う。


「麗奈。今日返却されたテスト、見せて」


「はいお母さん!」


「……うん。満点、すごいわ麗奈」


「俺たちの娘なんだ、当然だろう。頑張ったな麗奈」


「へへへっ……。麗奈、すごい?」


「ああ。でもこれで満足してはいけないよ。麗奈はもっと完璧になっていかないと」


「完璧?」


「そうだ。麗奈はみんなから尊敬されるようになんでも一番になるんだ」


「うん! 麗奈一番になる!」


 お母さんとお父さんに褒められることが大好きだった。だからもっと褒められたくていっぱい勉強をした。

 父も母も会社では上の立場らしく、家にいることも少なかったけどこの一緒にいる時間は小さい私にとってはとても幸せだった。

 勉強は他の子よりしていたが、一度だけテストの結果が芳しくないことがあった。


「麗奈、この点数は何?」


「ご、ごめんなさい。その、友達と遊んでて……」


「だからこの点数なの? ……あり得ないわ」


「麗奈。友達と遊ぶのはいいが、勉強を疎かにするのは絶対に駄目だ。このままでは落ちこぼれになってしまうぞ」


「は、はい。ごめんなさいお母さん、お父さん」


「一度落ちこぼれになってしまうと、二度と完璧にはなることができない。それをしっかりと覚えておきなさい」


「麗奈、次またこんな点数を取ったら友達と遊ぶのも禁止にするからね」


「……はい」


 お母さんとお父さんから向けられた失望の目。一回の失敗でそんな目を向けるのかと私は恐怖した。


 二人に喜んでもらうには、あの目を向けられないためにはテストでいい点数を取らないと駄目だった。スポーツでもいい順位にいないと駄目だった。

 誰よりも勉強して、誰よりも練習して、みんなより上に行かないと駄目なんだ。

 ……完璧じゃないと駄目なんだ。




「……最悪な夢だ」


 自習に疲れたので少し仮眠を取ったら、嫌なことを思い出してしまいとても目覚めが悪い。

 時計を見るともうすぐ夕食の時間であった為、リビングに向かう。


「今呼ぼうと思ってたのよ麗奈。さあ席に着いて。もうすぐでお父さんも来るから」


「うん」


 テーブルにはすでに夕食が並んでいた。席に座って待っているとすぐに父もやってきた。久しぶりに家族揃って食卓を囲む。


「麗奈、もうすぐ部活の大会なのでしょ? 優勝期待してるわよ」


「うん。最後の大会だから絶対優勝する」


「部活も大事だが受験勉強はどうだ?」


「順調ですよお父さん。この前の模試もA判定をだったもの」


「そうか……。さすが俺たちの娘だ」


「こんなに完璧な子に育ってくれて誇らしいわ」


「……うん。ありがとう」


 食卓を囲む親子の会話。普通の家庭もこんな会話をしているのだろうか。こんなに居心地の悪い時間なのだろうか。

 私はほとんどご飯に手をつけず、すぐに部屋に戻った。

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