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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

醜い外見と強大な力のせいで邪神扱いされたので世界を滅ぼした件~次元界を渡り永劫の時を存在する俺は観測者~

俺の名前は鈴木一郎。どこにでもいそうな名前の男だ。

大した金もない俺の趣味はフリーゲームだ。


完全無料で遊べるゲーム。しかもお金が関わらないから、チートを使っても問題にならないのが良い。

俺はフリーゲームの「HERONA」というゲームを遊んでいた。

このゲームは自由度がひたすらに高く、様々なヴァリアントが登場しており、今なお更新され続けている。


とはいえ、途中で開発中止や完成品として更新されなくなったヴァリアントもある。


ヴァリアントによって仕様に違いがあり、それが魅力であったり欠点であったりもするわけだ。


俺はそのゲームを数え切れないほど遊んだ。途中で飽きてゴミ箱に捨てたことも何度もあった。


それでも俺は、やりたくなった時にまたやり直して遊んだ。

普通に遊ぶのにも飽きてしまう。退屈な作業はスキップしたい。

そんな俺の想いに応えてくれたのがチートだ。


俺は普段な美男美女なキャラクターを創っていた。

誰だって自分が操作するキャラクターは見ていて気持ちのよいほうが良いだろう?

だがそれも繰り返すたびに飽きてしまう。


そんな時に気まぐれに創ったキャラクターが「アバドゥンパ・山田」だ。

魅力値が0になる奇病を患った種族が神のキャラクターだ。


種族の制限で装備部位は4部位とかなり少ない。

その代わりに初期能力値は他と比べてかなり高いという隠し種族だ。


そうはいっても、装備部位の少なさは大きなデメリットだ。

耐性や装備のエンチャントの要素は多少の能力値の高さでは補いきれない。

というようも装備部位は後付できないが、能力値は普通に上限まで上げられるからだ。


それでもこんな種族を選択したのは、たんにフレーバー要素を重視したためだ。


神とは次元界を自由に移動できる手段をもつ半不滅の存在である。


寿命は無限。


とはいえ、ゲーム性能的には主能力が高いぐらいで、

上に挙げた要素は完全にゲームを彩るフレーバー要素でしかない。


ただゲーム性能を気にしなくても良いのならば、優先するのはそういった賑やかしの要素になる。


俺はチートを使ってゲーム世界の秩序など気にせずに無茶苦茶な遊びをする気だった。


そうして俺は創ったキャラクターで街や村を怪物やゾンビやドラゴンや巨人だらけにした。


住人を不死状態にして並べてやった。神々を召喚し世界を神のものとした。


危険なウイルスをばらまいた。・・・プレイヤーにしか効果がないせいで完全な不利益しかなかったが。


オーバーフローになる武器を創り、キャラクターに使わせてゲーム自体がフリーズしたりもした。


世界の時間よりも早くなりゲームの操作性に不利益を被ったり、

異常に天元突破した高レベルのせいで、登場する盗賊が頭おかしいレベルの強さや金銭を要求した。


そんな化け物たちに寄生するエイリアンも現れ、世界は混沌に包まれた。

核の炎もこの世界を浄化できない魔境の完成だ。


それも今は昔のこと。


俺はゲームの途中で睡魔に抗えずに寝落ちした。


次に目を覚ました時に俺は知らない場所にいた。


実際には見たことのない場所だったというのが正確か。


端的にいえば、俺は異世界転生した。それも醜い神になってな。

良かった点はフレーバー要素だった部分が実際に機能する要素になっていた点だ。


ただ醜い姿だけはいただけない。外見をどのようにしても魅力がまったくない。0なのだ。

数字の残酷さは、現実となった世界ではより悲惨なものだった。


俺は強大な力と魅力の無さから迫害された。邪神などと呼ばれてな。


俺はそれでも恵まれていた。なにせ力があるのだから。

ゲーム自体をフリーズさせるほどの桁外れの力も持つ武器もあった。


空間に一振りすれば世界は抉れて国は滅び空が割れ、地は裂けて、最後に世界そのものが崩壊した。

俺は次元界を移動した。


世界を移動し誰にも認められることはなく、敵対されればそれを滅ぼした。


そうしていくつもの時を重ね、遂に俺は元いた世界へとたどり着いた。


俺は望郷の念に駆られ、この世界を滅ぼすのではなく、支配することにした。


数年で世界は俺のものとなった。

滅ぼすのは0秒で可能だが、支配には時間がかかった。

そして俺はその地に君臨した。


長い時が流れた。千、万、億、兆・・・数え切れないほどの時間が流れた。

人は死に絶え、生命も終わりを迎え、それでも世界は続いていった。あるのは俺だけ。


あとは終焉へと向かい続けるこの惑星だけ。


そうして世界は一巡した。


海が、

魚が、

恐竜が、

猿が、

人が。


奇跡と呼ばれたそれが、当たり前のように俺の目の前で流れてゆく。


そしてまた科学文明は興った。

俺はそれをただ君臨し、力は貸さず、ただ眺めた。


そして更に時は流れた。世界はまた終焉へと向かった。


そうして世界はまた一巡した。・・・何度も何度も。


俺はそのたびに新生した次元界を巡り、それらと敵対し滅ぼし、最後に地球に巡りつきそこで終焉を望んだ。


長き時の果て。確かにそれはある。そして繰り返す。神を超える超越者が満足するまで、きっと。


それは続く。のだろう。


全能の神。俺はそれを見たことがない。神である俺も知らぬそれは、呼ぶとするなら最高神か。




いつか会ってみたいものだ。




そうして終わりのない時間の輪廻を揺りかごに俺は無限に存在する。

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