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清々しい朝だ。御剣 皇は昨晩のことを思い出しながらほんの少し口角をあげて学校へ向かう。学校は丘の上にあるので少し体力を使う。バスを使う手もあるが些か勿体ない。
「よぅ! なんかご機嫌なんじゃねーの? 」
「」
途中、気さくな友人ポジションのモブAと会う。登校ルートが同じなのだ。
「如月 蓮寺だいい加減覚えてくれ」
地の文を読むな愚か者め。なんにせよ、昨日は良かった。悪が負けるとは限らない事が証明されたのだ。
「フハハ、蓮寺よ。私はこの世を手に入れる!」
「ん? あまり表情変えないで言われても少しこえーけどな。いんじゃね? 手に入れてなんかしたい事あんなら目指してみれば? 」
「……!?」
雷にでも打たれた気分だ。そう。無い。手に入れたところでやりたい事などないのだ。
「なんだよ。そんな顔して。まぁ、とりあえず俺はなにしよーかなぁ。十代のうちは好きな事やってろ。真面目な事とかなんつーのは歳取ったらやりたくなくてもやらされるてじっちゃん言ってたし、適当に気が向いた事をおれはするさー」
「蓮寺……やるな」
「あん? 」
素直な称賛である。確かにそうか。いまから目標が決まってるほど優秀でもないし形を決めるほどでもないか。兎に角、やりたい事。いまは悪を堪能するとしよう。
「おい、あれ。水無月さんだぜ。可愛いなぁ」
蓮寺の視線の先を辿ると、他校の可愛らしい制服に身を包んだ女子がバス停に一人。色白の肌に少し色素の薄い髪の色。素晴らしいプロポーション。
エレメントエンジェルやないけ。間近で対峙した皇である。あまりのわかりやすさにビックリ通り越してドッキリである。
そして清楚な顔してその下はきっと紐パンなのでおろう。ドッキリだがドキドキしてモヤモヤしたのである。
(自衛がなってないな)
今夜はあの学校周辺で悪事を働いてみるか。とほくそ笑んだのである。