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本当に在ったザマァの話

 昔、

ある所に、

一人の骨接ぎがいた。


 その男は、

一念発起して、

医師を目指した。


 彼の奥さんは、

行商など、

身を粉にして働き、

彼の夢を支えた。


 医者になった彼は、

ある場所に、

病院を建てた。

その病院が、

後に、

オムツ代一ヶ月七万円となった

J病院である。


 彼が、

その場所を選んだのは、

開発計画が有ったから。


 国道を通し、

市が全面的にバックアップして、

ニュータウンを、

建設する予定だった。


 つまり、

ド田舎だった。


 でも、

彼の寿命は、

道路開通まで持たず、

市による土地転がしも、

破綻に終わり、

被害者が続出した。


 ただ、

病院の名前からすると、

彼には、

相当な政治力が、

有ったようだ。

そうでないと、

認可されない名称を、

使っている。

実際、

彼は、

老人ホームなども建てて、

地元に、

寄進している。


 彼には、

娘が二人いたが、

出来は、

イマイチ。


 長女は、

私立大学を卒業して、

外資系に勤め、

上司と不倫した。


 次女は、

私立の医学部を卒業し、

医者と結婚して、

病院を継いだ。


 長女の不倫相手は、

外資系を辞め、

独立起業したが、

失敗し、

全てを失った。

頼れるものは、

長女の実家しか、

なかった。


 それは、

不倫相手にとっては、

屈辱だった。


 彼は、

その田舎を嫌っていた。


 彼は、

慶○ボーイで、

三○会を誇りにしており、

米国の無名大学の博士号を、

持っている。


 その彼が、

その田舎を嫌う理由は。


 終戦直後の食糧難の時に、

東京から買い出しに行って、

邪険に扱われたらしい。


 「金?

着物を持って来い!

着物を!」

と、

怒鳴られて、

追い返されていたそうだ。


 皮肉な事に、

借金まみれの彼には、

若い時に、

邪魔者扱いされた

まさに、その場所にしか、

逃げ場所が無かった。


 そして、

その田舎では、

再び。


 社会的成功者だったJ病院の創業者は、

不倫、起業失敗、破産の彼を、

軽蔑した。

彼は、

病院の用務員として、

草むしりを、

させられ、

疎まれていた。


 彼の妻となった長女は、

四十歳を過ぎてから、

金で私立の医学部に入り、

医者となった。

「私は、

金で医者になった」

と、

本人が、

公言して、

憚らないそうだ。


 創業者の死後、

次女夫婦が、

病院を継いだ。


 その夫婦は、

職員や患者の事も考える

『良い人』だったらしいが、

病院は、

傾いた。


 病院が、

破産寸前になった時、

クーデターが起きた。


 一人の用務員が、

はんこを手に入れ、

銀行と組んだのだ。


 長女の不倫相手は、

『用務員から会長へ』

という、

何階級がわからない

特進を、

果たした。


 彼は、

長女を理事長に据え、

次女夫婦は、

東京へ行った。


 ちなみに、

その次女夫婦が残した豪邸が、

まだ、

売れずに、

残っている。

実は、

私も、

その豪邸を、

見に行った。


 話を戻すと。


 彼の経営方針は、

徹底したブラック。


 彼自身が、

医者では、

ないし、

長女も、

病院で働く、

実力が無い。


 院長以下、

医者全員が、

外注だった。


 彼は、

患者の事など、

全く、考え無かった。


 医者でもないし、

その田舎を嫌っていたから。


 職員の事も、

考慮に、

入れなかった。

彼は、

最低辺に、

扱われていたのだから。


 彼のブラックな体質は、

時代の流れに、

上手く、

合致し、

病院は、

立て直された。


 そして、

その元用務員は、

『J病院中興の祖』と、

評価される様に、

なった。





 

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