親の介護をすると、犯罪者にされる
父が退院した直後、
私は、
父に、
車を寄越された。
そして、
その車で、
何をしたのか?
と言うと。
父と母を、
病院、買い物、床屋、
そして、
お金を下ろしに、
連れて行った。
食料品等を、
実家まで、
届けたりする事も、
よく有った。
最低でも、
二日に一度は、
昼間に、
これをしなければ、
ならない。
もし、
私が、
「交通事故を起こすから」
という理由で、
車を運転しなかったら、
たぶん、
これだけで、
妻に、
離婚されていただろう。
しかも、
妻に任せていたら、
一発で、
離婚確実な事が、
起きた。
それは、
私の一戸建ての
近くの
大型ショッピングモールへ、
母を、
連れて行ったからである。
そこのATMで、
母が、
十万円ずつ、
二回、
お金を下ろしたのだが。
ある時、
母が通帳を見て、
「お金が下ろされている?」
と、
騒ぎ出した。
老人は、
自分の言動など、
覚えていない。
その被害を、
受けてしまった。
犯人は、
私しか、いない。
なぜなら、
銀行へ、
自力で行けるのは、
私だけだから。
しかも、
通帳に、
下ろした支店の番号が、
印刷されていて、
銀行に電話で問い合わせたら、
私の一戸建ての近くだった。
これで、
有罪確定。
この時ほど、
妻の『離婚してくれ』という
言葉の意味が、
心に沁みた事は、
無い。
これが、
妻を、
親の介護に、
関わらせては、
ならない
最大の理由だ。
泥棒にされてしまったら、
嫁の立場では、
『痴呆老人の戯言』で済ますのは、
無理。
妻自身のメンタルも、
保てないが、
まず、
親戚が、
黙っていない。
なにしろ、
二十万円もの大金が、
紛失した事に、
なっているのだから。
実は、
姨捨山状態を、
私が放置しているのは、
これが理由だ。
全てを、
私一人で背負っているので、
私を守らないと、
総崩れしてしまうから。
誰にも、
攻撃されない。
さて、
実の両親に、
犯罪者扱いされてしまったわけだが、
男は、
強くなければ、
生きては、
行けない
と、しか、
言いようがない。
頼れるものは、
親の年金だけ。
親の介護が始まったら、
収入が、
激減する事はあっても、
増える事はない。
ちなみに、
この時、
私は、
ローンを、
毎月、
十五万円近く払っていた。
去年の七月で、
完済したけど。
それは、
父の年金が、
共済年金だったから、
可能な芸当だっただけで。
これを読んでおられる方で、
「こうは、
なりたくない」
と、
感じていらっしゃる方も、
おられるかも、
知れないが。
私ほど、
恵まれている人間は、
そうは、
いない
と、
思う。
もし、
父の年金が、
共済年金でなかったら、
私は、
妻に離婚され、
一戸建てを、
失っていただろう。
その離婚だが。
女の人は、
旦那の両親が、
ある程度の年になったら、
離婚してしまうのが、
最も良い方法だが。
もし、
それが出来ないのなら、
最低限、
返却したほうが、
良い。
何を?
となると。
旦那の両親から、
貰ったり、
借りたりした物。
特に、
貴金属など、
高額な商品は、
絶対に、
返さないと。
泥棒にされてしまう。
後、
老人の持ち物は、
絶対に、
預かっては、
ならない。
私の母は、
女ばかりの五人姉妹の
四女だった。
長女が婿養子を取って、
祖母と、
暮らしていたが。
何故か?
その祖母の
年金が振り込まれる通帳を、
三女が、
管理していた。
たった、
それだけの理由で、
その三女は、
姉妹達から総攻撃を受け、
付き合いが、
無くなってしまったそうだ。
では、
私の妻の場合は?
と言うと。
妻は、
私の親の介護に、
関わっていない
だけでなく、
同居も、
した事が無い。
それでも、
言われてしまった。
父の法事の時に、
親戚連中に、
「嫁が、
仏壇を欲しがって」
と。
この『仏壇』というのが、
微妙だ。
貴金属系よりかは、
マシだけど。
妙に、
リアリティが有って。
もっと、
荒唐無稽な物だったら、
私の母が、
ボケている事に、
気付いて、
もらえるのだけれど。
私の妻は、
葬式など、
私の親戚の集まりには、
出席しない。