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始まりの冒険者  作者: くろすけ
魔王軍編 〜マイの変化〜
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第四十六話.魔力と謎の人物

ほんっっっっっとうにお久しぶりです皆様。実は私、最近まで就職試験に追われていまして、書く事やらストレスやら練習やらで書く事がままならない状態でした。ですので、話の内容をあまり覚えていません。一応ストーリーはメモっていた気がしなくも無いような気がするんですが、紛失事件が発生し、この先のストーリーをどう展開するかは正直言って未定です。


矛盾がゴキブリの如く大量発生する可能性がありますので、その際には報告の方をお願いします。


今回投稿するのは元々書いていたもので、次回も元々書いていたものになります。



「──ッ!」


 深い眠りから覚め、目を開けた瞬間にマイは起き上がると、辺りを見渡す。


(頭が重い……何で私はこんな場所で寝て──)


「お、やっと目が覚めたか」


「誰ッ!」


 近くに落ちていた愛剣を拾い上げると同時に鞘から剣を引き抜くと、声を掛けてきた男に向かって剣を構える。


 だが男は至って冷静に両手を挙げ、戦うつもりは無いという意思表示をした。


「いい動きだ。三日前とは大違いだな」


 男は首を振りながらマイに近付いていくが、まだ頭が混乱しているマイは剣の構えを解かずに男を睨みつけた。


「貴方、一体誰かしら」


「……話せば長くなる。それに、俺の事よりも周りにいる腹ペコな魔物を倒す方が先だと思うんだが」


 男の言葉を聞いたマイはハッとし、辺りを見渡す。

 周りが暗いため姿は確認出来ないが、確かにそこら中から複数の魔物の気配がする。


(ハメられた……!?)


 マイは歯を食い縛る。

 明らかに魔物は、マイの事だけを狙っていたのだ。男はまだ平然な態度でマイの少し前を立っている。焦りなど微塵もなかった。


 すると男は何か勘違いされていると思ったのか、「あぁー……」と暫く言葉を考えると、頷く。


「取り敢えず──そうだな、まぁ落ち着け」


「落ち着いてられないわよッ!!」


 魔物が木の影や暗闇から一斉に飛び出し、マイに襲い掛かる。

 その数は八体。三体は犬型の狼のような魔物で、五体はゴブリンと呼ばれる小人の様な魔物であった。


 まずはスピードの速い狼が三匹、マイの左右と背後から襲い掛かって来る。


 マイは剣に魔力を流し、振り返りざまに横薙に振るうと、背後から迫ってきていた狼は飛び道具の様に飛び出した斬撃に成すすべも無く切り裂かれ、その命を消した。


 残りは二匹。一匹がやられた事により警戒したのか、すぐには襲わず、マイの周りをぐるぐると走りマイの様子を伺う。


 するとゴブリン達が何かを叫んだかと思うと、狼達がマイに再び襲い掛かった。


(飼い慣らされているのかしら……!!)


 マイは痛む頭の中、何とか狼の姿を捉え、横腹に飛び掛かってきた狼を寸前で避けると、その際に剣を狼の身体に突き刺し、そのまま狼の勢いを利用して身体を引き裂いた。


 これで二匹。マイは、もう一匹の狼の攻撃に備えようと、足を踏ん張る。


 だが次の瞬間であった。


「えっ──?」


 マイの身体から力が抜け、マイは体勢を崩してしまったのだ。そのまま地面に背中から倒れ、それを好機と見た狼はマイに飛び掛かる。


(ち……から……が……ッ…………!?)


 マイは剣を強く握ろうとするが、やはり力が入らない。どうしてか、頭もぼんやりとしてきた。


(死──)


 意識がぼんやりとする中、マイは死を覚悟する。


 だが、次の光景にマイは目を見開く事になった。


 マイの目の前に男が駆けつけたかと思うと、その狼に自らの右腕を噛み付かせる。

 狼の顎の力は強く、容易く人間の骨ごと食い千切ってしまう程だ。その痛みは尋常では無いだろう。


 だが男は、痛みを感じさせない程冷静に、呆れたと言わんばかりにため息を付く。そして振り返り、マイに向かってこう問い掛けた。


「……アンタはバカか? 飯もろくに食ってない状態で魔力を使えばそうなるに決まってる。ただの死にたいお嬢様を演じたいなら他所でやってくれ」


 そう話す間にも、狼は男の腕を噛み続けている。だが男は気にする事なくマイの返答を待ち続けた。

 だか男は何かに気付いたのか、余った左手で頭を掻く。


「取り敢えず腕はくれてやるからお前らはどっかいけ」


 男がそう告げると同時に、本当に狼が男の右腕を食い千切ってしまった。そしてそのままゴブリンの元まで駆け寄ると、残りのゴブリンたちはそそくさと森の奥へと逃げていってしまう。


「ったく、どうしてくれるんだこれ」


 無くなった右腕を暫く眺める男は肩をすくめる。マイの元まで近寄り、身を屈めた。


「そうだな、取り敢えずアンタに今必要なのは十分な食料と休息。じゃないとアンタはまともに戦えない。それは今ので分かった筈だ」


 男は右肩を動かすが、さっき腕を食い千切られた事を忘れていたのか男は少しの間呆然とし、次に左腕をマイに差し出す。

 

「私よりもまずは自分の心配をしなさい……」

 

 マイはその際にとてつもない違和感を感じたが、その手を払うと、ふらふらと自力で立ち上がる。


 男は暫く払われた左腕を眺めると、「たしかにな」とマイの言葉に頷いた。


「それで……何で私をそんなに気に掛けてくれるのかしら……」


「あぁ待て、今はそれ以上喋るんじゃない。この前も言ったがアンタの体はボロボロだ。言ってしまえば中身がスカスカの空のボトル。待っていても魔力は回復しないし、中身は無いから魔力も使えない。さっき使えたのは飲み終えた後に残ったごく少量の水を使ったからだが、そんな詳しい事は今どうでもいい。とにかくいつ死んでもおかしくない状態なんだ。無駄に体力を使っちゃいけない」


 男は早口でそこまで話すと、マイに暫く待つ様に言って一旦その場を離れた。

 そして戻ってくると、その左手には飲水が入っているのであろうボトルが手に持たれていた。


 男はそのボトルをマイに投げて渡す。


「ほら、取り敢えずこれを飲め。水分は大切だ、特に女はな。折角の綺麗な肌なんだ。大切にしないと勿体ないぞ」


 男はマイに話し掛けるが、肝心のマイは言葉を聞き流しながらボトルの蓋を開けた。

 そしてまずは、その匂いを確かめる。だが何も匂いはしない。


「怪しいもんは入ってないから安心しろ。だからって何も入ってない訳じゃないが……まぁ飲んだら分かる。身体に害があるもんじゃない」


「……どうかしらね」


 そうマイは肩を竦めるが、そのボトルの飲み口に迷いなく口を付ける。


「あぁそれを飲んだら少しの間激痛が走るから──なんて、もう遅いか」


 男は楽しそうに口角を上げ、マイにそう告げる。だがそれはマイが水を飲み始めた時で、男が言った通りもう遅かった。


 マイはボトルを地面に落とし、地面に膝と手を付いて激しく咳き込む。


「な……にを……ッ……!!」


 そこでマイは気付く。

 幾ら助けてもらったとはいえ、見知らぬ男から受け取った怪しい水を飲むなど余りにも無警戒すぎた。男はああ言っていたが、毒が入っていても何らおかしくはないのだ。


 その証拠に、唯一見える口元は笑っており、まるでマイが苦しむこの状況を楽しんでいるかのように感じられる。


「がっ……は……ァッ……!!」


 まるで全身に長い針でも刺されているのではないかと錯覚してしまう程の痛みが、マイの体中に渡って苦しめる。

 あまりの激痛に喉には力が入ってしまい、上手く呼吸が出来なくなってしまう。やがてマイの視界には、チカチカと光がチラつき始めた。


 すると男は溜息を付き、そんなマイの考えを読み取ったのか首を振って否定した。


「そんな顔をしないでくれ。ちょっとしたサプライズのつもりだったんだ。痛みはそろそろ消える」


 最初は男の言葉を信じなかったマイだが、男の言う通り、やがて段々と痛みが引いてくるのが分かった。


 そして完全にマイの体から痛みが抜けると、マイは自身の変化に驚く事になる。


 先程までボーっとしていた頭だったが、その感覚が完全に無くなり、更には体の重さまでもが無くなったのだ。


(……何が起きて……)


 不思議と先程の痛みも思い出せない。乱れていた息も嘘かのように無くなり、驚きを隠せないマイは自分の頬をつねって現実かどうかを確かめてしまう程であった。


「喉元過ぎれば、なんて言葉はあるけれど……これは違うわよね。軽い傷も治ってる気がするのだけれど、一体何を飲ませたのかしら」


 マイは自身の体の調子を確かめながら、男にそう問い掛ける。

 すると男は良かったと言わんばかりに一息付いて、何度か頷いた


「それを説明する前に、だ。アンタなら耐えられると確信していたが、痛みのショックで死ぬ可能性もあった。死ななくて良かったな。くそったれな神にでも感謝しとけ」


 男はマイからボトルを返して貰うと背を向け、そのボトルを逆さまにし、残った中身を全て地面に流す。


 その光景を見ながらマイは肩を竦めると、「死ぬ可能性もあったのね」と軽く笑ってみせた。


「低確率だ」


 男は間髪入れずに返すと、地面に吸収された先程の水を指差す。


「それでこの水についてだが、さっきアンタが飲んだ水は魔力の塊で出来た水だ。九〇パーセントは魔力で出来てる。魔力の原液って言えばわかりやすいか」


 男の指差した地面を見てみると、そこには先程まで無かった緑が生えてきていた。まだ小さいが、目で見てわかるほど成長のスピードが早い。


 それは瞬く間に男の背丈程まで伸びると、そこで成長が止まった。


 この世界の生物において、魔力とは成長する為に必要不可欠な存在である。特に植物は、摂取する量が多ければ多い程成長スピードは早く、より大きく育つようになる。


 だがそれにしてもこの成長スピードは桁違いだ。それほどこの水に含まれる魔力量が多いのだろうが、様々な場所を冒険してきたマイですらこんな水は見たことが無かった。


「凄いだろ?」


「え、えぇ……。でもこんなのどこで……?」


 男のすぐ足元に生える雑草を眺め、マイは信じられないと首を振りながら男にまた問い掛ける。

 すると男は「企業秘密だ」と振り返ると、生えてきた雑草を引き抜き、マイに見せた。


「魔力ってのはイコール生命力とも言える。魔力が無くなれば全体的に機能が落ち、逆に魔力が多ければ多いほど機能が上がる。今のアンタでいうと、自然治癒能力が魔力で補正されて……あぁ話が長くなるのは俺の悪い癖だ。短く言えば、大量の魔力でアンタの悪い部分を無理やり治した感じだ。でも下手をしたら──」

 

 男が掴んだ雑草は徐々に元気が無くなって行き、やがては完全に枯れ果ててしまった。

 男は枯れた草を手で粉々にしながら歩を進め、マイへと近付いていく。


「アンタもこうなってたかもしれない。種類は関係ない。魔物も人も化物も、皆同じだ。過度な魔力摂取は身体に負担を掛け、下手をすれば死ぬ。アンタが生き残れたのは、魔力を貯蔵する空間がたまたま広かったからだ。そこらの人間なら耐えられずに爆発するか、身体が痙攣を起こして死ぬかの二つしかない。これを魔力暴走って言ったりするが、そんな事はどうでもいい」


 マイのすぐ目の前で立ち止まった男は、残った左腕を曲げながらマイを指差した。


「これ以上ムリするのはやめろ。これ以上地獄に足を突っ込んでたらいつか本当に引きずり込まれるぞ。これは冗談じゃない。例えアンタが傷を負わなくても、他の奴がアンタの『無茶』を庇わなきゃいけなくなる。さっき俺が腕を失ったみたいにな。そうなる前に──」


 男は指を固定したまま少し強めの口調でマイを叱るが、マイは他に考え事をしているのか暫くまばたきをするだけで、男の話に対する反応が薄い。


 男は心配そうに咳払いをすると、マイの目を覗き込む。


「おい聞いてるのか?」


 するとマイは一瞬身体をピクリと動かし、フードから覗く紅い目と視線を交わした。


「い……いえ……何もないわ」


 マイは首を振って誤魔化そうとする。だがその瞳からは涙が溢れており、男の顎付近にその涙が飛んでしまった。


 男は顎に付着した涙を左腕で拭き取ると、ため息を付く。


「勘弁してくれ、俺は女の涙に弱いんだ」


 男はマイに対してではなく、自分自身に呆れているのかそう言って肩をすくめる。


「──何が起きたか説明しろ。その様子だともう手遅れだろうが、気休め程度にはなるだろ」


 男の言葉にマイが頷くと、男は優しく微笑み、木を背もたれにして座ろうとマイを誘った。

久し振りに自分の書いたものを見ると恥ずかしいやらなんやら複雑な気持ちになりますよね。よねって言っても分かるかどうかは分かりませんが、恥ずかしいです。なんて言えばいいんですかね、自分の裸を見せてる感じがして恥ずかしいです。


このあとのストーリーを考えないと……

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