熊と羊
温かい目で読んでくれると幸いです。
熊は、曇った顔をした羊に鳴く
「どうしたんだい」
少し脅えた羊だったがおっとりとした優しい声に親近感を抱いた。
そして羊も熊に向けて鳴く
「熊が鞭で叩いてくる」
思い出すと苦しいが誰にも言えないことはもっと苦しいと羊は思った。
「僕ではないが、どうして」
「五月蠅いから」
「どうして五月蠅い」
「僕たちが羊みたいだからだ」
熊はゆっくりと首をかしげる。
「羊じゃないのかい」
すると羊は下を向き、トーンの低い声で話した。
「わからないんだ」
熊は羊の頭に優しく手をのせて話した。
「安心しろ、僕も熊じゃない」
羊は上を向き大きいクマの顔を見つめて話す。
「だったらなんだろう?ニンゲンかな?」
そうすると熊は、羊に向けて話す。
「いや、ヒトじゃないか」
「違うのかい、僕は違いが判らない」
「僕も判らない」
「じゃあ、結局どっちなんだい」
「僕がヒトになったらヒトで
ニンゲンになったらニンゲンだよ」
「そうかい」
次の日、羊はニンゲンになり。熊はヒトになった。
「やあ、君はヒトになったのかい」
「君こそニンゲンになったんだな」
「結局、同じなのかい、違うのかい」
「多分、同じだけど、違うんだよ」
「なんだそれ、よくわからないな」
「わからないなんて、僕たちは愚か者だな」
「それに気付いたのなら、愚か者ではないんじゃないか」
「それでも、やっぱり、僕たちは愚かだ」
「そうかい」
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