第8話 命の光 ⑤
「ど、どうやって止めたらいいの?!」
「こうなってしまった時、いままでの魔導師たちはみんなクラヤミを消し去ってきた。クラヤミは命の光が集まって起きるわけだからな。その命の光を全部消してしまえば、当然クラヤミも消える」
「ちょっとまってよ!みんなを消してしまえってことは、みんなを殺してしまえってことじゃないの!?」
「ああ、そういうことだ。残念だけどな、ほかにクラヤミを止める方法がねえんだ」
「ウソだウソだウソだ!そんなの信じないよ!」
残念そうに、とてつもなく惨酷な言葉を口にしたクーラリオ。しかしユウトはそれを受け入れられない、いや、受け入れきれるわけがなかった。
「だろうな。ユウトはそう言うだろうな……。でも他に方法は……」
「あるよ!絶対にあるよ!あるに決まってる!」
ユウトはしっかりと目を見開いてクラヤミの奥底を見た。
そこは何も見えない真っ暗な穴。光も音も何もかもが吸い込まれていく。けれども時々、人の悲鳴のような音が闇をやぶって聞こえてくる。その悲鳴を耳にすると胸がえぐられるような痛みが走るが、その悲鳴が、その痛みがユウトにある事を確信させていた。まだ何とかなる、みんなを助ける方法があるのだと。
「クーラリオ、フーガ、ミズチ、エンジュ、アダマント。みんな良く聞いて」
ユウトの口から、小さいがクラヤミにも飲まれないほどしっかりした声がりんと響いた。
「あのクラヤミには、ボクを知っている命、ボクを苦しめた命、ボクが知らない命が、みんなみんな苦しんでいるんだ。だから、ボクはみんなを助けに行く!」
そのユウトの決意に、精霊たちは無言でこたえてくれた。クーラリオも力強くうなずいてくれた。みんな体はガラクタのようにボロボロになっていたが、心はくじけていない。いや、もっともっと強くなっている。
「クラヤミの一番奥にみんながいるんだ。何が起こるかわかんないけど、とにかくとびこむよ」
「そうだな。そいつが一番お前らしいもんな」
「でも、みんなを巻き込んで……」
「何言っている!」
クーラリオは笑うように明るくほがらかな声でユウトを叱った。
「一蓮托生ってやつだ。ここまできて置いていかれたらたまんねえよ。それにな、みんなお前を放っておけねえんだ」
「え?」
ユウトはキョロキョロとみんなを見わたした。みんなズタズタのボロボロになっていたが、怖い顔をしてにらんでいるのは誰もいない。
「ユウトは泣虫のくせに、何かあったら誰もやらないようなむちゃを簡単にやっちまうからな。そんなお前を放っていられねえんだ。オレたちみんな、そんなお前が大好きだからな」
「あ、ありがとう」
こんなところでグシグシと涙ぐんでしまうユウト。そんなユウトにクーラリオも精霊たちもゆかいそうにしている。
「それ見たか。こんな時にうれし泣きできるからお前はおもしろいんだ」
「へへへ」
あちこちが黒こげたり、すりきれたりしているそでで涙をぬぐうユウト。ぬぐいさると、顔はあちこち汚れていたが、力強くて大きな笑顔の花がさいていた。
「行くよ、みんな!」
「おう!」
底知れぬ深い深い闇の奥に向って、ユウトたちは飛び込んでいった。




