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魔導少年ユウト  作者: むげんゆう
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第7話 ユウト対ゲオルギィ ①

 イナズマのような速さで大空をかっ飛んでいくユウト。だが、山の上空に飛びこんだ時、目に見えない壁にさえぎられてしまった。


 それはゲオルギィが山全体に張りめぐらせていた結界だった。とくに祭壇を築いている山頂には空から近づけないように、特に結界が強くなっているようだ。力で押して破ろうとしてみたが、あまりにかたくて体力ばかりをむだに使ってしまいそうだった。


「空がだめなら、地面から!」


 結界の一番あついところから突破するのをあきらめたユウトは、そのまま地面に向って急降下。今度は地面と空の間を針でぬうような高さを、大砲の弾のような速さで駆け抜ける。


 地面の結界は、結界の力をこれまで周囲を守っていた四つの精霊たちに頼っていた。だから精霊たちの結界が無くなってしまった事で、その壁はずいぶんとうすく、そして弱くなっていたのだ。


 風の刃を四枚ほどぶつけてヒビを入れ、あとはユウトが勢いにまかせて体当たりするだけで、簡単にすり抜ける事ができた。


「よし、結界の中は大して準備していないみたいだ」


 その時、目の前に立ちふさがる大きな影が三つ、四つ、もこもことあぶくがわきだすように現れた。土くれでできた巨人だ。


「ごぉぉん!」


 巨人たちは次々と手元にあった大きな岩を持ち上げて投げつけてくる。どの岩も大きさが一メートル以上はあるだろう。まともにぶつけられたら、ユウトの体はぐしゃぐしゃに押しつぶされて、ピザみたいになってしまうにちがいない。


「そんなのこわくないからね。そんなのこわくなんかあるものか!」


 でもアダマントの攻撃に比べたらこわがるようなものではない。ユウトは火の力で炎のかたまりをいくつも作りだす。


「火の魔法、ホムル!いっけぇ!」


 巨人が投げようとする岩にねらいをつけて、岩を投げるより先に炎のかたまりをぶつけた。岩は巨人たちの手元で次々に花火のように爆発をおこす。


 土くれの巨人たちはその爆発で腕を吹きとばされてしまうが、元々が土でできているのだ。すぐにモコモコと土をすいあげると、たちまちのうちに元に戻してしまう。


「やっぱり、一度に全部ふきとばさないとダメなのかな?」


 すると、ユウトの両足のアミュレットがほんの少し大きくなってユウトの体から少し浮き、力強くうなり、回転をはじめる。それは自分の力を使ってくれという土の精霊の意思だった。わかったよ、とユウトはうなづく。


「土の魔法、アスト!いって!」


 山肌を勢いよく一蹴りした。すると地面が波うちながらヤリのように鋭くもり上がり、土くれの巨人たちをたちまちのうちにくし刺しにした。


「同じ土の力で負けるものか」


 串ざしにされた巨人たちはしばらくの間じたばたと暴れていたが、もり上がった地面が引っ込むと、一緒に吸い取られるように土くれの巨人も消えていった。


 だが、これで終わったわけではない。次に現れたのは土管ほどの太さはあろうかというほどの大蛇だった。しかも尾っぽが二つに頭の数が三つもある大蛇で、テカテカと光るウロコはとてもかたそうで、生やさしい攻撃なんて簡単にはね返しそうだった。


「もう、こんなのに構っていられないのに」


 三つ首の大蛇は、それぞれの口からはどんなものでも溶かしてしまう毒液を吐き出す。ユウトはステップも軽くよけてみせたが、毒液がふきつけられた地面からは、温泉の硫黄のような臭いのする煙が、もうもうと立ち上っていた。


「ふわわ!あんなのに当たったら、骨までとかされちゃうよ」


 その時飛んできたのは、大蛇の二本の尾っぽ。まともに当たったら、電柱だってひとたまりもないようなくらい重たい攻撃だ。ユウトはもちろん飛び上がってよけるが、勢いあまって近くにあった木々を根こそぎなぎ倒してしまう。


「すごい力だけど、アダマントに比べたらどうってことないよ」


 四つの精霊たちとの戦いで、ユウトははげしい攻撃にもなれてしまっていた。もう、どうやれば相手を倒す事ができるのか、冷静に考えられるようになっている。


「まずはアスト!」


 今し方、土くれの巨人をやっつけた土の魔法をまず使う。波うつようにもりあがった地面だったが、大蛇はお腹の下もぶ厚くてかたいウロコに守られていたのでつきささらない。けれど、その大きな体はほんの少し地面からうきあがっていた。


「おもいっきり空に飛んで!フラム!」


 タクトを突き出して、そのまま空のてっぺんまではね上げると、大蛇の体は大砲でうち出されたように宙を舞っていた。


 大蛇は空中で身をくねらせるがどうにもならない。苦しまぎれに毒液を吐き出すが、ユウトはそれを待っていた。風の力を使って毒液をあやつると、それを大蛇に向って叩きつける。


「ぎゃうぇ!」


 毒液は大蛇のかたいウロコにも効果がばつぐんだった。どうやら毒液は、口の中では自分の体をとかさないようだが、一度外気にふれてしまうと自分の体でもとかしてしまうようだった。


「いまだ、ホムル!」


 ウロコのとけおちたところめがけて、炎のかたまりが次々と命中する。ウロコはとけかけただけでなく、強い熱にあぶられて、メキメキと音を立てて割れはじめた。


「これで終わりだよ、ジャボル!」


 最後は水の魔法の出番だ。熱であつくなってもろくなった場所に、冷たくてするどい巨大な水のくいが何本も突き立てられた。


 ウロコは熱くなっていたところを、急に冷やされたせいで粉々にくだけてしまい、中身が無防備になってしまう。その中身に水のくいは深々と突き立ったのだ。


 中に飛び込んだ水は、大蛇の中で一つにつながってその体を内側からくだいてしまう。大蛇は、ゲオルギィに作られた、元の土と木の枝にもどって、バラバラになって地面に雨のように落ちてきたのだった。


 それをみとどけて、ふうと一息入れるユウト。今のユウトは、マーダルからさずけられた力だけでなく、精霊たちからかしてもらった力も、見事に使いこなせるようになっていたのだ。


「今のボクには精霊さんたちがついているんだ!みんなを取り返すまでは、絶対に負けるもんか!」

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