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魔導少年ユウト  作者: むげんゆう
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第4話 水の精霊ミズチ ④

「これでよし。ミズチ、君はこれで自由だよ」


 ユウトはミズチを流れが戻った滝つぼに返す。


 するとミズチはその中にうれしそうにとびこんでいった。すると、この場所のまわりにあった壁の気配が消えていくのを感じる。ついに第二の結界をやぶる事に成功したのだ。


「やったな!二つ目の結界も攻略だ!それにしてもユウト、お前どうやったんだ?」


 クーラリオの質問に、ユウトはとくい気に答えてみせた。


「ミズチに飲みこまれたとき、しっかり丸くなって、まん中に空気をためこんでいたんだよ」


「おお!」


「あとは動きが止まったところで、どかーんって爆発させて水を吹きとばしたんだ。そうしたら泳いでいたミズチは水がなくなってしまうと逃げられなくなっちゃうから、すぐに捕まえたんだ」


 そう言うと、空いていた左手で魚を素手で捕まえる仕草をしてみせる。


「ボク、お父さんからね、お魚のつかまえかたを教わっていたから、同じようにやったんだよ」


 お父さんから教わった事が役に立ったんだよと、うれしそうにしているユウトだったが、クーラリオの方は怒っていた。


「ば、ばっきゃろう!あと少し爆発させるのがおそかったら、お前はどうなっていたと思ってたんだ!」


「ふ、ふぇ?」


 大きく息をすいこんで吠えるように叫ぶクーラリオ。


「いいか良く聞け、お前は今ごろ、そこの流木のやりで串焼きみたいに、体中をめちゃくちゃにクシ刺しにされていたんだぞ!」


「え?そうだったの?」


「ミズチが動きを止めたのはな、あそこに転がっている流木を飲みこむためだったんだ!」


 クーラリオが指し示した先には、するどくヤリのようにとがった流木が何本も転がっていた。


「お前ってやつは本当に……、心配ばっかりさせやがって」


 まったく、さんざん肝を冷やかしてくれやがってと、毒づいてしまうクーラリオ。


「でもね、これでクーラリオもボクを見直してくれたでしょ」


「いいや、見ているほうをハラハラさせているようじゃあ、見直してやるわけにはいかねえな」


「ええー!?そんなぁ」


 せっかくほめてもらえると思っていたのに、クーラリオからはきびしい言葉しかもらえなくて、ユウトは目に見えてがっかり。


 しかしその時、突然滝つぼからミズチが飛び出してきた。ミズチは、ずぶぬれのからだのままユウトの帽子の上にちょこんと着地。するとミズチの心の声がユウトに聞こえてきた。


「ほ、本当にいいの?!」


「お、おいどうしたユウト?」


「聞いてクーラリオ!ミズチもボクに力をかしてくれるんだって!」


 とびあがってよろこぶユウト。すると頭の上のミズチはバシャリと水になってユウトに降りかかる。


 その水はユウトの首もとに巻きついたかと思うと、水のマフラーになっていた。


 さわった感じはたしかに水なのに、さわった手や首がぬれるわけでもなく、服にしみこむわけでもないふしぎなマフラー。


「そっか、このマフラーがミズチなんだね」


 こうしてユウトはミズチと契約して、水の力も使えるようになったのだ。


「おうおう。風に続いて水の精霊とまで契約できるなんてな」


「えっへん!どんなもんでしょ!」


 今度こそとくい満面のユウト。しかしクーラリオは時間の方を気にしているようだった。


「残念だが、ほめてやるのはあとまわしだ!この調子でサクサクと次に行くぞ!」


 目をぱちくりさせているユウトをおいて、クーラリオは次の結界の場所に向けて飛び立ってしまう。ユウトもあわてて後を追う。


「へ、へっくちん!ずぶぬれになっちゃったから、いま空を飛ぶと寒いよう」


 ぬれた体で空を飛ぶのはかなりさむい。しかも今は夜だし山の上だから冷えているのだ。おもわず体をブルブルとふるわせてしまう。


「心配するな。次の結界に行けば、すぐにかわかしてもらえるぞ」


 そんなユウトに、意味深そうにやさしいことを言うクーラリオ。


「ほ、本当?次の結界って親切さんなんだ!」


 しかしその意味をくみとれるほどユウトは深いことを考えていないようだ。仕方がないのでクーラリオは訂正を一言。


「ちがうちがうちがう。次の結界は火だぞ、火。あったかいけど、まっ赤に焼けて、あちちな火だ!」


「ひ、ひええ」


「ユウト、全然面白くないぞ、それ」


「ふぇ?」


「いや、いい。気にするな、忘れろ!」


「ふーん、変なクーラリオ」


 ユウトが思わず口にしてしまったのをギャグと受けとってしまい、それがギャグでないときがついてしまったクーラリオは、少々へこみ気味。


「まあ、火に強い水の力も使えるようになっているからな。油断しなけりゃ十分勝ち目はある」


「そうだよ。ボクにはフーガもミズチも力をかしてくれているんだから、どんな相手とだって大丈夫だよ」


「自身を持つのはいいことだ。でもな、油断だけはするなよ。少しでも間違ったら、お前が命を落とすことになるかもしれないんだからな」


 すっかり自信をつけた様子のユウトを見ながら、それでもクーラリオは不安な気持ちをかくそうとしなかった。


 すなおに喜べない事ばかりだが、なにはともあれ二つ目の結界も打ち破ったのだ。


 残る結界はあと二つ。折り返し地点のあと二つ。

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