ワラの家
むかーしむかしあるところに、三匹の子ブター、じゃなくて三匹の悪魔がいましたー。
あ、ちなみには僕は、三人の中で一番末っ子なんですね。ベクフィスって言います。一番上の兄さんはアムタロト、二番目はリンバーヘルって言います。
それで、僕たち三人仲良く?人間界で人の姿をして15年間(僕は)生きてきた訳なんですけどー、ちょっとメンドーなことが起きちゃったみたいなんです。
ブーブー
テストべんきょーをしていると、机の上に置いてあった携帯がなった。
「はーい、もしもしー。兄さん?」
どうやらアムタロトの兄さんがかけてきたみたいですねー。
「おい、ベク!!ちょっといますぐ学校来てくれないか!?頼む!」
兄さんは今部活中のはずでしたが。
「どーしたんですかー?そんなに慌ててー。ま、いつものことですけど」
「やばい、やばいんだよ・・・。ああああの、あ、ああいつが来た・・・」
「兄さん、何にそんなにびびってんですか。僕ら悪魔でしょー?この世界でそんなにびびるほどのものってあるんですか?ま、兄さんはドン引きチキンハートですけど」
「てててててて天使!!天使!!!天使が!!!!」
「天使ー?新しい友達ですか?」
「そんな訳ないだろー!バカかっ!俺たち悪魔にとっての天敵だろ!!頼む、早く来てくれ、お前の力が必要なんだー!ああー、タノムーーー」
全く世話の焼けるアニキですね。
とりあえずアムの兄さんが通う高校へ向かった。
到着。へー、意外と大きな高校なんですね。とりあえず兄さんを探しますか。えぇと、軽音楽部は・・・・あ、ここですね。ガーガーうるさいなー。この下手さ加減は兄さんで間違いないでしょーね。
その雑音を発生させている教室のドアを叩くーーー前に。
「おい、アム!!!てめー、二年以上やってんのになんでそんな音しか出せねーんだよ!!!」
あ、やっぱ兄さんのでしたか。
「ゴメンナサーーーーーイ!!!!」
と言って唐突に教室の扉を開け、飛び出して来たのは、
「兄さん。おっす」
「・・・あ、ベク!!!!来てくれたのか!!!!」
兄さんの顔がパッと明るくなる。
「そうかそうか、俺のためにーー。ああ、俺はこんないい弟を持てて幸せだー」
なんか泣いて抱きついて来やがったぞ。
「あのー、フツーに気持ち悪いんで、とっとと要件言っていただけないですか?僕も暇じゃないんですから」
兄さんを強引に引き剥がす。
「そうだ。ベク、こっちこい。隠れるぞ」
兄さんは手招きして階段の方に向かう。とりあえずついていく。
「兄さん、天使って言ってましたよねー?もう会ったんですか?」
「ああ。・・・・・・目が」
「は?」
「い、いや今のは気にするな!ああ、まあそうだな。遠くでチラッと。アレだろ、俺たち天使だったら羽が見えるからさ、それで一目で」
なんかやな予感するー。
階段を下りながら質問する。
「さっきも言いましたけど、天使ってそんなにやばいんですかー?ぶっ倒しゃいいんじゃないですか?てか、兄さん今どこ向かい中ですか?」
「とりあえず下だ!さっきまで天使は下にいたんだ。だから今度は上に・・・・・」
「あの、逃げてるだけなら僕帰りますよ」
「バカやろう!!急に天使が来たらどーすんだよ!!!」
そして最後の一段を下り、外に出る。そこから校舎の角を曲がるとーーーーーー
目の前に現れたのは、ハンカチで手を拭いている、そこのトイレから出たばかりの・・・
「ゲゲッ!!?!?」
向こうも気づく。
「あ、悪魔!!」
そこにいたのは、制服を着た女子高生。
目を凝らすと、確かに白い天使の羽が見える。でも、それより気を引いたのは、
「なんで兄さん顔赤いの?」
今度はハッ、みたいな顔になる。なんてツッコミどころ満載なんだ、この人。
「とりあえず僕、遠くで兄さんのこと見守っときますね」
「え?おい、ちょっ!!待てって・・・・」
とかいって、僕は爽快なステップで校舎の屋上に跳ぶ。悪魔的ジャンプで。
「あの子は?」
「ああ、俺の弟」
ズゥゥゥゥゥゥゥン!!!!
そのかわいさからは想像もできない強烈な蹴りが、兄さんの腹にクリーンヒットする。
「ガ!?ハァァッ・・・・・」
「弟ってことは悪魔じゃない!!何ちゃっかり逃してんのよ!!!」
「あ、あいつが勝手に・・天使なら悪魔のシッポが見えたはずじゃ・・・」
「そんな一瞬で見えるかぁ!!!」
ボコォォォォォン!!!
今度はフルスイングの蹴りが兄さんの横腹を襲う。
そう、僕の悪魔的ジャンプを見せた後で悪いんですけど、兄さんには悪魔的身体能力がゼロなので、こうやって、
「待ちなさい!!!!」
「くそぉぉぉ!!!」
逃げるしかないんです。
そして結局、天使的キックにも勝てない兄さんは、
ガタンッ!!!
「はい、捕まえた!」
うつ伏せの状態で腕を固められ、馬乗られる。
「ふふぅん。あなたには大人しく魔界に帰ってもらうからね!」
・・・・・返事がない。死んでる?・・いや、すごく肩揺れてますねー。これは、もしや兄さんヤバいんじゃ・・・・・
「天使さん。名前は?」
兄さんは顔を上げて・・・・あ、すごい真っ赤ですね。
天使の彼女は、一瞬不思議がってから、
「ルフシィ、だけど」
「・・・・・・ルフシィさん。実は俺、一目見て・・・・あなたの事が・・・・・」
ええーーーーーーーー、まじスか兄さん。
「好きになりました」
「ふふっ、ごめんなさい!」
一匹目が潰されましたー。