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元執事
利影said
次男の利影は、ホテルでベルボーイの仕事をしていた。
いろいろなお客様がいるが、
少しでも喜んでもらうことが嬉しくて、この仕事を選んだのだ
ある日、ホテルのラウンジで、じいや(十三)を見かけた
「!!!」
思わず声を掛けたくなるのをこらえ
好奇心を押し殺し終業時間まで我慢した。
仕事を終わらせラウンジに近づくと
「いらっしゃいませ」
見慣れた執事服でなく、
ホテルの黒い制服を着たじいやが声を掛けてきた
慣れた手付きで案内され席に着くと
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「コーヒーを、だけどどうしてここに?」
「暇でしたので、こちらで働かせていただいております」
とにこやかな笑顔で返事が返ってきた
『あー監視かな?親父かぁ』
カップに残ったコーヒーを飲み干すと、
少し離れているじいや(十三)に、軽く頭を下げ
その場から立ち去った。