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自宅
緑の色が濃くなり
木陰の爽やかな日差しが
古びたアパートの中庭に射し込み
庭の紫陽花が綺麗に薄く色づく頃
友人からいらなくなったからと貰った
座り心地のよい1人掛けのソファに座り
インスタントコーヒーを飲み寛いでいると
トントントン
ドア越しに相手を見ると
「なに?」
不機嫌な声で、ドアを開けた
「そっけないなぁ」
「何の用?」
そこには、小さく手を振りながら
いつもの愛想笑いをうかべている次男 海道 利影がいた
「はぁ、いつものだよ」
「やっぱり、嫌な予感があたった、はぁ〜」
「まあ、仕方ないだろ、行くぞ」
床にある小さな穴に持っていた小さな鍵を挿さすと
床には、人が1人入れるほどの穴が開き
二人は、無言のまま、その中に降りていった
二人が居なくなった部屋には、
ほのかに湯気をたてるカップのみが残されていた