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どうしたのかと問うてくる女性達をひとまず無視して、泉はキッチンに駆け込んだ。
「えぇっと……キーボックス、キーボックス……これか」
見付けたキーボックスは、手をかけただけで簡単に開いた。指と視線を滑らせ、目的の鍵を探す。
「206……206……これか」
そこで泉は、ふと動きを止めて「へぇ……」と呟いた。
(客室用のキーは結構凝ったデザインだったのに、スペアキーはプラスチックに数字シール貼っただけなんだ。なーんか適当だなぁ。ま、客に見えねぇトコ凝っても仕方ねぇか)
「テメェこら、放せゴルァ!」
階上から怒鳴り声が聞こえ、泉はハッと我に返った。
(……っと。どうでも良い事考えてる場合じゃねぇや。早く持ってかねぇと)
キーボックスの蓋を閉めるのもそこそこに、泉は再び走り出す。再び横を駆け抜けていった時、ダイニングの女性二人は不安げな顔をしていた。