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Parallel Cross!!

作者: 薬島ヒロ

 ある異世界で起きた偶然、をと思いつきました。最後まで目を通して頂けたら幸いです。

 菅原(すがわら) 裕司(ゆうじ)は幼馴染2人と共に勇者として異世界ツヴァルシンファに召喚された高校生である。趣味は格闘技(日本的なもの)。小学生の頃より空手・柔道・合気道・骨法を嗜みトレーニングを日課にする少年である。朝は早起きをしてトレーニング、その後は学校に登校し、放課後は帰宅部ながら趣味に合う部活・研究会に顔を出す。その後は家の手伝いをして夜更しもせずに就寝。至って健康的な男子高校生である。

 そんな裕司と共に呼ばれた2人の幼馴染。

 1人は小学校1年から付き合いのある佐倉(さくら) 誠二郎(せいじろう)。裕司とは逆のバリバリインテリ派だが裕司と一緒にいるせいか運動能力は平均より上にあるし、護身術も嗜んでいる。しかしやはりインテリ派だけあって学内首席。教えるのも上手で信頼も厚い。しかしそんな中、同性愛者のケがある一部の女子には嬉しい噂が流れている。

 もう1人は誠二郎よりも1年より付き合いのある未香崎(みかざき) 美香(みか)。剣道場の4人の子供の次女で末っ子。竹刀を持たず徒手空拳でもそのへんの男より強いが頭は空っぽ。誠二郎によりテストの赤点だけは避けているが、それでも墜落ギリギリの超低空飛行である。裕司とは互い道場主が異種試合にそれぞれが戦わせ、結局引き分けに終わったのがキッカケ。ただ実直な裕司を兄のように慕っている。

 そんな彼らが召喚された理由はツヴァルシンファには魔王が世界の侵略を続け、その討伐に向かわせた勇者たちが敗北して死亡た為に勇者以上の素質を持った者を異世界から呼び寄せたと、絵に書いたような西洋王冠を被った王様に告げられた。

 それを聞き、裕司はその役目を承諾した上にこの世界で骨を埋める覚悟をした。

 元々彼は平凡な日常で格闘技を愛する生活との折り合い心を満たさなくなっていた。

 

 生死を賭けた闘いを、


 暴力が振るえる日常を、


 力でのし上がれる常識を、


 元の世界では一歩間違えれば道を踏み外す事に成る欲望が彼の中にはあった。しかしツヴァルシンファは秩序ある人間社会の隣には弱肉強食の理不尽があった。これを喜ばずしてなんとすると、彼の心は奮えた。その心を理解していた誠二郎も同じ覚悟を持ち、美香は五分五分に帰還と永住の気持ちで付き合う事とした。






 勇者として活動する事となった3人はそれぞれの能力を調べて貰い、それを踏まえてそれぞれが出した成長方針に従って行動を始めた。

 誠二郎は使役術と召喚術の素質があると判明した途端、使役可能となる魔物と召喚可能となる精霊について調べる為に書庫へ入り浸りとなる。それと並行して近場で初心者向けの魔物スライムを配下に置いて使役に慣れ、初級の精霊を呼び付き合い方を学ぶ。

 美香は元の世界と同じで剣の素質が認められたが、同時に他の素質はナシと判断。一点特化型と言う事だ。しかしめげず、と言うより頭を使わず彼女は「実戦あるのみ!」と考え、剣を携え防具を纏うと数人の護衛と共に魔物が徘徊する地域へ向かう。いつも日帰りで戻ってくるがその成果は一般よりも成果を上げ続け、今までの最短記録を塗り替えるほどだった。

 そして裕司だが、彼は高い魔力を持つことが判明して魔術師として成就すると解かれたがそれを拒否。今まで培ってきた格闘技を伸ばす事とした。しかし初心を忘れない彼は騎士団に頭を下げて厳しい鍛錬と模擬戦を重ね、そして魔力の素質を活かす方法を模索した。






 それから3ヶ月、彼らは誰1人遅れる事なく勇者に見合う実力を付けた。

 誠司は弱小スライムを高ランク魔物に成長させた上に同ランクの魔物を無傷で配下に置く使役術と高位の精霊、その2属性であるウンディーネとシルフを喚べるまでとなった。

 美香は誰よりも成長し、その過程で魔王軍に打撃を与えた。たまたま出会った軍隊を蹂躙し、たまたま遭遇した将軍を一刀両断し、たまたま対峙した幹部を接戦の末に打倒した。

 そして裕司は格闘技による闘いを戦闘レベルにまで磨き、加えて魔力で魔力を相殺する技術《破魔拳法》を編み出し、それによって宮廷魔術師筆頭と互角以上の成果を生んだ。

 これで3人は魔王討伐に向かうだけの準備を進めていった。





 そんな時の、出来事だった。







「フッ! ハァッ!!」


 裕司は出発が間近になっても休むことなく早朝の鍛錬をしていた。外気に晒した上半身には汗が流れて熱気に包まれているが風の涼しさでほどよく冷める。しかしそこにいるのは裕司1人。その理由は早朝の鍛錬は自身の見つめ直しとイメージトレーニングにしているからだ。もちろんそれ以外でも鍛錬をしている。そんな姿勢が騎士団にも伝わり、彼に近い鍛錬を自主的にするようになった者が出てきている。これだけでも王と騎士団長は裕司を喚んでよかったと内心で感謝をしていた。

 そんな事は知らず、裕司は自分自身と対峙する気持ちで鍛錬を続ける。しかしどこで区切るがいいのかちゃんとわかっている。


「……フゥウウウウウ」


 その瞬間がまさに今だった。集中を解き、全身の力をゆっくりと抜いていく。その上で先ほどの鍛錬が十分だったかを振り返る。


「お疲れー」


 そんな瞬間をまるで狙っていたかのように裕司に声を掛ける者がいた。顔を向けて見れば誠二郎だった。ここに来て着込むようになったローブは見慣れたが、汗を流した裕司からすれば少し暑いと内心で思う。


「セイジ。今日は早起きだな」

「いやいや、完徹してこれから寝るんだよ」

「相変わらず寝ないなお前は」

「ユージが一緒なら寝てもいいぜ」

「断る。俺はノーマルだ」


 とりあえず、誠二郎に同性愛のケがある理由は裕司にこう言う事をあっけらんと言うからである。その為、城の乙女達はソッチの妄想に膨らませている。そして美香は頭が空っぽだから純真で、そう言った物の認知はしていない。


「なら今度の機会に」

「だから俺はノーマル」

「まぁまぁ。ところでこんな噂を聞いたんだけど」

「ん、どんな噂だ?」


 疲れきった裕司は流した汗――水分を補給するために近くに置いておいた革袋の水を勢いよく飲む。そして十分に飲んだところで誠二郎がその噂を口にする。


「なんでもお前の《破魔拳法》みたいに若くして新しい格闘術を編み出した奴がいるって噂だ。その名も《聖闘武術》。拳で闘う神官らしいぞ」

「僧兵ってことか?」

「俺たちの所じゃそうだな、少林寺みたいな。まだ教会の勢力から見れば小さな規模らしいけど知名度だけは俺たち召喚された勇者に迫るらしいぞ。なにより編み出した奴は前に倒した幹部とは別の奴を倒してる。現地の勇者を差し置いてな」

「ほぉ、そりゃあすげぇ」


 幹部を倒したという事を聞いて裕司が関心を持つ。特に、拳で幹部を倒した事にだ。

 実を言うと美香が倒したとされる幹部、実際は裕司とのコンビでなんとか(・・・・)倒したのが真実だった。幹部の名前に相応しい実力の持ち主で裕司も美香も生きているのが不思議なくらいだった。勝てたのは裕司が《破魔拳法》をその時に編み出し、それに圧された隙に美香がトドメを指したのだ。

 それではなぜ美香だけの手柄になっているかと言うとその時の裕司は大怪我をして表彰式に出られなかった事と、今後の味方の士気を踏まえて勇者1人が幹部に匹敵する事を知らしめるためだった。

 その同じ幹部を倒した実力者だ。興味を引かれるのは勇者として当然だった。


「興味が出たなら旅に出たついでに会ってみないか? 実を言うとそいつ、俺たちと同年代らしいから。お前にとってはライバルになるかもしれないぞ」

「どんな奴なんだ?」

「平民の赤毛らしい。あと特徴的なのが聖痕って呼ばれる黄色の痣が右肩から右肘にかけて刻まれてるらし、い……」

「ん、どうした?」


 誠二郎の説明が中途半端に終わり、しかも彼は裕司がいる場所より向こうを見て呆気に取られていた。その事から裕司も顔を反対に向け、そこにいた人物を見て呆気に取られた。

 その人物は若く彼らと同年代ぐらいの青年。そして着るのは神官が着る法衣と同じ紋章が縫われ、しかし意匠は中国の武術家を彷彿させる服。露出した肌は傷だらけで目を惹くが何より彼は赤毛で、その右腕には肩から肘にかけて黄色の刺青――いや聖痕があった。

 まさに誠二郎が先ほど口にした人物の特徴と一致していた。つまり、この青年こそが《聖闘武術》を創始者。


「…………が」


 そんな彼が裕二たち――正確には裕司を見ていた。そして、


「何がどうなんってこんな事が起きたんだよぉ!!」


 彼――ランバルトはそう叫んだ。











 《聖闘武術》を編み出したランバルトは転生者である。15歳に交通事故に巻き込まれた車の運転手を助けるために動いたが自身は車の爆発に巻き込まれ破片と炎の突風により死亡した。

 その直後、このツヴァルシンファのランバルトとなっていた。当時3歳。いわゆる物心が付く年齢であった。見方を変えれば3歳に前世の記憶が蘇ったという事だろう。そんな彼はこの世界で生きる覚悟を抱くと同時にどうせなら有名な男になろうと大志を抱いた。

 まずこの世界がいわゆる魔法と冒険者とモンスターのファンタジー世界である事を知ると冒険者になることを決意する。平民の生まれで家で教えてくれる人もいなかったが前世で武術を嗜んでいたため、文字通りの再出発として一から特訓を始めた。形は魂か何かに染み付いていたらしく、6歳の頃には学んで身に付けた域にまで取り戻した。ただその後は、破天荒すぎた。

 特訓をするという事は体を動かすこと。体を動かすということはお腹が減ること。お腹が減るという事は食事を多く取るという事。しかし最後の食事に関しては悲しきかな平民の質素な食事。1日で口にできる量では満足が行かなかった。その事実に気づいたランバルドは拙く学んでいた文字で両親と妹にこう書き残した。


『俺、しばらく自給自足します。探さないでください』


 6歳にして親不孝者となったランバルトは数本の解体ナイフを持って森の中へと入り込む。森には魔物が跋扈しているが同時に食料も豊富。住んでいた村がここの食料に手を出さないのは狩りに行けるだけの実力者が少なく、村全体では賄えないのだ。しかしランバルトは1人。狩った分だけ自分の胃袋に入るのだ。最初は手間取ったが15年分の知識と人生が後押しをして少しづつ成果を出していき、自身の空腹に見合うだけの食料を手に入れられるようになった。

 そんな日々を過ごしていたある日、古びた神像を見つける。好奇心からその像に触れると神の声を聞き、しかも聖人の素質があったらしく右腕に聖痕を刻まれた。


『キミの事、気に入っちゃったか頑張ってね』

「押し付けかっ」

『神様だからね』


 ついでに神様はお茶目なら女神様であった。

 結果として神官や聖騎士が使う聖術が習得をすっ飛ばして使えるようになった。回復・浄化と対アンデットと対魔王とその眷属が特徴的な聖術である。

 正直、武術を使うランバルドにしてみれば扱いに困る特典だったが貰ったものならできる限り使えるようにしようと武術と聖術の融合を目指す。これまた最初は手間取ったが使っていく内に聖術のある可能性、相手に痛みだけを与える攻撃法を見つけた。言うなれば相手を治療しつつも痛みだけを与える不殺必痛の拷問の技だ。それは殺さずに相手の心を折ること。それを魔物や動物に試した結果、1匹も殺すことは無かった。しかし食料は欲しいので最後はトドメを刺してしっかりと胃袋に収めた。もちろん通常の武術と聖術を磨き続けた。そうして武術も聖術を高め、この2つを合せた物を《聖闘武術》と名付けた。





 そうした日々を続けて9年。ぼっちも9年間。15歳になったランバルドはある日、生まれた村に不穏な気配が近づいている事を察し、すぐに向かうと禍々しい部隊を見つけた。後に知った事だがこの部隊は魔王の先遣隊の一隊であった。そうとはランバルドだったが聖人としての直感が危険信号を発し、そして部隊の兵士が村に向かっている事を知って単身殴り込みを行った。

 その結果、部隊は全滅した。9年間も積み上げた物はランバルドが思っていた以上の実力を与えており、加えて魔王の先遣隊――眷属が相手ということもあって聖術、そして《聖闘武術》は理不尽な程に大打撃を与えた。その中で唯一の失敗と言えば取りこぼした兵士を追った事で村の中に入り、家族と再会した事だった。

 もちろん、こっ酷く怒られた。それと同じくらい、聖痕を得たことに驚かれた。そして妹に泣き付かれて村に戻る事になる。


「兄様と離れたくない!!」

「わかったから。もうどこにもいかないから」

「じゃあ結婚して!!」

「それは色々と危ないからダメ」


 離れていた内に強い男が理想になった妹――レティルカが極度のブラコンになった瞬間でもあった。





それから1週間が過ぎた頃、お国のちょっと偉くて珍しく真面目な方がやってきた。事情と聞かれ実力を見せると国に呼ばれ、ひいては聖痕を刻んだ神様を祭る総本山に入る事となった。もちろんレティルカも呪いのようについて来た。

 最初こそはその異質と言えるランバルドだったが真摯な立場と見習いと同等の振る舞い、巡礼には真摯に努め、もっとも優秀だった聖騎士との決闘などを経て信頼を勝ち取っていた。そうしてランバルドの下には《聖闘武術》を修める者たちが集まった。そしてレティルカが最も早く修めた上に、なんと聖女としての資格を得た。そのキッカケは。


「神様ぁ!! 貴女様の使徒にでのなんでもなりますからどうか兄様と結ばれる可能性だけでもくださぁい!!」

「あのね、そんな事を願っても……」

『いいよ。聖女認定してあげる』

「「「ええっ!!?」」」


 お茶目な女神が教皇様を含む高い地位にいる方々にも聞こえるように聖女として認めた。これにはランバルドは頭を痛めた。

 この時、妹ながらレティカルは危機感を抱いていた。兄が手伝った見習い神官少女が懐いたり、兄が巡礼で助けた貴族令嬢や姫君が慕ってきたり、決闘相手だった聖騎士の女性には気に入られたり。いわゆるハーレムになりかけてる。本人も「いやまさか……」程度には自覚している。だからそこ何かのきっかけでそんな自体にならないよう、神に祈ってでも兄を独占したかったのであった。






 妹が引っ付いてから心休まる事がなくなったランバルドだがそれでも《聖闘武術》と向き合って己を鍛え続けた。この頃より魔王は存在したが新星あったことと意外にも知名度が低かったことで勇者一行にスカウトなんて事はなかったが、彼としてはそれでよかった。いまだ自身で納得できる域に達していないと考えており、加えて何か取っ掛りがあって決意もできなかった。それが結果として彼の母国を救った。

 彼が17歳の頃、魔王の幹部が大軍を率いて侵略に現れたのだ。国は兵を招集し交戦の姿勢を見せた。それと同時に幹部の奇襲部隊を結成した。ただし人数は手で数えられる程度の事実上相討ちのための生贄。その中にランバルドも選ばれた。彼を慕う女性たちはそれを止めたがそれを振り切り死地へと向かった。決して希望のある道のり出はなかったり、選ばれた勇士も半分が死んでしまった。しかし彼は幹部をその拳で討ち滅ぼし、生き残った者たちと共に生還した。この偉業によりランバルドの名は英雄として世界中に広がることとなった。






 それから数ヵ月後、ランバルドは大国が異世界から勇者を召喚した事を知る。そしてその呼ばれた者たちの名前を知るなり、強引且つ正式な手続きを済ませた上でその大国に向かった。目的はその勇者をこの目で確かめるため。

 異常な速度で駆け、異常な短期間で到着し、異常な正当さで城へ入城して彼は2人の勇者の前に現れた。1人はローブを纏った青年で、もう1人は上半身の肌を露出した青年。その2人の内、ランバルドは上半身を露出した青年――菅原 裕司の姿を凝視していた。まさかと急ぎここに足を運ばせ、そしてこの目で確かめた裕司の姿。ありえないと、彼は確実にその言葉を浮かべた。


「……なにが」


 小声でその思いが口から溢れる。そして感情が沸騰するのもすぐだった。


「何がどうなってこんな事態になんてんだよぉ!!」


 そう叫んでしまうのは無理は無かった。何故なら彼の前世は――。









 ――菅原 裕司なのだから。









「つまりお前は2年前の交通事後で死んだ俺って言う訳か! あの時、俺は一命を取り留めたが」

「そうだよ!! 信じられねぇならお前の部屋に隠した本を教えてやろうか!? ちなみに5冊で4ジャンルだったな!!」

「なら俺の初恋は!?」

「合気道の道場にいた人だよ!!」

「名前を口にしなくてありがとよ!!」


 裕司と元・裕司ことランバルドは大概に両手と額を互いに押し込むようにくっつけていた。相撲の取っ組み合いレベルの力比べである。しかしこの世界で英雄となったランバルドと互角の力比べができるとは、勇者である裕司の成長も凄まじいと思える光景である。

 そんな彼らを他所にしているのが2人。


「なるほど、転生してもあいつの本質は変わってないのか。違うのは15年分の経験があるくらいか」

「私から見てそっちの兄様は「若く」見えますわ。兄様って年に合わないほどに成熟ですから。まぁ転生云々については聞いてましたから納得する話ですけどね」

「そうだねぇ。――ところで妹さん。実の兄に懸想する気持ちってどんな感じ?」

「そっちこそ。同性の幼馴染に迫る気持ちはいかがですか?」

「………」

「………」


 ――ガシッ!!


 なにか通じたのか、2人は熱い握手を交わした。

 温度の差が激しい2組。しかし徐々に裕司とランバルドから熱気が冷めていき、息を乱しつつも取っ組み合いが終了した。


「とっ、とにかく……。用件、聞かせろ」

「最初はぁ……、お前が俺かの確認、だったがぁ。お前、旅の同行者は?」

「あぁ? 今……、勇士を募ってるがぁ……?」

「ならぁ……、俺もついて、行かせてもらうかぁ」

「なに?」

「ほぉ」

「ええっ!?」


 ランバルドの言葉に3人が三者三様の反応を見せた。特にレティカルの反応が過剰だった。

 ここでランバルドが呼吸を整え終わり、背筋もピンの伸びる。


「俺が生きてたんなら、ここで犬死させるのは気分が悪い。それに死んでも俺のように転生する可能性もありえねぇからな」

「なんだよ、守ってやるなんて思ってるのか?」

「俺のくせにそんな事を思ってるのか?」

「………」

「………」


 しばし睨み合い、無言で拳を構えた。後に決闘まで発展したのは言うまでもない。しかしこの勇者裕司と英雄ランバルドの双璧はこの後に数多の偉業と永きに渡る名声を打ち立ててゆく。

 2人の並行交差(パラレルクロス)はここから始まる――。

 

 もし、同じ異世界に同じ転生者と異邦人が存在して出会ったら?


 なんて事から思いつき、息抜きでちょっと書いて投稿しました。

 思うところがあれば感想、お待ちしています。

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