やり過ぎたけど……まあいいか!
乱暴な表現があります。苦手な方は気を付けて下さい。
俺はその夜にベッドをコッソリ抜け出す。隣で寝ているユリアとアルテミスを起こしてしまうと、言い訳が大変なのだ。
「すぴ~、すぴ~」
「むい~、ごめんなさい……ごしゅじん…………ぱんつが」
パンツが何だ? 可愛いパンツが失くなったのか? それは一大事だ!
安らかな寝顔を見せるユリアのオデコにキスをし、お尻を突き出し突っ伏して寝ているアルテミスのお尻に毛布を掛ける。
寝相の悪さに笑を堪えてコソコソと部屋を出た俺は、酒飲み達の間を抜けて領主の館に急いだ。
安酒の匂いと酔っ払いに苛つきながら、この怒りを領主に八つ当たりすることを誓った。
娼婦の誘いに小銀貨を払ってお尻を撫でながら先を急ぐ。お尻は無視できないのでこれが最速だ。
浮浪者の人達も無視できないので小銀貨をバラ蒔きつつ可愛い女の子のお尻もついでに撫でる。
小腹が空いたので屋台を浮浪者の皆とハシゴして食材を食い尽くしていった。
酒場の踊り子がウインクしてくるから悪いんだ。俺がお尻を撫でに行くのは当然だ。
様々なトラップの所為でなかなか進めなかったけど、1時間くらいで街で最も大きい屋敷に着いた。兵士が守っているので領主の館だろう。
俺の屋敷より大きくてムカつくな! 今度レクス王国の王都にこれより大きくて立派な屋敷を建てよう。
「止まれ! こんな時間に何の用だ!」
2人の兵士が槍を交差させて俺の行く手を阻んだ。
「トール・レオンハルトだ。遅くに悪いけど、領主のお仕置きに来たんだよ。お前達は朝まで寝ててくれ」
「勇者様でしたか。今はお館様は就寝中です。あし、た」
言い終わる前にライフイーターを発動して気絶させる。倒れた時に頭を打たないように抱えて寝かせた。
異変を嗅ぎ付けてやって来た兵士も次々に気絶させながら進んで行く。
気配を探りながら兵士を捜して気絶させる。全員朝まで寝てくれないと困る。
文官達も悉くライフイーターの餌食にして眠らせた。
「きゃああんぐっ」
途中で会ったメイドの女の子が悲鳴を上げたので、素早く口を塞いだ。
「俺はトール。美しいお姉さん、危害を加える気はないから部屋に帰って静かにしてくれるかな?」
口を塞がれたままコクコクと首を振るメイドのお尻を撫でてから離れる。
「ありがとう。明日にでも領主の部屋に行くといい。躾をして真人間にしておくから」
手をヒラヒラして先に進む俺を呆然と見詰めて、メイドは嬉しそうに1度頷いてから部屋に帰って行った。
やはり領主の横暴は嫌なようだ。納得して帰って行ったな。どれだけ嫌われてるんだよ。
侵入者を放置する使用人とか嫌だなぁ。俺のメイド達なら俺の部屋に蚊が1匹入っただけで大騒ぎなのに。
どっちのメイドでもオチオチ寝ていられないのは一緒かもしれないけど。
屋敷の中を探索しつつ、殆んどの兵士を気絶させてから領主の部屋に到着した。防音がしっかりしているので騒ぎに気付かず寝ている。
空間魔法で地下牢まで運んだあとに、叩き起こそうと寝ている伯爵の股間を蹴り上げた。
「ほげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!! はうっおおおおお!!!! ぶひぃぃ!!!」
股間を押さえて床を転げ回る領主の頭を踏みつけたら、豚みたいな声を上げて鼻血を出した。
踏まれた格好で股間を押さえてクネクネしているのがひたすら気持ち悪い。
「おうっ! おうっ! はおおおおぉぉぉぉぉ! はうっ!」
相当痛かったらしい。涙を流して言葉も出ないのか、いつまでも呻いている。
デップリ太った、脂汗を流す中年オヤジを見ているのはツラいな。
30分ほど叫び回ると痛みも治まってきたのか、涙目で睨んできた。
「ワシを誰だか知っての所業か! 衛兵!! さっさと来てコヤツを殺せ! そのあとで役立たずの衛兵共を処刑してくれるわ! 早く来んか!! 愚図の衛兵共!!」
あれだけ騒いで誰も来ないことに疑問はないのか?
「兵士は全部気絶させてある。ついでに忠告だが、目の前に敵が居るのに兵士を呼んだら人質にされるぞ? 顔を隠してないのも殺すつもりだと思わないのか?」
「下等な平民ごときが貴族を殺すだと!? 神をも畏れぬ愚行だぞ!」
お前達貴族は神じゃないし、俺の力は神から授かった物だしな。天罰じゃないか? 実際は俺の個人的な怒りだが。
「神はどちらかと言えば味方だな。重要なのは今からお前が酷い目に遇うということだ」
「何だと!? 衛兵!! 早く来んか!! 処刑するぞ!!」
はあ~、この馬鹿を躾しないとならないなんてな。
「処刑されたくなければワシを守れ! 役立たずの衛兵共!!」
「うるさいっ!!」
「はおぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
黙らす為に股間を蹴ったのに余計に煩い…………当たり前か。
「はあっ! おぉぉぉ、なっ、なんの恨みが有ってワシをぉぉ」
股間を押さえてピョンピョンする。
「恨みじゃなくて怒りだ。お前の統治の仕方が気に入らない。改善しろ」
「貴様ぁぁぁ! 貴族の権利を踏みにじる気か!」
「違う」
「はうっ、おぉぉぉ」
もう1度軽く蹴ったら切ない悲鳴を上げて蹲る。
「お前達の権利じゃなく義務を果たせと言ってるんだ。平民はお前の奴隷じゃない。お前に飯を食わせてくれる人達だ。だから統治する義務がある。いざという時に守るから君臨を許されてるんだ」
ちょっとやそっとで直る性格とは思えないが、躾をしないと殺して別の貴族が継ぐことになってしまう。ゴタゴタすると民が迷惑するから領地持ちの貴族は殺しにくい。
「心を入れ替えて領地経営すると誓うまで終わらんぞ」
俺は朝が来るまで拷問……じゃなくて躾を続けた。涙と鼻水とお漏らしでエライことになったアルクス伯爵を、空間魔法で部屋に戻して換気する。
爽やかな朝日が目蓋を焼き、寝不足の頭を刺激する。別の刺激臭もキツイが。
街も起き出し、店の準備や食材の買い出しに走る人々、宿屋の下働きの少女達が忙しく動き回る。
「お館様、朝になりました。朝食の時間です」
コンコンとノックの音がしてメイドがやって来たので部屋に入るように促す。
「失礼しま……うっ」
臭いのでメイド達が顔をしかめた。
「はひぃ、も、申し訳ございません! ワシごときがメイド様の手を煩わせてしまいましたぁぁぁ!」
いきなり土下座をして謝りだす。躾は上手くいったらしい。一晩中蹴った上に散々心をへし折ってやったしな!
すっかり卑屈になった伯爵を眺めて満足する。この街の平和は守られた。
「あっ、あの! これはどうしたことでしょう?」
床に頭を付けたまま、ぺこぺこ謝りながらメイド達に向かってにじり寄る伯爵を気持ち悪そうに見詰めるメイド達。
ズボンの尻がモッコリ膨らんでいるので、変な虫みたいだ。
「心を入れ替えたそうだ。気持ち悪いなら蹴り飛ばせ」
「貴族様を害したら殺されてしまいます!」
大丈夫と言っても信じられないみたいなので、見本を見せるために蹴り飛ばした。
それでも怒らずに謝り倒す伯爵に納得したのか、メイド達がこのセクハラ野郎などと言って蹴り始めた。
俺に蹴られるより若干嬉しそうで益々キモいな。
しかしメイド達も相当ストレスが溜まっていたらしい。
メイド達が折檻をしている間に、印を使って法律を変える書類を作成する。
税率などを2割まで下げて、気になっていた悪法を改善するように指示を書き込んでいく。
それを適当な文官に渡して、実効可能な法律を施行させた。出来ない法律は、なるべく近付ける努力をするように命令した。
領主の館を出て離れるまで、俺の耳に領主の謝る声とメイドの罵声が聴こえていた。
俺の泊まる高級宿に帰ると、下働きの少女が手と足を洗ってくれたので、少銀貨をチップにあげたら驚いていた。
高級宿でも大銅貨くらいが相場なのでぺこぺこお礼をしている。頭を振り過ぎてクラクラした少女を椅子に座らせてから部屋に帰った。
「ご主人様! また夜遊びしたんですか? 夜遊びするくらいならユリアを可愛いがってください!」
「む~、ユリア、うるさい~。アルは眠い」
扉を開けた瞬間にユリアに叱られた。
「ユリア。夜遊びに行く訳ないだろ? 隣に愛する女の子が居るのに。仕事の一環だよ」
なんか浮気の言い訳みたいだが事実だ。
「そうだったんですか。ごめんなさい……疑ってしまって」
「ん? アルはかわいい~?」
「寝ぼけたパンツ丸出しのアルテミスも可愛いぞ」
やはりお尻を突き出したまま2度寝した。
「お仕事お疲れ様でした。お風呂の準備はできてます!」
疲れたし風呂に入ろう。
「ご主人様、ユリアの身体で洗いますね!」
「ユリアの肌はスベスベして気持ちいいからな」
昨夜はアルテミスが居たからエッチなことが出来なかったので、ユリアもツインテールを振り回し俺を泡まみれにする。
「ユリア、まずはキスをしよう」
「はい! …………ん、ちゅ、あむ」
啄むような口付けを交わす。ユリアの鼻に掛かる甘い吐息が俺を夢中にする。
キスをすると幸せな気分になるな。エッチとは違うやすらぎを感じる。
堪らなくなってユリアのお尻を両手で鷲掴みして膝に乗せる。
「ちゅ、んっ…………………………はあっ……ご主人様、ユリアを可愛いがってください」
「ここまで来たら離せと言っても無理だ」
泡まみれのユリアをキツく抱き締めてお互いの大切な部分で愛し合う。
それはアルテミスが起き出して、風呂場に突入して来るまで終わらなかった。
具体的には16回。歳の数だけやりました。アルテミスは寝坊助だな。
「……ごしゅじんのペットがユリアに噛みついた!」




