↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/49

魔王軍の力の一端

 上段から振り下ろされた大剣を、リーゼと共に受け止める。踏みしめた足下にヒビが入るほどの強力な一撃に、俺達は膝を突く。

 2人掛かりでも力負けするなんて!


「トール! 姫様!」


 どんどん押し込まれる俺達を見て、ケビンが慌てて援護射撃をする。

 しかし、飛んできた矢を口で止めて噛み砕く。


「私を忘れて貰っては困るよ!」


 見かねてビリーが斬り掛かる。


「忘れておらんわ!!」


 尻尾が振られてビリーを床に叩き付けられた。

 だが、注意が逸れた一瞬に、闘気を高めて大剣を弾き返す。

 圧力が消えたので、すぐに距離を取る。


「ご主人様に近付かないでください!」

「お兄ちゃんを苛めるな!」


 追撃を仕掛ける敵に、ユリア魔法とカリンの光の羽根が襲い掛かる。


「小賢しい!!」


 口を開けて吼えると、衝撃波が発生してユリア達の攻撃を吹き散らした。


「グオッ!?」


 しかし、その隙を見逃さず、俺の魔力を纏った剣が奴の太ももを斬り裂く。

 闘気で身体も強化されているので、なんとかダメージを与えることが出来た。


「小僧がぁぁぁぁ!!」


 怒りで俺に攻撃が集中する。

 繰り出される攻撃をギリギリ躱し、仲間に敵の背中が見える様に誘導していく。

 準備の整った仲間達が一斉攻撃を放つ。


 ユリアの精霊魔法、リーゼの光魔法、マリンの土魔法、カリンの光の羽根、ケビンの弓矢が敵の背中に炸裂した。


「グアァァァァァァッ!? 貴様らぁぁぁぁ!! 許さんぞ!」


 後衛に向かった奴にビリーが斬り掛かる。

 すぐに気付いて迎撃しようとするが、俺の空間攻撃が奴の腕に突き刺さり、狙いが逸れた。


「最高のタイミングだよ、トール君!」


 真正面から奴の胴を一文字斬りにする。血飛沫がビリーの身体を染めるが、奴は止まらず斬り掛かった。

 ビリーも咄嗟に躱すが、避け損ねて袈裟懸けに斬られた。


「あなた!!」


 急いで回復に向かうマリンを皆で援護する。

 だが、奴には半端な魔法は通じず、腕の一振りで掻き消される。


 仕方ない。かなり消耗するが、俺も必殺技を出そう。


「光神衝烈波(こうじんしょうれつは)!!」


 俺の振るった剣から光の奔流が生まれて、床を削りながらガルファングの背中に直撃した。

 爆発的な輝きが走り、奴を壁まで吹き飛ばした。


「ガハッ、ゴフッ…………な、なんだ! 今の攻撃は!?」


 お師匠に習った必殺技の威力は凄いけど、消耗が激しいな。


「今の内に追撃しろ! マリンはビリーの回復を早く!」


 俺の言葉に、我にかえった仲間達が動く。

 背中をズタズタにされた敵に、容赦なく攻撃が降り注ぐ。

 その間にビリーが回復し、俺は奴と距離を詰めた。

 ライフイーターで敵から奪い、マジックイーターで魔法結晶から魔力を引き出す。

 回復したビリーが斬り付け離れる。

 力を溜めた俺が止めの必殺技を繰り出した。


「光神旋風突(こうじんせんぷうとつ)!!」


 渦を巻く光を剣に纏い、敵に突きを放つ。


「グアァァァァァァァッ!!!」


 奴の振り上げた腕が、力を失い垂れ下がる。

 俺の剣が胸を穿(うが)ち、背中から突き抜けている。


「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ…………俺の勝ちだ!」


 勝利の宣言をしたら、剣を抜いて後ろに跳ぶ。

 ドガッと音を立てて奴の身体が床に沈んだ。


「ご主人様~! 大丈夫ですか? 怪我はないですか? お疲れさまでした!」


 駆け寄ってきたユリアを抱き締めて、良い香りを胸一杯に吸い込んだ。

 血の匂いは嫌いだ。


「お兄ちゃん! カッコいい~! 必殺技だよ! 無敵だよ~!」


 変身を解いたカリンが顔に飛び付いて、胸の感触が気持ちいいな。


「光剣カインの技を使うなんて…………凄いじゃないトール!」


 リーゼも興奮した様子で頬を上気させている。


「トール! なんだ、あの技は!?」

「見事な技だね。カイン殿から習ったのかい?」

「あなた、ケビン、気になるのは解るけど回復が先よ」


 マリンの言う通りだ。まだパーヴェルが上に居る。魔力はかなり小さいが、奴の魔力を微かに感じる。

 皆の体力と魔力を回復しながら、俺の必殺技の説明をする。


 お師匠の流派は、光神流剣術。

 闘気や戦気に、光魔法を掛け合わせた魔法剣だ。

 力を込めると威力が上がるが、相応の体力と魔力を使うことになるので、最大威力で放つと回復しなければ連発は出来ない。


 お師匠は戦気を使うので、同じ量のHPを使っても、威力が俺より1.5倍は高い。

 光魔法のレベルも俺より高いので、込める魔力も多いし剣術のレベルも高いので、相手に直接剣を当てるタイプの必殺技は、実質的に俺より5倍くらい強力だろう。

 ただ、年のせいで最大HPが下がっているらしく、全盛期の様な威力で撃てないそうだ。

 光神流の必殺技は、魔族に対して特効らしく、ダメージがかなり上がるそうなので、お師匠が俺の教師として呼ばれた。



「あたしも練習したけど、闘気を操れなくて習得できなかったのに……ズルイ!」


 リーゼのスキルに光魔法が有ったからなぁ、闘気が使えれば俺より威力が高いかもしれないのに、勿体ないな。


「何にしても、トールの必殺技が魔族に有効なんだから、もっと強くなればパーヴェルとも戦えるかもな!」


 ケビンは少し楽観的だが、勝てる見込みがまったく無い訳じゃない。

 さっきの戦いで、俺のレベルは41になったし、ユリアは32、リーゼは50、カリンが27、ビリー44、ケビン35、マリン39になった。

 レベルイーターで弱体化してなかったら勝てないけど、経験値的には弱体化しない方がいい。


 回復が終わり、全員満タンになったので3階を目指す。

 罠も無く、探索が楽に進む。

 遂に3階への階段を見付けて上ると、50メートル四方の部屋の奥に祭壇が在り、パーヴェルが漆黒の宝珠を取り上げるところだった。


「……ご主人様、封印は壊されています!」

「間に合わなかったようだね……」


 パーヴェルの魔力は、もう殆んど残って無い。体力も消耗が激しく、1500を切っている。

 500人の兵士、ガーゴイルや神鉄のゴーレムを倒したからか、レベルが以前より2も上がっているが。


「…………貴様はどこかで見た憶えがあるな。手加減したとは言え、私の攻撃で生きているとはな。褒めてやろう、人間」


 相変わらずムカつくな!! 嘗(な)めやがって。


「お褒めに与り恐悦至極だ馬鹿野郎!」

「フッ、生き延びただけでも驚異的だが、その度胸も褒めてやるぞ、人間」


 奴が大鎌を構える。

 俺、リーゼ、ビリー、ケビンが迎え撃つ。ケビンは槍に持ち換えて戦う様だ。

 霞む様なスピードで斬り掛かってきたパーヴェルの鎌を、4人で受け止める。


「ぐあぁ!」

「キャア!」

「うっ!」

「うわぁ!」


 しかし、4人まとめて武器を弾かれて、ユリア達の居る入り口付近まで吹き飛ばされた。


「腕が痺れて……何て力だ!」


 俺だけが立ち上がり、他の3人は血を流して倒れている。マリン達が回復魔法やポーションで治療を始める。


「貴様は倒れないか……驚いたぞ。名を聞こう」

「トールだ! トール・レオンハート!」

「フッ、ではトールよ、貴様の名だけは憶えておいてやろう! 光栄に思え! あの世への手向けだ!」


 ヤバいな。勝てない。


「パーヴェル、調子に乗っているとこ悪いが、自分のステータスを見たらどうだ? なぜ俺は怪我も無く立ち上がれる?」


 こうなったら、ハッタリで追い払うしかない。


「…………貴様、何をした?」


 ステータスを確認したパーヴェルが、警戒する様に距離を取って訊いてきた。


「奪っただけだ。さあ近付いて来い! あと数回でお前は死ぬ! この前のお返しをしてやる! 勝負はこれからだ!」

「チッ、妙なスキルを持っている様だな。対策を手に入れるまで貴様には近付くのは危険だな。今日のところは退かせて貰う」


 言うなり、壁を破って外に飛び出して行った。


「助かった……」


 大の字で床に寝そべり息を吐く。

 仲間達も回復が済んだらしく、息を吐いて安堵している。

 パーヴェルのレベルを奪ったから、俺のレベルが45まで上がっていたが、あと3ヵ月は奴からレベルを奪えない。

 次の遺跡でパーヴェルに遭ったらどうしようか?


「ご主人様、大丈夫ですか?」


 無言で寝転がる俺を心配して、ユリアが膝枕をしてくれる。


「大丈夫だけど、もっと強くならないと勝負にならん」

「ご主人様達4人でも力負けするなんて…………脅威です」

「トールが居なかったら、お父様の兵士と同じように全滅してたわ……悔しい!」

「……お兄ちゃん、アタシ恐いよ~」


 リーゼは泣きべそを掻き、カリンは震えて抱き付いてきた。


「何なんだ! あの化け物は!」

「ケビン、落ち込まないの。みんなが無事だったんだから、私達の勝ちよ」


 マリンは母親らしく、包容力があるな。


「まさかこれ程の力量差が有るとはね……魔力が尽きても強すぎるね。1度王都に戻って次に向かう遺跡を決めよう。装備品も強くした方がいい」


 神鉄を手に入れたから、あれで剣を作って貰おうかな? 全員分の装備品を整えるくらいの量は有るだろう。


「封印も破られたし、いつまでもここに居ても仕方ない、探索が済んでない場所を見て回ったら帰ろう」

「あたしは一旦お城に帰って、宝物庫の中に強力な武具がないか探してみるわ」


 とにかく戦力アップだ。王都で1ヵ月に1度開かれるオークションにも行ってみよう。

 戦気も覚えて光魔法のレベルも上げたい。お師匠にもう一度稽古を付けて貰って、必殺技を増やさないと。

 お師匠に貰った、光神流剣術の奥義書を暗記するくらい読もう。

 俺達は隅々まで探索を終え、帰還の翼を使って王都の城に帰還した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。