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道草喰いては紆余曲折

 《Ⅰ》


 * * *


 広大なるラインラント平野。その周囲よりも小高い位置に築かれし王都。


 攻め難く守り易い土地を囲む乳白色の小高い外壁、その中心部には巨大な城があった。


 三本の尖塔を備え、三層の区画にて築かれし紺碧の空に映える白堊の王城。その中の繊細かつ煌びやかな装飾の施された部屋の一つ。大きく壁を切り取った装飾窓を背景に、一つの幅広な机がある。部屋の両壁は書架(しょか)に埋め尽くされている様子を見ると、どうやらこの部屋は執務室のようだ。


 そして風格あるオーク材で作られた執務机に、まるで身を投げ出すようにしてピクリとも動かない、一人の女性の姿があった。


 机の上に広がった、まるで黄金の波を想い浮かべる豪奢な金糸の髪に隠れて、その顔は伺い知れない。ただその顔は見えずとも、執務室という国の政治に携わる場所に居る人物となれば、何者かは容易に想像がつく。


 リージュ・ル=グランスワール・ファン=アルト皇女殿下――それが、机の上にだらしなく寝そべる女性の正体だ。




 そしてその執務室には、五分ほど前からもう一つの人の姿があった。


 綺麗に刈り揃えられた口髭をさすりながら、静かな微笑を浮かべた老執事。白髪混じりの白銀の髪を後ろへと撫で付けた、執事長のオラン・シュラザートであった。ピシリと背筋を伸ばした優美なるシルエットは、その年齢も相まってか、どこか由緒ある老樹を想佛(そうふつ)とさせる。


 ただしそれは単に痩せていると云う訳では無い。黒の執事服の下の肉体は鋼鉄の如く鍛えられ、引き締まっているが故の極限美のソレであった。そんな彼は執務室に入室してから一言も発する事無く、扉の脇に控えている。


(……騎士団長が城を出て、もう十四日ですか)


 オランは皇女アルトを見ながらその微笑を崩すこと無く、内心独りごちた。


 その娘フォルテと、騎士団長クレスが『周辺諸国の調査』という名目で旅に出てからと云うものの、まるで水を遣り忘れた花のように日に日に萎れていくような印象を覚える。


 言い出しっぺと言うか、事の発端は彼女であった筈だが、二人同時に居なくなったのは自分でも想像以上のダメージがあったらしい。


 オランはここ一週間ほどで見慣れたのか、どこか哀愁ただよう主君の様子にも、今では眉ひとつ微動だにしなくなっている。


 政治の中枢を司る人間がこうも気力が削がれていては、公務にも支障をきたしそうなものだが――むしろその逆、滞る事など一切無く、普段以上に円滑に進んでいた。


 いや、決して皇女殿下が口を出さないから公務が円滑に回っている訳では無く……二人が居なくなった淋しさを、彼女が紛らわそうとした結果である。


 そして現在は急務など存在せず、彼女の採決を必要とする案件も無くなっていた。故にオランは皇女にあるまじき振る舞いを咎める事無く、ただ黙って傍観しているのだ。




 不意に、重厚な木の扉がノックされた。それからの彼女の行動は素早いと言えよう。アルトは机に伏せていた頭を跳ね上げ、傍にある書簡箱から紙を一枚抜き取り、サッと片手で乱れた髪を整える。


 一瞬にして見事な変貌振りだ。


 しかしオランはこれも見慣れたものであり、特にこれといって驚いた様子は無い。


 ただ、『手慣れていますね……今後は注意しておきましょう』と、心のメモ帳に警告文を書き加えるのであった。


「どうぞ」


 細い指を顎先に添えて視線を落としながら、さも今まで書類を確認していた風を装い入室を促す。


「失礼致します」


 ガチャリ――と控え目な音を立てて入ってきたのは、一人の女性。


 銀の髪を夜会巻きにし、リムレスの眼鏡を掛けた理知的な風貌。白と黒のエプロンドレスを身に纏った淑女然としたこの女性は、執事長を補佐する立場にある。


 そんな彼女の名はソニア・シュラザート、執事長のオランの一人娘だ。


 皇女アルトを眩い光を放つ『黄金の太陽』と称するならば、このソニアは冴え冴えと光を放つ『銀色の月』と喩えられる。


 ややつり上がった瞳は見るものに怜悧れいり)な印象を抱かせると同時に、しっとりとした上品さと聡明さが伝わってくる。


 彼女は執事長を勤める父オラン、そして母である宮廷筆頭魔術師ルーニアの一人娘。


 纏う雰囲気は幼少の頃から両親により高度な教育を受けたものであり、それはどこか一国の姫君と紹介されても信じてしまいそうな高貴なる風情を醸し出していた。




 そんな欠点らしい欠点の見当たらないソニアだが、父オランから言わせれば、どうやら重要な欠点があるようだ。


 オランにとってソニアは自慢の愛娘ではあるのだが、その欠点とは『男旱(おとこひで)り』が続いていることだ。


 いや、城中に男性など無数に存在する……だがオランが憂いているのは、その完璧さ故にソニアに近付こうとする者が居らず、また釣り合う男性が居ないことだ。


 ソニアは両親の才能を強く受け継ぎ、武術・精霊術に秀で、更には膨大な知識と教養を備えている。そして下手な辺境伯等より由緒在る血筋に、『銀色の月』と称されるその美貌である――凡庸たる者がおいそれと手の出せる花では無い。


 そして勿論、執事長の――いや、その父オランの眼鏡にかなう相手でなければならない。当然である。




 そんなソニアの歩く姿は優雅で、見惚れる程の流麗さがある。そう、いつもならば。ただしこの時ばかりはその限りでは無く、皇女アルト、父オランはそれをわざわざ咎めようとはしない。


 その理由はソニアが片手に抱える書簡箱にあった。それに積み重なった書筒(しょづつ)の山を見て、皇女アルトも小さく眉をひそめる。




(十……六、といった所ですか。今日も多いですね)


 オランは表情を変えずに、呆れと感嘆の吐息を溢す。


 娘ソニアが不機嫌になるのは、決まってある人物が関わってくる事をオランは重々承知していた。


 完璧と称されようともまだ二十歳の娘、その人生経験は言わずもがな、ましてや恋愛経験に関しては皆無に等しい。恋は盲目と言うか……その様子は誰の目にも分かりやすいものであった。


 そんな娘が恋心を抱いているのは、()しくもオランの眼鏡にかなう相手である。


 父親としては複雑な想いもあるが、子供の幸せを願わぬ親など居ない、オランとしては素直に応援したいところだ。そう、それが()の騎士団長でなければの話だが。


 確かに彼は<能力的には>申し分無く、オランの眼鏡にかなう――恐らく唯一の男性である。ただし、あの<稀代の女誑(おんなたらし)>だけは辞めておけと、今でも声を大にして叫びたいところだ。


『女誑し』とは、彼の事を知る人物ならば、その風評は誤解であると分かる。ただし一歩離れた位置から見れば、彼は正真正銘の、疑う余地も無いほどの女誑しだ。それは誰の目にも明らかである。


 オランと彼は友人、いや戦友と言っても過言ではない間柄だ。ただし、彼に『お義父さん』等とでも呼ばれる事となれば、決闘をも辞さない覚悟であった。


 オランは娘の将来を想い、過去に『あの男だけは辞めておけ』と言ったことがあった。そして、その時に向けられた視線が胸に突き刺さり、今では何も言わなくなっている。




 ソニアは普段より荒っぽい足取りで執務机の前へと近付き、書簡箱を机へと置いた。


「アルト皇女殿下、願い状が届きました」


 いつもより冷え冷えとした、まるで極寒の吹雪をも思わせる声音が響く。


 アルトはその書筒の山を見ては美しい眉をひそめ、手に持っていた書類を机の上へ投げ出す。


 そしてうんざりと言った様子でこれ見よがしに溜め息を吐き出した。




『願い状』――それはグランスワール王国の貴族諸侯に留まらず、和平後は近隣諸国の貴族からの物まであった。


 ここで一つ訂正を入れておくと、これら願い状は皇女アルトへと届いたものでは無く、騎士団長クレス・スタンノートへと届いたものである。


 その内容とは『見合いの申し込み』や、貴族の娘や姪を『側仕えの侍女』として付けたいというものであった。


――いつの時代も侍女や小姓が主人に懸想(けそう)をするなど、決して珍しい話ではない。寧ろ貴族の中には愛妾(あいしょう)として、妻の他に幾人も囲っている者までいたりする。


『英雄、色を好む』とは昔から言われ、こう言った事は人脈を結ぶにも容易なもので、貴族の間での<習わし>のようなものだ。


 そもそもな話、騎士にその様な願い状が何十通も届くものでは無い。例え『銀のメダリオン』持ちとはいえ、クレスは領地持ちの貴族とは違うのだ。


 だが、それもあくまで『和平前』の話である。近隣諸国と肩を並べ、魔王に対して共闘をするが為に、暫定的にだが彼にはある役職が付けられた。


 その役職とは『将軍』である。


 グランスワール王国の両翼を担う存在、その片翼である『宰相(さいしょう)』を文の重鎮とするならば、『将軍』とはつまり武の重鎮だ。


 つまり彼の立場とは貴族等の枠組みに留まる話ではなく、名実ともに国の趨勢(すうせい)をも左右する存在であると言うこと。


 ただ、あくまでその役職が『暫定的』にとされているのは、貴族達の反発を極力抑える為である。元は平民であるクレスが『金』では無く、『銀のメダリオン』を授与されているのにも、そう言った理由があった。


 各々の思惑がある中、クレスには一定の間隔でこう言った願い状が届いている。


 ただし一つ疑問なのが――クレス宛の願い状であるにも関わらず、何故か当然のように皇女アルトの元へと運ばれている事か。


 そしてクレス本人に至っては、その様な『願い状』の存在すら知らないのが現状であった。ただし、この場に居る三人はそんな事は気にも留めてない。


 何年も前から、城の中では『クレス・スタンノート宛』とは『アルト皇女殿下宛』として処理される。そしてそれら書状は、文官によって返事がしたためられていた。


 しかも何故か、クレスの署名付きで。


 それは所謂一種の<偽装>であったが、その事を咎める者など城中に存在しない。何故ならばこの国のトップは皇女殿下であり、彼女がそれを白と言えば白なのだから。




「ソニア、いつものように処理しておいて」


 そして執事長オランは二人のやり取りを、自慢の口髭を撫でながら素知らぬ顔で聞き流している。オランとクレスは唯一無二の友人同士であった筈だが、『ソレはソレ、コレはコレ』と言う訳である。


 なにもわざわざ火の粉の降り掛かる位置に、自分の身を置こうとする馬鹿者は居ない。その火の粉が、地獄の業火と遜色無いものならば尚更だ。


 そしてそこには、いとおしい愛娘の心を拐った彼に対しての一切の私情が無い訳ではない。オランはクレスの友人でありながら、人一倍彼に厳しいのであった。




 そう、これは幾度となく繰り広げられた一種の日常である――ただ一つの違いを除いて。


 常ならば、ソニアはそのまま書筒の山を文官の所まで持って行く。だが、何故か今日はその場を動こうとはしなかった。


 そしてオランとアルトの不思議そうな視線を受けつつ、ソニアは書筒の一つを手に取った。


「こちら、ご確認願います」


 差し出された黒い革張りの書筒を受け取り、アルトは手紙を取り出す。


 中の手紙は金色の封蝋ふうろう)が施され、一角獣を象った印璽いんじ)が押されていた。不意にアルトは眉根を寄せる。


 その表情の理由は封蝋に押された一角獣のモチーフにある。それは長年争っていた帝国の紋章であった。


 更には『金の封蝋』となれば、この手紙の送り主は皇族の直系を意味する。




 アルトの微細な変化を感じ取ったのか、オランとソニアの二人は表情を固くした。空気がキリキリと張り詰めていくような中に、アルトの指が奏でる紙擦れの音が静かに響く。


 一字一句、アルトは読み落としが無いように、ゆっくりと手紙に書かれた文字に視線を這わせる。


 そしてその途中――アルトの表情は驚きと困惑に彩られた。そんな彼女の滅多に見ることの無い変化に、二人は驚愕を禁じ得ない。


 そして最後まで読み終えた彼女は、胸の中に渦巻く激情を堪えるよう――きつく、瞼を綴じた。


 手紙に書かれていた内容はこうだ。


――『騎士クレス・スタンノートを婿養子とし、帝国の嫡子(ちゃくし)として迎え入れたい』


 それはまさに途方もなく、聞けば誰しも驚倒(きょうとう)する程の話であった。だが、実力主義の帝国であれば決して有り得ない話ではない。


 そしてこれは、単なる婚姻(こんいん)とは話が違う。この手紙の内容が意味するのは――両国間の正式な平和と友誼(ゆうぎ)、そして未来永劫の強い結束を意味する。




 仮にもクレスは『将軍』であり王国の英雄だ、その出生を問わねば地位に関しては申し分ないもの。


 そう、例えそれが噂に名高い帝国の姫君――空の碧と純白の雲を融け合わせたかのような美しさを誇る、『清廉明媚(せいれんめいび)なる蒼の姫』であろうともだ。


 * * *




 《Ⅱ》


「お尻、痛い…………」


 ボソリ――と、右からひどく不満そうな呟きが聞こえてきた。


 それは外からの複数の馬蹄(ばてい)の響きと車輪の駆動音に紛れ、私にしか聞こえなかったようだ。


 私の隣で膝を抱えて座るフォルテの表情は、深く被ったフードローブに隠れて見えないが、不機嫌そうな気配だけはヒシヒシと伝わってくる。


 だがその不機嫌の原因に関しては対処しようがなく、私はただただ妙な胸の動悸(どうき)を抑える事しか出来ない。




 今日で城を出て十四日目――今現在、私とフォルテは三台の馬車の内の一つに揺られていた。


 馬車は険しい山道を走っており、その悪い路面は振動として伝わってくる。


 駆動部と台車の間に緩衝材を設けてはいるようだが、流石に平坦な道とは訳が違う。


 一応、最初に綿を詰めたクッションを渡されてはいたが、凹凸の激しい道ではたいして意味を為さないでいた。そして一人一つ渡されたクッションだったが――フォルテは現在二つ使用している。


 私も尻が痛い。




 私達が乗っているこの馬車は<商人組合>――通称<キャラバン>所属の商隊の一つである。


 そして馬車の中には私とフォルテを含め四人の人間が居た。一人は緩く波打つとうもろこし色の髪をした、見るからに人の良さそうな糸目の青年だ。


 この糸目の青年は、若くして一つの商隊を纏める商隊長である。前の町で見掛けた彼ら商隊に、銀貨十枚で話を持ち掛け今に至る。


 そして四人の内の最後の一人は、見るからに暴力を生業とする気配を持った人間であった。髪の毛一本も残さずを剃りあげた禿頭(とくとう)に、刀傷の残る強面な顔。胸板は分厚く、体はしっかりと引き締まっている。簡易な革の鎧から覗く腕にも薄く刀傷が残っていた。


 彼は糸目の商人率いる商隊に雇われた傭兵である。ただ、その粗野(そや)な雰囲気からは山賊と言われた方がしっくりとくるだろう。ただ一般的な傭兵の本質は、山賊となんら変わり無いものだが。


 傭兵の男は武器の手入れを行い、商人はパラパラと帳簿のようなものを捲っている。


 そして商人はこちらの視線に気付くと、人好きする笑みを浮かべた。


「予定だと、到着は明日の夕刻頃になりそうですね」


 糸目の商人は御者台の方へチラリと視線を送りつつ、外の景色を眺めそう答えた。それに相づちを返しつつ、これからの予定を思案する。


 <ルード>の村を出てからその間、二つの村を経由して今に至る。その間に風邪を引いたり移されたりと色々とあったが、大事も無く進んできた。


 そしてとうとう明日には、グランスワール王国の国境を越えヴォルカニカ帝国の領内へと入る事となる。




「そう言えば商人殿、帝国で最近何か変わった事はありませんか?」


 世間話の合間に、質問を投げ掛けた。商人は「そうですね……」と呟き、虚空を見詰める。


「どうにも最近、帝都で祭りの準備がされているようです」


「祭り、ですか?」


 聞き返すと商人は「ええ」と頷く。そして「あくまで噂ですが……」と前置きをして話を続けた。


「何でも、あの帝国の姫君を妻として(めと)る人物が現れたとか」


「ほぅ……」


「あくまで噂ですがね」


 感嘆の息を吐く私に、商人は苦笑を溢す。


「先日、帝都で姫君の十八回目の聖誕祭がありまして、その際に皇帝がそれらしい話をしたとか……しないとか」


 そう言って商人は軽く肩を竦めた。


「国を挙げての祭りとなれば、商人からすれば稼ぎ時なんですが……私のような力の無い者ですと、僅かばかりの小銭を稼ぐのが関の山です。


 むしろ、普段取り扱ってる商品の確保すら難しくなるので、諸手を挙げて喜べないのが現状ですね」


「なるほど、そうですか」


 私は同情する様子を取り繕う。ただそれは私にとっては吉報であり、商人殿には悪いが好都合としか言いようが無かった。


 祭となれば各地で民は浮き足立ち、調査がやり易くなる。更には商隊も国に複数出入りし、人の動きが多くなる――つまりは、こちらとしては動きやすい。


 ただ今後の懸念(けねん)事項としては、その皇帝が口にしたと言う男の存在であった。


 帝国に王子の存在は無く、子は姫君の一人だけである。まだ先の話だが、次の皇帝に取って変わる位置には、その姫君を妻として(めと)った男が就くことになる筈だ。


 その皇帝の後継者となる人物の影すら掴めてはいないが、我が国としては和戦両様の構えで備えるべきだろう。今後の国の趨勢(すうせい)に関わる事だ、最重要事項として調査を進めるとしよう。




「ところでルーグリッドさん、帝国へ何をしに行かれるんですか?」


 商人殿の問いに、私は考察と検討から意識を引き戻す。


「私は精霊学の研究をしていまして、フィールドワークで各地を転々としてます。今回は精霊にまつわる伝承を主に調べようと」


「なるほど、そうでしたか。となると最終的な旅の目的は<グランスリット>へ?」


 グランスリット皇国――その国はヴォルカニカ帝国の北に位置する、最も精霊学が進んだ国だ。そして『光の精霊・ルミエール』を信奉する宗教国家であった。


「いえ、今回は帝国内の調査だけですね。あまり長くは家を空けられないものでして……」


「そうですか、帰りはどうなさるおつもりで?」


「まだ決めてはいません。調査が済み次第といったところですが……帰りはまた商隊の馬車にでも乗せて貰おうかと考えてます」


 その瞬間、私の言葉に反応して隣からトゲトゲしい気配が立ち上る。私は鋼の意思を発揮し、何事も無いかったかのように振る舞う。




「ハハ、そうですか。ここで会ったのも何かの縁。もしまたお会いしましたら、今度はお安くしますよ」


 商人殿は闊達かったつに商売人特有の笑みを溢す。


「ええ、その際はお願いします」


 二人で笑みを交わしている間にも、隣の不機嫌な気配は加速度的に大きくなるばかりだ。


 流石に商人殿も無視できなくなったのか、徐々に笑顔がひきつってきた。そしてどこか慌てたように口を開く。


「そ、そう言えば、もう直ぐ夕食の時間ですね……それと馬も休ませなくてはいけない頃かな――」


 商人殿は立ち上がり、そう言葉を溢してはそそくさと御者台の方へ歩み寄って行く。それはどこか言い訳臭かったが、私としてもその申し出は非常にありがたかった。




 《Ⅲ》


 パンに挟まれたシャキッとした野菜の瑞々しい食感。そして豚肉の強い塩気を、チーズ特有の甘味が中和する。




 今日の夜営地を決めた後、近くの木へと馬を繋ぎ商隊は手慣れた様子で準備を整えていた。


 隊長を務める商人殿は、他五名の商人達を指揮している。私達は客人という事で与えられる仕事はなく、こうして馬車の中にて一足先に夕食を頂いていた。


 暫くすると僅かに外が明るくなった。獣避けの火を()こしたのだろう。


 それから私が渡された夕食を全て胃袋へ納めた頃、禿頭の傭兵が馬車の中へと入ってきた。彼は定位置へと腰を下ろし、無言のままに同じ食事を摂り始める。


 外からは火の近くに集まった、商人達の話し声が微かに聞こえてくる。


 そしてようやくフォルテが夕食を食べ終わった頃、商人殿が戻ってきた。


「良かったら飲んでください」


 そう言った商人殿の両手にはカップがあり、微かな湯気を立ち上らせていた。恐らく湯を沸かして茶を淹れてくれたのだろう。


 私は立ち上がりその両手からカップを受け取り、一つ気になっていた事を訊いてみるとした。


「お心遣い感謝します。ところで商人殿、一つ質問をよろしいですかな?」


 商人殿は疑問符を浮かべつつ、頷いては私に先を促す。


「商人殿はどの様な商品を取り扱っているのですか? 見たところ、それらしい積み荷を運んでいるようには見えませんが」


 その言葉に商人殿は『なんだそんな事か』、とでも言うように相好を崩した。


「確かにそうでしょうね、今は商品を運んでいる訳ではなく、これから商品を取りに行くところですので」


「なるほど、そうでしたか」


「ええ、私どもは<各地方の特産品>を扱っています。今回はとある筋の方からの依頼ですので、その内容に関して詳しくは教えられませんが……」


「大丈夫です、不躾な質問失礼しました」


「いえいえ。それより、折角淹れたお茶が冷めてしまいますので、温かいうちにどうぞ」


 商人殿の細い目が一層細まり、柔和な弧を描き勧めてきたところで――


「山賊だっ――!!」


 と、外から怖れを帯びた叫声(きょうせい)が響き渡った。




 * * *



 粘着質の闇を湛えた空と、その漆黒を切り抜いたような白い月。


 それは月の瞳が覗き込む、骨の軋む(しず)かな夜。


 木立の奥は深闇に沈む山の中。そんな闇の一部の払う焚き火の周囲には、五つの人影があった。


 パチパチとはぜる(たきぎ)。朱に彩られたその五人の顔は、不安と恐怖に苛まれている。


 そんな彼等を囲むように、木々の隙間からひっそりと佇む複数の影があった。周囲の明暗はくっきりと別れ、それら影の全貌を窺う事は出来ない。


 だがその影が持つ様々な得物は、揺らめく灼光(しゃこう)を冷たくも反射していた。




 商人達は仮にも商隊に身を置く者達であり、日々の鍛練を積んでいた。だが、今彼等の手には武器は無い。


 いくら鍛練を積んだ達人であろうと、無手の状態では武器を持った素人に殺されてしまうのは常世の定め。そして彼我(ひが)の実力差がそうないとあれば、その未来は決まったようなものだ。


 周囲を取り囲む山賊達の人数は見える範囲で七・八人といったところか。ただし、囲まれた商人達の目には、木々の合間の見通せぬ闇の中に、より多くの山賊の幻影が浮かび上がる。


 反撃を試みようとも馬車の中に武器があり、その進行方向は既に山賊達によって塞がれていた。


 既に状況は八方塞がりと呼べるもので、各々の顔には絶望が浮かび上がる。


 そして、山賊達は鈍く光を反射させる得物をチラつかせ、商人達ににじり寄って行く。




 だが、不意にその足が止まった。


 僅かに離れた位置にあった馬車から、一人の男が飛び出してきたのだ。


 それを察知した山賊達は、瞬時にそちらへと意識を飛ばしては警戒を滲ませる。そして商人達は期待に胸を踊らせ――次の瞬間には、失意にうちひしがれた。


 彼等が望んでいたのは、商隊が雇い入れた禿頭の傭兵であり、決して旅の学者等ではなかった。


 そして何を血迷ったか、何も武器を持たずに飛び出してきたのだ。


 商人達は期待を裏切られ、理不尽にも『ふざけるなっ――!』と叫びそうになるが、何とかそれを口の押し留める。


 そして山賊達はと言えば、その闖入者に何故か困惑を如実に表した。その数瞬後――頭に赤のバンダナを巻いたリーダー格のような男が「チッ――」と、鋭く舌打ちを溢す。


「テメェら、ぼうっとしてんなっ――ヤれ!」


 その叱責に商人と馬車との間に居た二人の山賊は、飛び出してきた男へと向き直る。そして蛮刀(シミター)と棘の付いた棍棒(メイス)を構え直し、それらを振りかぶりながら突進した。


 そして男――クレス・スタンノートは、山賊達を優しく迎え入れるかのように、下げていた両腕をソッと左右に広げた。


 理解不能な行動。そう、それがクレスでなければ、何ら意味の無い動きだ。




 彼等は知らない。


 いや、知る筈が無いのだ。


 彼が何者かを。


 もし仮に、彼を知る者がこの場に居れば、その光景はまるで――死の御遣いの抱擁に、二人の山賊が愚直にも進んで行く様に写ったであろう。


『万象に宿りし鋼の意思よ、我が意、我が言の葉を二つに別ちて双牙と成し、全ての脅威を討ち壊さん』


 低く、魂を揺さぶるように紡がれた言魂。


 第二楷梯術式――『霊装機甲(マテリアル・フォージ)


 突如、闇に生まれた極彩色の光達。


 クレスを中心とし、精霊蟲が無数に飛び交う。それは星辰(せいしん)の巡りの様に、旋回しては無数の軌道を闇夜に刻む。


 そして数百――いや、数千の精霊蟲がその両手へと集束していった。




 向かい来る山賊達はその光景に驚きはしたものの、攻撃を止めることはしない。相手の準備が済むのをむざむざ待ってやる馬鹿は居ない。寧ろその精霊術が完成する前に術者を討つのは、対魔術師戦闘の定石だ。


 蛮刀は大気を切り裂きながらクレスの肩口に振り落とされ――棍棒はうねりを上げ、脇腹へ水平に振られた。


 避ける素振りも無く、ましてや微動だにせぬ相手に、山賊達は攻撃が当たったと確信した――その次の瞬間、鋭い銀閃が衝撃と共に駆け走った。




 二つの斬線と、二つの剣戟(けんせん)




 一瞬遅れ、金属同士の耳を(つんざ)く絶叫が(ほとばし)った。


 まるで星屑が散りばめられたように、蛮刀は半ばから千々に砕け散り――棍棒は根元で断たれ、その半身は円弧を描き宙を舞う。


 それは、誰もが予想だにしなかった未来。


 それは、余りにも信じ難い光景であった。


 片や、用を成さない剣の柄を握り締めては後退る。


 片や、痺れの残る手を抑えながら驚愕に両目を押し開く。


 いや、この二人だけではない。その場に居た誰もが、常軌を逸した光景に一瞬にして呑まれていた。


「ソイツを囲めっ!」


 怒声に近い声が響く。発したのはバンダナを巻いたリーダー格の男。


 その男は瞬時に思考を切り替え、商人達から謎の男へと標的を完全に移行させた。その迅速な判断は、男の指揮官として優秀さを物語る。


 現時点で商人達に危険は無い。そして自分達の前に突如現れた男は、計り知れない程の実力を秘めた存在だ。


 だが相手は一人であり、山賊達は武器を失った二人を除いても五人居る。一斉に掛かれば倒せない相手では無い――そう、バンダナの男は己の不安を打ち消すように、必死に言い聞かせた。




 そして謎の男――クレスはジリジリと近付いてくる山賊達を見据えながら、超然とした態度を欠片も崩しはしなかった。


 両腕はダラリと垂れ下がり、その手の透明な夜を結晶化したような蒼鋼(あおはがね)の双剣は、静かに周囲を威圧する。


 一方、武器を失った先の二人の内一人は、腰から肉厚の短刀(ダガー)を抜き放つ。そしてもう一方は、仲間から両刃片手剣(ブロードソード)を受け取っていた。


 そして皆が皆、どこか恐怖や畏怖を抱きながら、指示に従い得体の知れない男へと近づいて行く。


 まるで自らの足で、絞首台へと赴くように。




 ふと、バンダナの男は怪訝な表情を浮かべた。その理由は、二人の部下が生きていた事だ。


 二人は武器を失い、無防備と言っていい程の醜態を晒していた。だが不可解な事に追撃は無く、再び武器を持って包囲網へと加わっている。


「何故だ――?」


 ポツリと、無意識にも呟きが零れた。そして男は今一度、総勢七名に取り囲まれても身動(みじろ)ぎすらしない男を観察する。


 観察対象は馬車を背に、良く鍛えられた長身のどこにも力を入れる事無く、静かに佇んでいた。その様子は不気味としか言いようが無かったが、それを見て男の頭にある考えが過る。




(追撃はしなかったのでは無く……出来なかった?)


 ゆっくりと包囲網を狭めながら、男の思考は加速していく。


(奴の得物はリーチが短い、二人を倒すのには一歩……いや、二歩は前に出る必要があった筈だ……)


 徐々に組み立てられて行く思考のパズルに、獰猛な笑みが浮かび上がってゆく。


(そう、そうだっ! 奴はその一歩ですら惜しんだっ、それは不測の事態から後ろの馬車を守る為!)


 男は微かに及び腰になっている部下達に視線を飛ばす。


(現に奴は俺達の前に出てきてから、一歩たりともその場を動いていない!)


 男は確信に至り、脚に力を込めて声を放つ。


「テメェらっ、後ろの馬車を狙え!」




 男は突然の指示に部下が反応しきれないのは分かっていた。だが男の狙いは別にある。それはこの得体の知れない男の動揺を生み出す為。


 そしてその隙を突こうと後ろ脚に込めた力を解放し、一足跳びに仕掛けようとした刹那――世界が、絶望に染まる。




 光景に確たる変化は無い。


 ただ、その場を取り巻く気配が違った。


 まるで世界そのものを塗り潰さんと、一人の男が桁違いの殺気が振り撒く。




 猟犬どもはその圧倒的な存在を前に、只の犬へと成り下がった。そう、それは己の死を予感しつつ、愚かにも絶望に呑まれ指の一本すら動かせない憐れな子羊と同じ。


 背後に映る、絶対の死。まるで心臓を鷲掴みされたような絶対の恐怖。


 彼等は理解した、それは逃れられぬ定めなのだと。




 山賊は浅はかにも藪をつつき、そこに眠る伝説上の化け物を叩き起こした。


 その化け物は一瞬にて、その場に居る全ての人間の意思を、尊厳を、自由を剥奪し――代わりに恐怖と、悲嘆と、絶望を与えた。


 まるで伝承上に棲まう巨竜をも前にした憐れな子羊達は、愚かにもその逆鱗に触れてしまったのだ。


 彼等に残された道は、叫びを上げて逃げることでも、地べたに這いつくばり命乞いすることでも無い。竜の逆鱗に触れた者の末路は、自らの心の臓を差し出すことでしかないのだから。




 そして完全にその場を掌握した男は、静かに――確殺の意思を込めて、一歩を踏み出す。


 それはまさに怒りに狂った、一匹の巨竜であった。


 酒脱とした真なる狂気、死に魅入られた英雄は、無慈悲にも周囲に死を撒き散らそうとする。


 そう、それが今宵の演目。


 木々の梢が闇が落とす漆黒のベールが幕開き、化け物は差し出された贄を食い散らかす。それは漆黒怪奇が織り成す、殺戮と言う名の狂宴。


 彼は英雄だ。だが、決して善人でも、ましてや叙事詩にて語られるような聖人でも無い。




 彼は、戦うと決めたのだ。


 平和の為に、護りたい者の為。それは己の正義を貫く為に、己の信念を守り抜く為に――彼は他人の命を犠牲にする。


 男は平和を愛していた。争いが無くなれば良いと心から願っている。だが、今から取る男の行動はその願いと対極に位置するであろう。


 男の願いは、偽善なのか? 


 それともその行いは、偽悪なのか?


 ただ、そんな些細な問いを男は必要としていない。


 男が築き上げる犠牲の果てに――男が磨り減らす良心の果てに、その先にある平和な世界に、護るべき者の笑顔があれば良いのだから。


 だから、剣を取る。


 だから、彼は戦うと決めたのだ。


 例えそれが終わりの見えない茨の道だとしても、彼は諦めないと誓う。


 その道の終着点は愚者か道化か、それとも名も言えぬ死者となる事かも知れぬ。


 たがそれでも、護るべき者の為に進もうとする気高き誓いを――誰が知ろう。




 そんな彼が、その双牙にて他者を蹂躙(じゅうりん)しようとした時、一つの声が響いた。護るべき少女の声ではない。それは野太い、粗暴な声音。


「テメェら、予定変更だっ!」


 そしてその声は、クレスの背後――馬車の中から周囲へ響き渡った。


 クレスは弾かれた様に後ろを振り返る。そしてそこには男臭い、太い笑みを浮かべた禿頭の傭兵の姿があった。


 傭兵の男は一人の人間の首根っこを掴み上げ、もう片方の手で剣を握っていた。クレスはその光景を、睨むように(すがめ)みる。


 傭兵の男は御者台に片足を掛け、周囲をぐるりと睥睨(へいげい)した。


 そして男は片手に掴んでいた人間――細目の商人を地面へと投げ出す。商人は二転・三転として止まったが、立ち上がる気配も、ましてや動き出す気配も微塵とない。


 一瞬死んでいるのかと思ったが、どうやら何らかの痛みに耐えているようだ。商人は右手を体全体で抱き締める様に、まるで芋虫のように地面の上で丸まっている。


 あまりの痛みにその顔全体には脂汗がびっしりと浮かび、目蓋はキツく閉じられていた。




 その光景にクレスは――特に驚いた様子も無く、傭兵の男を静かに見据えていた。そして抑揚無く、低い声で問い掛ける。


「これ等はお前の差し金か――? <グラード>」


 <グラード>――そうクレスに呼ばれた傭兵の男は馬車から飛び降りると表情を引き締め、その粗野な雰囲気に似合わぬ慇懃(いんぎん)な態度で頭を下げた。


「ハッ。大変失礼致しました、スタンノート卿」


 そしてチラリと顔を上げ、片頬を吊り上げる。


「いや、失礼。いまは将軍閣下でしたね」




 その既知の男の親しみが込められた様子に、クレスは纏っていた気配を両手の武器と共に闇の中へと霧散させた。


「成る程な……ところで君の部下達は、いつまで私に武器を構えているのかな?」


「――テメェらっ! ぶっ殺されてぇのかっ、早く得物を納めろ!」


 矢継ぎ早に怒声が飛び、グラードが発した<スタンノート>の名に驚き立ち竦んでいた彼等は、迅速に武器を納める。


 クレスは一定の距離を取る彼等から視線を移し、地面にうずくまる商人を特に感慨も無く見下ろす。


 そしてグラードは部下達に他の商人達の身を捕縛するように指示をする。無抵抗に捕縛されていく商人達を尻目に、グラードはクレスへと向き直った。


「流石はスタンノート卿、こちらの事情をお訊きにならないので?」


 その問いにクレスは腕を組みながら答える。


「彼等は、<奴隷商>なのだろ?」


 その端的な答えに対し、グラードは感心したように口笛を吹いた。


「ご明察の通りです」


「第一……グラード、君の存在があったからな。まさか名の在る傭兵団の頭領が、ただの護衛だとは考えにくい」


 そう言って山賊――いや、山賊に身を扮した傭兵達に視線を配る。


「それと、ただの山賊とは兵の練度(れんど)が違いすぎたからな」


 その言葉にグラードは厚い唇を歪ませて、気恥ずかしげに自分の頭をペチりと叩いた。


「いやいやいや、またまだアイツ等はひよっこ同然ですわ。しかし……よくそれだけで、コイツ等が奴隷商だって気付けましたな」


 その言葉にクレスは首を左右へ振った。


「いや、それだけじゃないさ。確信したのは夕食の後――」


 そこで一度言葉を切り、クレスは細目の商人へと突き刺すような視線を送る。


「そこの彼が、薬入りのお茶を持ってきたからだよ」


「へぇ――そりゃまた……」


 グラードは呆れたような声を上げ、まさに芋虫のように転がる商人を、虫けら同然に冷たく見下ろした。


「微かにだが、<ヴルガズ草>特有の匂いがお茶の中から立ち上ってね……大方、フォルテを奴隷とし――」


 と――クレスはそこまで口にしたところで、慌てて馬車へと視線を移す。


 そして馬車からは、まるで見ず知らずの人を見る類いのキョトンとした視線があった。


 それに気付いたクレスは、現状をどう説明したものかと酷く困った様子で、こめかみをポリポリと指で掻いたのであった。


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