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上陸

 ─2025年 硫黄島


「─来やがった……っ!」

 碧海が真紅に染まりつつある中、中田功三等陸曹はテッパチの緒紐を締め直し、その手に握る89式小銃の握把を握りしめた。


 ──2013年の太平洋の大海原で失踪した一隻のタンカーと救出に向かったヘリコプター、ハワイ沿岸警備隊の警備艇が突如として失踪した事を皮切りに始まった深海棲艦との戦いは、人類の敗北続きと言う形で進みつつあった。

 ハワイやパラオなどの島嶼国は早々に連絡途絶、インドネシア、フィリピンなどの国々も18年になる頃には深海棲艦の上陸を受けている。

 特に艦娘を持たざる国は苦戦を強いられ、中小国やアフリカなどの貧困国に関しては少年兵が対戦車地雷を身体に括り付けて口内に飛び込んで自爆戦術を取るなどといった絶望的な戦闘を繰り広げている。

 日本といえば、艦娘達の出現によってなんとか本土上陸をそしし続けて居るが、遂に硫黄島にその魔の手が伸びつつあった。


 

 9月19日 硫黄島 海上自衛隊警備隊西方第二機関銃陣地壕


 ─突如としてけたたましく島内に鳴り響いた空襲警報が『総員退避─』と言うと同時に、深海棲艦らの爆撃機が飛来した。

 その空を黒く染めつつある大編隊を俺はただ呆然と見つめた。

 対空砲弾や地対空ミサイルが空中で炸裂してショボすぎる花火みたいに曇天空で煌めいた。

 古参陸曹の「各員退避ィ! 爆撃来るぞぉ!」という怒声に俺はハッとして一目散に洞窟陣地に滑り込む。

 鉄製の如何にも頑丈そうな壕の扉が『クァァン……』という重々しい音と共に閉ざされ、洞窟陣地はオレンジ色のライトの明かりだけが光源となった。

 その数十秒後の事だった。突如風切り音がしたかと思うと、[ガァァァンッ]という炸裂音と振動が洞窟を揺らした。

「うぉ……!」

 たかだか一発の爆弾の衝撃はとてつもないもので、あたかも島が噴火してるのではないかと思ったほどだ。

 その数秒後、凄まじい数の風切り音が島と洞窟を包んだ。そして、[ドドドドドッ! ]と言う連続した爆発音が洞窟陣地を揺るがす。

 崩れてきた拳大の石塊がテッパチと防弾チョッキを叩き、生身の身体のあちこちを打擲した。周りの本や資料、立てかけていた小銃が倒れて銃口がこちらを向く。その爆撃の威力はすさまじいもので、洞窟壕内は立てないほどに揺れ、鍛え上げられた自衛官が身を伏せ、怯えるほどであった。まるで放送や無線の音は聞こえない。

 《──海防艦や駆逐艦、護衛艦は何してるッ!! 助けてくれっ! 》

 本来、この硫黄島には太平洋鎮守府が置かれ、深海棲艦の監視、潜水艦娘の補給基地、第52駆逐艦隊の司令部が置かれた最前線基地だった。そのため、攻撃を受ける前に駆逐艦達が対空戦闘を繰り広げているのだ。

 《怖いっ、死にたくねぇ、俺が死ぬわけねぇんだ》

 爆撃の最中、誰も身じろぎ一つできやしなかった。その少しの身じろぎが誰しも致死的な事象であると思った。

 この空爆は小一時間続いた。『赤警報解除ッ! 総員戦闘配置ッ!』と言う放送の声は震えていた。 

 俺は恐る恐る立ち上がった。俺は陸自で海自の連中より早く立って状況確認できなきゃいけない─という使命感、義務感が体を突き動かした。

 洞窟から出るために向かった壕の開閉扉は完全に吹き飛んでいた。意味が分からなかった。あんなに頑丈そうな扉が、実際に12.7キャリバーさえ余裕で弾き返すあの鋼鉄の塊が無残に引き裂かれているという現実を直視できなかった。

 されど、その穴の空いた扉から覗く紅に染まりつつある硫黄島周辺の海域は非常に不気味で、なけなしの戦意を挫かれそうになった。

 80年も前に先人達がここで経験した恐怖を思い知った。


 硫黄島北部:総司令部壕

「──被害報告」山下誠一等陸佐が暗がりの中で状況の把握を始めた。

「えー、現在確認されている限りは陸自、海自共に地上警備隊に関しては奇跡的に死者は出ておりませんが負傷者が戦闘前に全体の1%を超えていて、艦娘に関しては海防艦が5隻轟沈その他は皆大破しており、駆逐艦娘も一隻轟沈、大破3、中破5、無傷が1隻です。現在ドックがキャパオーバーしております。」

 山下大佐は唸る。「停泊していたあさぎり型護衛艦はどうなった?」

「現在着底しております。まともに動ける状態じゃ有りません。ただ現在浜辺に乗り上げており、火器等は未だ健在とのことで、特火点として残しています。」

 

「なるほど……増援はどうか?」


「数日内に輸送艦が来ます。撤退だそうです。現在、台湾に苛烈な猛攻が加えられているようで、兵力を本土に集中させております。」

「うん……」

 ─と、通路から指揮所に転がり込むように入ってきた三等海曹が叫んだ。「潜水艦娘の多数が連絡途絶! 最後の連絡では『我敵艦見ユ』との打電! 輸送艦の数およそ40! 戦艦5! 姫級が3! 陸上型の姫級が15!」という、絶望的な状況だった。



 摺鉢山 第五中隊第三小隊(53)対戦車無反動砲分隊(AT RR Pt)

 

 ──「くそっ……くそっ……」カンカンと照りつける日差しは洞窟陣地を隠すバラクラバを貫通してうなじを焼く。ドーランが乾いてポロポロと落ちては日焼けの痛みが増すように感じる。

 俺が今背負っているのは89式だけでなく、m72携帯型無反動砲とC4プラスチック爆薬だ。深海棲艦とかいう化け物が出現してから5ミリの小銃というのは全く持って役立たずになってしまった。

 今配られている弾は駆逐艦娘の主砲弾を小銃弾に改良したとはいえ、所詮はセミのションベンで、攻殻がない柔らかい部位にワンマグ叩き込んでようやく倒せるような代物で、殻を撃って倒せるようなものじゃない。

 だから、一人1基の無反動砲、一人1個の爆薬を渡されるわけだ。爆薬はバック型(背負式)に装備できて、使うにはバックを投げつけて起爆装置で吹き飛ばすか、そのまま相手に抱きついて諸共跡形なく消え失せることができる。

 少なくとも、マブ◯ヴみたいに生きたまま食い殺される不安はなくなったわけだ。

 

 などと我が哀れな身の上を慰めている内に、みるみるうちに海の紅が濃くなっていって、ついに青に変わった。空も曇天に包まれている。

「勝ってく〜るぞといさま〜しく〜ちぃかぁって故郷を出たからにゃ〜……」

 倉庫から引っ張っり出してきたであろう106ミリ無反動砲の射手が鼻歌と口歌の間くらいの掠れた声で古い軍歌を口に歌う。

 分隊長と通信手が戦闘指導を受けて居る為に三人しか居ない穴蔵じゃ、下ネタと軍歌だけが自らを鼓舞した。

「誓ったからにゃあ生きて帰んだよ」

「分かってますよ、でもまぁ、輸送艦が来るまであと一日だったってのになぁ……空気読めねぇなあ、深海棲艦ってのは」

 その時、砂浜に座礁していた護衛艦から遠く離れたこの洞窟のランプまで揺るがすような、『バシャー』という轟音を発した。

「先任、あれがトマホークってやつッスか?」

「ばか、そりゃ対地だろ? ハープーンじゃねぇのか?」

 召集された予備陸曹自衛官が口を挟む。「知識不足だな、トマホークにも対艦あるぞ?」

「まぁ、ともかく飛んでいったってことは─」『バシュッ』「─……近づいてるんだろ? 敵」

 さっきまでの朗らかな空気が濁る。やっちまった。

「…………便所行ってきて良いですか?」

「いいんじゃね?」

「行ってきます」というと、若い陸士長は走り去って行った。

 

 〝高畑〟という50代程の予備陸曹と2人きりになった。

「まぁ、この数日間男共とむさ苦しい洞窟陣地だもんな……溜まってんだろ」と、とんでもないド下ネタに噴き出した。

「|89式小銃(バディ)で抜きますか……MAMORUの雑誌持ってくればよかった……」

「いい趣味してやがる……」

 するとおっさんは双眼鏡を覗く。しばらくして、こちらにニヤリと双眼鏡を渡してきた。

「あの三番遠隔旋回銃陣地の直ぐ側を見ろ、分かるか?」

 俺はしばらく目を凝らした。すると白いセーラー服を来た少女を見つけた。

「駆逐艦の女の子じゃないですか、なんであんな所に……?」

「んな事知らねぇよ。だがよ、あの娘なんてどうよ」

 ──コイツマジか、娘位、もしかしたら孫位の女子に発情してんのかこのスケベジジイ

「うわぁ……」

「はっ倒すぞ」

「なんで見つけられたんですか……?」

「……………」

「うわぁ……」

「お前、こっち一曹だぞ跪け三等陸曹が」 

 このような不毛なやりとりの間に俺たちの寿命は近づいて来ていた。という事実に心が重くなる。

「……でも、なんであんな所に……?」

「捨て駒だろ」このスケベジジイ、気分が悪くなる言葉を軽く言うもんだから尊敬した。

「みろよ、あの子の装備ボロボロだじぇ……ありゃ今朝の爆撃で修理しきれなかったと見える。」

「かわいそうですね……」

「まぁ、艦娘ってそういうもんだろ。兵器であって、人扱いされない……まぁ、状況と鎮守府によるだろうがなぁ……」

 その時、護衛艦の主砲の砲から『ドッドッドッドッ』という連続した射撃が始まった。それと同時に双眼鏡の先にいる少女が自らの主砲を持ち上げ、発砲を開始する。

「始まったな……」

「ですね……」

 そういえば、先程便所に向かった陸士長が戻ってこない。

 《─あいつ、いつまで盛ってやがるんだ……? 》

「すんません、便所見てきます」

「………」

「え」

「もしダメそうなら弾帯だけでも奪ってこい……爆薬はそのままにしてやれ」

 ──何言ってるんだこのおっさんは……?

「わ、かりました……?」

「うん」

 ──おっさんが言ったことを理解するのにさほど時間は必要なかった。

 80年前に先人達が掘り起こしたこの洞窟陣地の奥、曲がりくねった迷路のような通路の先にある便所に陸士長は居なかった。

 そのアンモニア臭と非常に胸糞悪い他者の糞の匂いがする便所から出て、左右を見回すと暗がりの中に縮こまった人間の影があった。

「おい、お前何やってんだ」

 そう言って近づくと、そいつは俺に土下座した。

「すみません」そいつはそういうと嗚咽をこぼした。「戦えません……!」

 俺は陸士長の言葉に自分の中の何かが揺れた─顕在化し始めたというのが正しかった。

「怖い……です……」陸士長は横に置いた自らの89式小銃を見ると何か見るに堪えないものを見た様に目を逸らした。

「死にたくないです……ッ! ……安全な首都警備隊に配属されたのに突然硫黄島とか言う最前線に急に飛ばされてっ昨日の爆撃でみたでしょ!? 鉄扉吹っ飛んで──」

 陸士長のテッパチに半長靴の爪先がぶち当たった。こいつが憎いとか、うるさいとかじゃなくて、単純に哀れでかわいそうだったから黙らせたかった。ただ、無感覚に蹴り飛ばしていた。

「……あ……」

 テッパチが吹っ飛んだ陸士長は俺を見あげた。その瞳に映る俺がどんな顔をしてるか猛烈に気になった。

「おれ……一般曹の試験に落ちて……任期制で……おれ……来月に任期終わるんです……逃がしてください……」

 泣きつく陸士長は惨めだった。哀れで仕方なかった。そんな士長の顔面に己の拳を叩きつけた。

「うるせぇ……テッパチかぶれ、小銃握れ。怖いのはお前だけじゃねぇから……俺だって……………怖い」

 そう、顕在化した感情は恐怖だった。あんなに大義のために死にたいと言っていた自分がこんなに恐怖するなんて知らなかった。

 家族や彼女に会いたい。遺書なんて破り捨てたい。でも、みんなそう思ってても口に出さないし、みんな配置に居る。俺だけが逃げ出したらカッコ悪いし、なんか怖い。だから前にいれる。

「う……あ……」彼は俺を見あげた。

「……いいか……? 負けそうになったらこんな洞窟陣地捨てて下がるぞ。」

 


「──どうだった?」砲側陣地ではオッサンが一人で射撃位置に座っていた。

「……連れてきました」

「……おう」士長を一瞥し、再び双眼鏡に視線を戻すと言った。「よく戻ってきた、えらいぞ」

 俺はオッサンを見る。──オッサンはなんでこんなに冷静なんだ?

 俺がジロジロ見ているとオッサンは「俺なぁ」と始めた。見ている事がバレてるのかと思い、咄嗟に視線を逸らした。

「実は予備官の間は俺無職でナマポ暮らしなんだ」

「えっと……おん?」

「補生(一般曹候補生)から入って、40で辞めた。飽きたんだな」オッサンはテッパチを外して頭をかいた。近くで見ると随分とハゲていて、テッパチを外した瞬間に加齢臭が漂った。

「就職援護もないままシャバに出た。……最悪だったよ。車の工場、ネジの工場、清掃員、警備員、土方、鳶、底辺職って言われるやつはあらかたやったよ」オッサンはテッパチをかぶり直すと、手慣れた手つきで緒を締めた。

「自衛隊の職歴は話しダネにしかならなかった。自衛隊の優しさを改めて痛感したよぉ、保険とか、社会的地位とか、飯とか家とか。戻りたくても50過ぎじゃ入れない。最悪の気分だった」

 オッサンは64式を愛撫した。

「嫁も恋人も友人も家族も居ない俺は此処(自衛隊)にしか居場所がないんだ」

 

 すると、もの悲しい雰囲気が漂い始めたその時に、分隊長の磯田1曹と通信手の飯田3曹が戻ってきた。

「帰った」と分隊長はぶっきらぼうに言っていつもの海岸に背を向けられる場所に陣取った。

「おかえりなさい。」と返す俺も相応にぶっきらぼうだ。


 その時──[─小隊指揮所から一方送信、敵上陸部隊目視、三小隊は対機甲戦闘準備、60RR(無反動砲)は安全装置を解除し、弾種HE、KP1に指向、以後射撃指示に備え、オワリ]と、無線が戦闘の開始を告げた。

 ──あぁ……まじか……来るんだ……

「分隊、HE装填」磯田は固くなった声で装填を指示する。分隊に緊張が広がる。

 これまでやってきた訓練よりも遥かに長い状況と堅牢な洞窟陣地。訓練でやってきた事の応用すぎるこの戦闘に一同の顔面は蒼白だった。

 9キロほどの砲弾を装填し、俺はバックブラストに備えて横に退避していう「HE装填」そのまま俺は次弾を抱える。

「照準」と磯田が言えば即座にオッサンが「調定、並びにKP1への照準を完了」

「試射開始」そういうとスポッティングライフルの中に12.7ミリの曳光弾を装填する。

「撃て」その言葉と同時に、パーンという間延びした間抜けな音が響く。

「あ〜、うん…いいね」と双眼鏡でその弾着点を見ていた磯田は言う。


 ──これでとうとうやれることは無くなった。


 

「深海棲艦…姫級が馬鹿みたいにいるっていう噂…ホントっすか…?」士長は萎縮しきって聞いた。

 磯田は何時もの場所で答えた「…いや…潜水艦娘が全力で交戦して、何隻かは沈めたらしい…」磯田は続けた。「…だけど…潜水艦娘の子、全滅だとよ…」

 俺はこの島に配属された時に、潜水艦娘の女の子と話をした。小さな幼女だった。あんな子供が暗い海の中で戦って、それで死んだ…と…。

 

 ──その時、護衛艦の中央部と後部ヘリ甲板で火の手が上がった。

『グワーーン』という爆発音が振動を伴っています洞窟陣地まで届く。

 一気に血の気が引いていくのを感じた。たかだか一、二撃でこんな威力なのだ。洞窟陣地は直撃はもちろん、至近弾を食らったらばどうなるのだろうか。

「…おい、雑嚢持ってきて土嚢の後ろに置くぞ。後、毛布でも何でもいい、射角を損なわない様に置くぞ」と、磯田は緊張した声で言う。

 俺達は黙って、素早く作業をした。全員、まだこんな劣勢の中で死にたくなかった。

 [司令部より各所へ─]と、無線が入る。飯田が音量と周波数を点検する。

 [──陛下より、激励を賜れり。ここに御言葉を拝読す。]


 ─祖国の平和を安んじ、家族や愛する人の為に盾として硫黄島に立つ陸海自衛隊の隊員諸君らの奮戦を期待す、益々努力せよ─


 [各員一層奮励努力せよ。]


 その時俺の中で何か熱いものが燃え滾るのと同時に、それを消そうとする冷たいものをそこに感じた。

「あれが…」と士長が呟くと同時に各自がその目の前の光景を疑った。

「これ全部か…?」

 沖合を黒に染める影に先ほど胸の中で燃え滾っていた物の衰退が手に取るように分かった。

「…敵の上陸は始まってるな…」

 事実、この時すでに小規模な橋頭堡確保用の部隊が硫黄島に上陸していた。

 オッサンは震える手で64式小銃に旧軍由来のバカ長い銃剣を取り付け、その震える手で2脚で64式を立てた。

 俺達はそれに倣って着剣してみる。すると、精神的に少し安心する。


 そして、俺は意を決して現実をみることにした。双眼鏡に目を当てる。そうして見えたのは彼らは人間とは決定的に違うのだと俺達は痛感した。

「広がりやがったっ…!?」磯田の声には戸惑いと焦りが混じっていた。

 双眼鏡を覗き込むと、1列の横隊に広がって前進する深海棲艦共が広がっていた。

 あそこは施設小隊が敵主戦力の漸減邀撃を目的として対戦車地雷をこれでもかと敷設していたところで、予想通り大量の地雷が炸裂し、尖兵部隊は壊滅した。

 されど、敵残存尖兵部隊は尚も前進中。

 ──地雷の強硬除去であった。


 [小隊ATまだ撃つな!]と叫ぶ無線のスピーカー。

 引き込み要撃する余裕などはないはず……と考えこむ脳内に反し、眼前に広がる状況は変化し続けていた。

 残存敵尖兵部隊の甲殻類のようなイ級陸上型がもんどり打って斃されていた。

 気色悪い化け物を屠ったのは中破状態だった駆逐艦の女の子だ。

「おぉっ…!」士長は歓声をあげた。

 しかし、希望はあっけなく打ち砕かれた。

 双眼鏡の中にいた駆逐艦を『ガガーン』っという轟音と爆煙が包み込む。

 俺は駆逐艦の少女の運命の結末を観る前に、俺は双眼鏡を外し、沖合を見た。

 ──もしかしたら、生きてるかも。 そう願って。


 沖合からはオレンジ色の発光が続いている。主力深海棲艦からの艦砲射撃だ。

 それらは総て陸揚げされている艦娘達に指向され、彼女らの陣地は爆煙と轟音でもって包まれていた。

 【俺が艦娘でなくてよかった】と、俺は切に思った。だが、この猛烈なる艦砲射撃は同時に主力の上陸が始まった事を表していた。

 

 

 

──俺達の生命と国運を賭けた戦闘がここに幕を開いた。

 PIXIVから参りました、ハンクと申します。ある意味、この小説が私の処女作となりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

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