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最凶の極悪魔王、転生したら最強の末っ子王子だった  作者: 斧名田マニマニ


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4/12

暗殺者で暇を潰す

「そうだ! この子の未来を左右する、重大な決めごとを閃いたぞ!!」


興奮気味に、俺のほうへ身を乗り出してくる。 


「もしかして、あなたも今、この子の名を思いついたのでは……!?」

「おお! 妃もか!」


国王と王妃が幸せそうに顔を見合わせてから、俺に向かって呼びかける。


「光をもたらす者——ルシウス!」


王妃がそっと俺の頬に触れ、涙ぐみながら微笑む。

どうやら本気で俺を大切にする気らしい。


こんなふうな愛情を向けられたことなど、前世では一度もない。


……中身が悪の権化と思われた魔王であることも知らずに。


憐れな女だな……。


馬鹿にするのではなく、心底同情しながら、そんなことを思った。


◇◇◇


ルシウス・フォン・クラウディア。


このクラウディア国の国王のもとに誕生した五人目の子にして、末っ子王子。

どうやらそれが、俺の今生の立場らしい。


転生の自覚を持ってから数日が経ち、わかったことがある。


この王族、尋常じゃないほど暗殺者に狙われるのだ。


俺も何度襲撃されたか覚えていないくらいだ。

せっかく転生できたのだし、赤子の段階で始末されるなど癪だから、毎度泣いて天変地異を起こし、始末してきたが……。


それにしても回数が多すぎる。

もはや日替わりで誰かしらが殺しに来ているといっても過言ではない。


国王も、王妃も、王太子も、そろって善人のかたまりみたいな連中だ。

穏やかで、誰にでも慈愛を向けるし、思慮深い。


俺に構う時以外は……。


国王をはじめ、王族たちは俺の前に来るとデレデレになり、知性が半減するのだ。


やれやれ……。


しかし、彼らが善良な人間であることは疑いようがない。

その人柄だけを見れば、命を狙われる理由などまったくなさそうだ。


《《では、なぜ、こうも頻繁に暗殺者が差し向けられるのか?》》


王族たちが狙われる理由は、利権争いか、継承問題か。

あるいは国そのものが腐っているのか。


本来であれば、暗殺者一人一人に襲撃理由をじっくり聞きたいところだ。


だが、残念ながら俺はまだ喋れない。

この小さな口から出るのは「おぎゃあ」と「ばぶう」くらい。

これでは、拷問も尋問もできなかった。


結局、俺が得られるのは、メイドたちが仕事の合間に話す噂話程度の情報だけだ。


俺自身も暗殺のターゲットにされるのだから、せめてその理由ぐらい知っておきたいのだがな……。

まったく、赤子というのは不便だ。


ちなみに、俺が転生の自覚を持った日、国王がやたらと無防備だったことには、一応の理由があった。


国王や王太子が赤ん坊の俺ときちんと対面するのは、あの日が初めてだったらしい。

そのせいで、やたらと浮かれてしまっていたという。

そんな心の隙を突かれての、あの暗殺騒動というわけだ。


もちろん、国王もその他の王族連中も、普段はちゃんと近衛兵に囲まれて生活していた。


とはいえ、護衛がいても、完璧に身を守れるとは限らない。


実際、国王はこれまでに何度か毒を盛られ、生死の境を彷徨ったらしい。

国王や王妃の近しい親族が、犠牲になった例もあると聞いた。


暗殺者が好き放題やってくる王宮なら、当然の結果といえよう。


何百回も挑まれれば、いつかは成功する日が訪れる。

九十九回生き延びても、一度防ぎ損ねたら、それで終わり。

分の悪いゲームだ。

とにかく防戦一方でいるのは、割に合わないのである。


まあ、いくらなんでも国王だって、暗殺を減らすよう努力はしているだろうが。

結果に結びついているとは思えなかった。


赤ん坊用ベッドの上で、腕を組みながらそんなことを考えていたそのとき。


――ズンッ。


室内の空気が、一瞬で重くなった。


魔法の波が駆け抜ける。

直後、部屋を包み込むように魔法結界が展開した。


ただの結界じゃない。

桁違いの威力だ。

外界を完全に遮断し、閉じた空間を構築している。


室内にいた兵士たちは即座に異変を察知し、顔色を変えた。


「これは……魔法結界!? 我々を閉じ込めたのか……!!」

「急いで末殿下をお守りしろ!!」


怒号とともに、兵士たちが俺のベッドを中心に素早く陣を組んだ。

剣を握った彼らが、四方へ鋭い視線を走らせる。


侍女たちは悲鳴を飲み込み、部屋の隅で肩を寄せ合いながら震えている。


敵はどう出るつもりか。

兵士たちが息を潜めて待つ中、不意に耳鳴りのような音が室内に響いた。


「っ……あ、くっ……これは……っ!?」


兵士の言葉が途切れ、その場に崩れ落ちる。

侍女たちも、両耳を押さえながら膝をついた。

彼らは抗いながらも、最後には意識を手放した。

全員が気絶し、残ったのは俺一人。


敵が何をしたかはわかっている。

超高周波の魔力音で、脳に直接負荷をかけ、彼らの意識を奪ったのだ。


俺は、耳障りな音が響いた直後、脳の魔力回路を意識的に遮断させた。


これは、魔法ではない。

魔法のように魔力を外へ出したり、術式を組んだりもしない。

身体の内側の魔力の流れを、一瞬だけ自分の意思で止めるだけの行為だ。


言葉にすれば簡単だが、実際はとんでもなく難しい。


魔力は勝手に流れ込んでくるため、遮断には繊細な制御が必要だ。


このコツを掴むのが異常に難しく、《魔力回路の遮断》を使いこなせる者はほとんどいない。

前世、魔王だった頃に、俺も死にかけながらようやく身につけた。


だが、おかげで、俺だけは気絶せずに済んだ。


というわけで、俺は自分一人の力で、暗殺者を排除しなければならない。


しかも、今回の敵は、明らかにこれまでとは格が違う。

相当な魔力の使い手でないと、こんな魔法結界は発動できないし、魔力音による攻撃も的確だった。


まだ首も据わっていない赤子相手に、とんでもない能力者を仕向けてきたものだ。


俺は口元に凶悪な笑みを浮かべた。


大量に暗殺者が現れようと、雑魚ばかりで飽きていたところなのだ。

ようやく少しは楽しめそうじゃないか。


さあ、来い暗殺者。

寝てることしかできない俺の暇つぶしになってくれ。

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