表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/14

第三話 過去最高速度

 サラとのお茶会から抜け出して廊下を少し歩く。階段を降り、庭園に出た。

 この王宮で一番好きな場所。ゲームの背景と全く同じ薔薇が好き。少しも枯れたり落ちたりはしていない。誰かが手入れするところは見たことないが、手入れが行き届いている。しかし、赤い薔薇しか植えられていない。ゲームでは赤い薔薇の場所だけでキャラが喋っているのかと思ったが、赤い薔薇しかないようだ。

 私の三人家族が住んでいるアパートが10室、いや20室分の広さがある。真ん中に白い、二人乗りのガーデンブランコがある。


 私が10才の誕生日で親に頼んだけど結局どんぐりが届いた。小学校の頃仲が良かった子に家に入れてもらったとき、その子の庭にベンチのようなブランコがあった。その子は……スインダベンチ?とか言っていたような。


 それがある薔薇がそれを囲むように咲いている。そういえば、ゲームの一枚絵があったな。ヒロイン(私)アルプスと攻略対象が中を深めるために2人で乗っていた。いじめた子から見せられたのはポツダムとの場面だ。彼は一番スタンダード、王道?だったらしい。


 私は1人でブランコに乗る。結構怖い。足を曲げて勢いをつける。


「うりゃっ、ほいっ……うりょっ、ほいっ! ぬわ、よっ!」


 このブランコの過去最高速度を出せた。このブランコは勢いをつけて漕ぐ物じゃない。絶対。

 ブランコから降りる。


「あーなんかつっかれたぁー」


 私は屈伸して王宮に戻る。

 流石のサラでも人の部屋でお茶を続けないだろう。あのあとすぐに帰りそうだ。


 私は部屋に入る。サラはおらず、メイドたちがおやつの準備をしていた。


「ありがと。あ、今日は普通の水でいいから」


 メイドはお茶を注ぐ手を止めてカップを片付ける。

 私はここに来て水以外も飲むようになった。しかし紅茶は思った100倍まずい。口に入れたときの苦味は耐えられない。

 さっきサラが作ってくれたお茶は普通のだったのだが、メイドたちが用意するお茶は、あの……イエールグレー?みたいなやつで、飲んだ後は胃が痛くなる。そこまでの思いをするなら、氷入りの水がいい。あとこの世界のおやつはめっちゃ甘いから水無では食べられない。美味しいけどね。


 私はソファに乗って机の上のマカロンを口に入れる。


「うーん、おいし」


 そして甘さで嫌になる前に水で流し込む。次にクッキーを食べる。これはこの国のクッキーらしい。クッキーに国もクソもない気がするケド。


「うーん、甘い」


 メロンパンの外側みたいな味がする。おいしい。クッキーだけで甘いのに、これは本来砂糖をまぶして食べるらしい。一度やってみたのだが、もうしない。予想以上の甘さだった。


 マカロン2つ、クッキー一缶、ケーキ2切れ。ここに来てからは毎日食べている。しかし太ったりはしない。


 アルプスは「私、食べても太らないんだよねー」を地で行く。そしてニキビも、抜け毛もない。なんて良い体なんだろう!

次回 第四話 地獄の夕食会

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ