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第十四話 このルート存在しないってマ?

 私とサラは昨日牢屋に入れたはずのポツダムと朝食をカマすことになった。


「ちょっと、アルプス」


 サラはポツダムに聞こえないよう小声で私の肩を叩く。


「なに?」

「どういうことよ、相席だなんて」

「え? だって他に席開いてないもん。ポツダムがここにいる理由も聞きたいし」


 サラは黙る。納得したからなのか、納得してないからなのかは分からない。


「アルプス様、サラ様、食堂で会うとは思ってもいませんでした。何か特別なことがあったのですか?」


 ポツダムがいつもの笑顔で探りを入れてくる。


「あ、そう、気分転換でね。気分転換といえば、昨日何してた?」


 私も負けじと笑顔で対応する。ポツダムは想定内、とでも言うように笑顔を崩さず見つめてくる。


「昨日ですか? 昨日はロッキーとガラパコスと話し合いをしていました。何も面白くない、ただの男同士の集まりです」

「ふうん、具体的にどんな話したの?」

「……カフスボタンの話です」

「か、カフス? へー、面白くなさそ」


 よくわからないけどアリバイはあるようだ。サラはポツダムが嫌いなのか無言で定食を食べている。


「では私はこれで。良いお食事を」

「あっ」


 ポツダムはお盆を持って席を立つ。

 まだまだ聞きたいことがあったが、追いかけてまで彼と話したくもないのでサラと食事を続ける。


「サラはどう思う?」

「そうね……。時間が戻ってるか、彼が脱獄して嘘をついてるかね」

「後者に一票。時間が戻るとか絶対ない。今日が何日か、昨日が何日かわかんないケド」


 私はトマトっぽい野菜をサラのお皿にコッソリ移す。しかしサラはすぐに気づき、口角を上げる。


「あなた、トマト苦手なの?」

「う、うん、沁みるし。あ! 代わりにサラのステーキ一切れ食べてあげる!」

「あげないわよ。私に損しかないじゃない」




 私達は食堂を後にし、ロッキーとガラパコスのもとに向かう。彼らの部屋の場所は食堂のオバチャンに聞いた。ポツダムの部屋の近くにあるらしい。

 先にロッキーの部屋へ行く。彼の方が関わりあるし。


「ここであってるかしら?」

「真っ赤な絵のド正面の部屋ってここしかないでしょ。サラがノックする?」


 私はサラにノックを任せる。何回するのか分かんないし。彼女は四回ノックした。すぐに扉が開く。


「誰で……サラ様!? と、アルプス様」


 ロッキーは目を見開いてびっくりするが、すぐに部屋に入らせてくれる。


「狭い部屋だね、うわあっ! ガラパコス!」


 中にはガラパコスもいた。ちょうどいいが、都合が良すぎる気もする。


 ロッキー・サンミャクは私の婚約者の一人でサラが好きなのを隠せない思春期男子(25歳)。そしてたぶん、私を嫌っている。私も彼が嫌い。なんか髪の毛緑だし、金色の目が怖いし。

 ガラパコス・ショトウ、彼はシンプルサイコパス。婚約者の一人で、私のことを好いてはくれてるみたいだけど、何処か掴めない。髪も目も真っ黒だけど顔が濃い。ロッキーより何倍か年上に見えるが、23歳らしい。



「今日はどうされたんですか? サラ様」


 ロッキーはサラにのみお茶を出す。それに気づいたガラパコスが私の分も紅茶を注いでくれる。


「アルプス様、どうぞ聖水です」

「は?」


 ガラパコスの言葉一つ一つに反応していてはキリがない。私は早速本題に入る。


「ねえ、昨日何してた?」


 私の質問に彼らは首を傾げる。

 やっぱりお姫様が急に部屋に来て「昨日何してたん?」なんて言ったらおかしいよね。


「昨日……ポツダムと三人で集まってました。な? ロッキー」

「あぁ、なんということもないが」


 ポツダムの言ったとおりだ。


「話の内容は?」


 サラが問い詰める。


「か、カフスボタンです。ほんとにしょうもない話なんで」


 ロッキーが秒速で答える。私の時と全然違うじゃん。私とサラは向き合う。


「本当にそうみたいね。ごめんなさいね急に来てしまって。失礼するわ」

「うん、ありがとね、ガラパコス。あ、ロッキーも」


 私達は部屋を出た。



「これで確実になったわね」


 サラが部屋に帰った瞬間言った。


「なにが?」


 私はサラの整った部屋に感心しながらベッドにダイブする。


「昨日はなかったことになってるわ」


 私は理解できず、首を傾げる。


「つまり、時が戻ったのよ」

次回 第十五話 エンディング詐欺、はじまるよ☆

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