表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/16

第十三話 あれ?牢屋の人が紅茶飲んでる

「アルプス様、起きて下さい!」

「……んん?」


 良い夢見てたらメイドの一人に起こされた。私は渋々体を起こす。


「なに?」

「サラ様がお見えです、着替えてからにしますか? それともこのまま?」


 サラを相手にしないという選択肢はないみたい。私は自分の姿を見る。

 チョーかわいい。寝起き髪ボサボサでもこの可愛さ。いや、寝起きだからこその可愛さ。


「アルプス様、どうされます?」


 鏡のアルプスに思わずうっとりしていた。私は頭のてっぺんのアホ毛を少し整えてソファに座る。


「いいよ、呼んで」



「ごめんなさいね。こんな朝早く」

「全然いいよ」


 サラの願いでメイド全員出て行ってもらい、私とサラだけになる。


「何かあったの?」


 私は顔色の悪そうなサラをソファの隣に案内するが、彼女は座らない。その代わり頭を抱えて床にへたり込む。


「あなた、百聞は一見に如かずって知ってる?」

「え? し、知ってる。あれでしょ? あのー、百回見たら死ぬ絵」

「ちがうわよ!」


 私が絞り出した答えにサラは鋭くツッコむ。

 なんで逆に知ってると思った? まあ聞いたことはあるような気もするケド。


「百回人から聞くよりも、自分の目で一回見たほうが確かって意味よ」

「ふーん、それが?」


 なんか話長くなりそうだな。お茶を淹れようか迷う。


「とりあえず着替えて来てくれない?」

「……はあ?」



「コルセットってこんなに絞めるの? 痛くない?」

「ちょっと」

「じゃあやめる、やらなくてもアルプス可愛いし」

「そうね」


 メイドがいなかったのでサラに手伝ってもらいながら赤の外着に着替える。そしてすぐにサラに連れられて部屋を出る。


「その服ちょっと派手じゃないかしら」

「え? スパイでもする予定?」


 よく見るとサラの服は私が持っている物と似ている運動着だった。


「まあ、そんなもんね。まあいいわ」


 サラは私達の部屋がある本館ではなく、騎士団や政治に関わる仕事の人達がいる別館に向かう。

 ここへは先日ポツダムの尾行をするときに訪れた。スパイ活動以外でも結構来てるケド。


「着いたわよ」

「え? ここって、食堂?」


 サラは真剣そうな顔で食堂に来たのか。お腹すいて朝早く私の部屋来ちゃうなんて、サラったら。


「注文は私に任せて、このオバチャンとは仲いいから!」

「ちっ、ちがうわよ! 私が来たのにはちゃんと理由があるのよ! ほら、あれ!」


 サラは一つの席を指差す。食堂は朝食を食べに来た人で結構混んでいるが、一つだけスカスカの席があった。

 その席には金髪の青年が一人で紅茶を飲んでいる。めっちゃ美形でどこか見たことあるような顔……。


「ポ、ポツダムッ!?」


 あの顔はポツダムだ。彼の顔はうるさいのであんまり見てなかった。

 昨日牢屋に入れた時も頭動かしてせいであんまり記憶ないし。


「ん、あ? ポツダムって牢屋入れたよね? 鍵かけて」

「そうよね? 私もびっくりしたわ。あなたまで忘れてたらどうしようかと……」


 サラは私の手を握る。


「アルプス、状況整理の為とりあえず聞き込みを……」

「お腹すいたからご飯食べよ!」

「え?」


 私達はA定食を頼み、一番空いてる席に座る。


「相席、いい?」

「え……アルプス様? と、サラ様?」


 混んでいる食堂の中、開いてる席は一つもなく、必然的にポツダムのいる席に座ることになった。

次回 第十四話 このルート存在しないってマ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ