スプリング・カーニバルに来てはいけなかった【ホラー・死亡フラグ】
これは、ホラー映画のあるあると、
死亡フラグのてんこ盛りだけで構成されたお話です。
登場人物たちは、自らフラグを立てて、次々に退場していきます。
叫び、逃げ、転び、恋を語り、童貞がなぜか生き残ります。
ホラー好きがニヤニヤできて、
怖がりな人も笑って読める、頭カラッポ推奨ホラー。
どうぞ、フラグが折れる音をお楽しみください
春の終わり。
郊外の移動遊園地「スプリング・カーニバル」に、
高校の仲良し6人組は最後の思い出作りにやって来た。
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登場人物(全員、死亡予定)
•ブレイク(運動部。筋肉枠)←先に心が死ぬタイプ
•ジェシカ(チアリーダー。ヒールでダッシュ可能)←SNS即投稿族
•ダグ(ポジティブすぎる陽キャ)←雰囲気ぶち壊し要員
•メグ(賢いが理屈っぽい)←オチを察するタイプ
•チャド(いじられギャグ要員)←気づいたときにはフラグ
•スコット(主人公。平凡な童貞)←これが最強の盾
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【開幕直後】
ブレイクの一言:
「この夏で、俺たちもバラバラだな……」
→死亡フラグ①:「最後の思い出」宣言
→これを言ったやつが残った試しがない
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【観覧車でデュオ退場】
ジェシカ&ブレイク、観覧車に乗る。
ブレイク、空を見上げてポエム開始。
「この町が好きだ。…こんな平和、ずっと続けばいいのにな」
→死亡フラグ②:「このままでいたい」「日常愛しすぎ型」
ガタン。観覧車揺れる。
ジェシカ:「なにこれ!落ち──」
ドォン。
ゴンドラ、綿あめ屋に着地(物理)。
→演出あるある①:死んだ後、衣類だけ落ちてくる
→ブレイクのタンクトップ、ふわり。
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【ジェシカ、逃げる…つもりだった】
ジェシカ、地面に飛び降りる(足グネ)→ダッシュ(ヒール)→転倒(様式美)
「平気、走れる。……大丈夫、たぶんもういないよ」
→死亡フラグ③:「もういない」って言ったやつほど後ろにいる
背後からアナウンス:
「ようこそ!スプリング・カーニバルへ!」
→録音音声からピエロが出るな!
ジェシカ、自撮り生配信で逃走開始:
「やばい、映ってる!?バズる!バズらせて!!」
→死亡あるある②:逃げながらスマホ構えるやつ、大体噛まれる
→スマホに残った最期の映像=ピエロ接近 → 真っ暗 → “いいね”の音だけ
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【ホーンテッドハウス・無許可入館】
メグ:「この屋敷、めっちゃ不気味じゃね?」
ダグ:「入ってみるしかないだろ!」
チャド:「出た出たホラー映画あるある〜」
→死亡フラグ④:「入らなくていい場所にノリで入る」
→幽霊屋敷の体で、実は旧監獄施設(実在)
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【死亡ラッシュ・ショートエディション】
ダグ:
「俺、この中でひとりで探索してくるわ」
→死亡フラグ⑤:「分かれよう」発言=即バラバラ回収コース
→カーテン裏から出てこない。靴だけが落ちてる。血まみれ。YES死亡演出。
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チャド:
「まさか、マジの幽霊とか思ってる? んなもんいるわけ──」
→上からピエロマスク。
→見上げた瞬間、頭ごと持ってかれる。
→死亡あるある③:「オカルト否定派は一番最初に持ってかれる」定番。
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メグ:
「ねえ、気づいてる? あのピエロ、何かに従ってる」
「映画的に言えば……私たち、“演じさせられてる”のよ」
→ピエロ、ピタッと立ち止まり、「正解」とつぶやく。
→死亡フラグ⑥:「仕組みに気づいたやつは次に消える」
→消灯。再点灯。メグの姿なし。黒板に「Rewritten」の文字。
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【スコット:童貞パッシブ発動】
ひとり残されたスコット。
汗だく。泣きそう。でもまだ生きてる。
ピエロが近づく。
スコット、震えながら叫ぶ。
「お、俺……童貞なんだ!」
→ピエロ、動きを止める。
沈黙。
ピエロ、背を向けて、帰った。
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【エンディング】
観覧車は止まり、屋敷は静まり返り、
スコットはぼそっと言った。
「これ、ホラー映画だったのか……」
ふと、地面に落ちていたタンクトップが風に舞う。
そして、どこからか聞こえるアナウンス。
「Thank you for visiting Spring Carnival. See you next scream!」
──完。
童貞だけが生き残るルール、発動。
ピエロは律儀。
遊園地にはまた、明日も客が来る。
今日いなくなった5人のことは、誰も覚えていない。
パンフレットには、ただこう書かれていた。
「Spring Carnival:笑って、叫んで、生き残れ」
——完。