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第9章84【新たなる風、揺れる過去】
かおるとアリシアが戦いの傷を癒すため、一時の平穏を求めて森の外れの小さな村へと向かっていた。そこは静かな場所で、長い戦乱に疲れた者たちがひっそりと暮らしている。
「ここなら少しは休めるかもな」かおるは呟く。
その村で、偶然にもセラと再会する。彼女は村の薬師として、人々のために静かに暮らしていた。
「かおる……久しぶりね」セラの瞳は少し驚きと安堵が入り混じっている。
かおるも驚いたが、懐かしさが胸をよぎる。
「セラ……ここで?」
セラは微笑みながら言った。
「争いばかりの世界だけど、私はここでできることをしているの。あなたも、休んでいきなさい」
しかし、二人の間に流れる空気は以前とは少し違っていた。過去のわだかまりや、まだ解決していない感情が影を落とす。
そして、村の平穏を脅かす新たな陰謀の影も徐々に迫っていた。
かおるとセラ、そしてアリシア。それぞれの想いが交錯する中、新章の幕が上がる。