第1章9【クロエの策略と、任務の裏側】
第9話です!頑張ってかいたので見てくれると嬉しいです!
翌朝、俺たちは荷馬車と別れ、ギルドへの報告のためラストリアへ戻った。
「無事に終わってよかったな、カオル」
ジークがいつもの軽口で笑い、俺は頷く。
「任務の報酬は受け取ってあるわ。ギルド長から直接」
クロエが、相変わらず飄々とした態度で封筒を差し出す。
「で、ひとつ気になることがあるのよね~」
「なに?」
アリシアが少し警戒したように眉をひそめた。
クロエは、笑顔を崩さずに言った。
「この任務、最初から“狙撃者”が来るのを想定してたでしょ?」
ジークとアリシアが一瞬だけ顔を見合わせる。
「まさか……あれ、罠だったのか?」
「ギルドには内通者がいる可能性があるって、上層部では噂になってるのよ。だから今回は“観察と確認”が主目的だったの」
クロエの目が鋭く光った。
普段の明るさとは違う、軍情報部の顔だった。
「君たちは囮だった……ってことか?」
「その言い方、ちょっとヒドくない?」
クロエはくすりと笑ったが、その裏に何かを隠している気配がした。
「でも、私が見た限り──カオルくん、あなたは“使える”わ。今後も一緒に動いてもらうかも」
アリシアが、クロエにチラリと鋭い視線を送る。
「……利用するなら、ちゃんと守ってね」
その言葉に、クロエは「ふふ」と楽しそうに笑った。
「じゃあ、次の任務もよろしくね。新人くんたち」
クロエはギルドの奥へと消えていった。
静かになった空間で、アリシアがぽつりと言う。
「なんか、面倒なことに巻き込まれてる気がするな……」
俺は笑ってごまかそうとしたが、心の奥に小さな不安が残っていた。