表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『転生違法世界 〜俺、バレたら即死です〜』  作者: 甲斐悠人
第八章【背徳の王都、告発者たちの影】
79/139

第8章71【静かなる朝、仮面の裏の気配】

今回の話からリリアはたぶん登場しなくなります。すみません…。

朝焼けが静かに部屋を染める。

かおるは天井を見上げながら、昨夜のアリシアとのやり取りを思い返していた。


(……近すぎたな、距離が。いや、あれはもう、キス未遂とか、そういうレベルじゃ……)


顔が熱くなる。思い出すだけで心臓が変な音を立てる。


「かおる、起きてるの?」

ノックと共に聞こえた声は、アリシアだ。


「お、おう。今、起きたとこ……」


扉の隙間から覗いたアリシアは、昨日よりもなぜか色っぽかった。シャツのボタンが一つ開いている。狙ってるのか、天然なのか、それはもう彼女にしか分からない。


「朝食、一緒に食べよ? ほら、昨日言ったでしょ。今週は“私が世話係”って」


「……それ、勝手に決めたよな?」


「異議ありなら、食事抜きでいいよ?」


「……いただきます」


朝食は、驚くほど家庭的だった。

卵にベーコン、焼いたパン。魔法も道具も使わず、手作りで。


「……うまいな」


「ふふっ、でしょ? 昔はね、こういうの毎日作ってたの。……家族のために」


かおるは、ふとアリシアの横顔を見た。寂しげな瞳に、過去の影が見えた気がした。だが、深くは聞けなかった。


***


その日の午後。セラが訪ねてきた。装備を少し簡素化したラフな姿。


「……来る途中、少し気配を感じた。見回りがてら、確認したけど」


「気配?」


「この町に“何か”が紛れ込んでいる。私もまだ、確証はないけど……ただの盗賊や追手じゃない、別の“属性”だと思う」


セラの声は真剣だった。かおるは頷いた。


(日常は、いつも長くは続かないってことか……)


アリシアも真顔に変わっていた。


「その“属性”って、例のあれ? 正体不明の“無”に近いやつ」


「たぶん。それが何かは、まだわからないけど……接触は避けたほうがいい」


会話の隙間に、不意に“空気の震え”があった。


セラがすぐに振り返る。かおるとアリシアも、同時に身構える。


だが――何も起こらなかった。


ただ一つ、窓の外に異様なほど黒い鳥がとまっていただけだった。


かおるは思う。

(この“静寂”が、嵐の前なのか……)


***


このまま、アリシアとの心の距離が縮まり、

セラと新たな共闘が始まり、

そして、“正体不明の敵”が静かに輪郭を表していく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あとがき: 読んでくださってる皆さまありがとうございます!書籍化目指して頑張るぞ!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ