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『転生違法世界 〜俺、バレたら即死です〜』  作者: 甲斐悠人
第八章【背徳の王都、告発者たちの影】
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第8章67【闇の王、目覚める】

かおるの眼前に現れた魔物は、その巨大さと禍々しさで空気を圧倒し、周囲のすべてを飲み込んでしまいそうだった。巨大な爪を引きずりながら、まるで神話に登場する怪物のように、その存在感を示している。


「これが最後の力か……?」


かおるは冷徹にその魔物を見つめ、無言で身構える。魔物は低い唸り声を上げながら、一気に前進してきた。その巨体が迫る中、かおるの体はまるで静止したように、冷静さを保ったままでいる。


その時、セラが後ろから駆け寄ってきた。


「かおる! これ、私たちだけじゃ無理よ!」


セラの声は切羽詰まっていたが、かおるはただ静かに彼女を見つめ返す。


「お前も戦うのか?」


「当然! こんな怪物を放っておくわけにはいかないでしょ?」


セラの目には決意の色が見える。これまでも幾度となく戦ってきた彼女だが、このような魔物との戦闘は初めてだ。しかし、もう迷っている暇はない。魔物の迫る足音が、徐々にその恐怖を増していく。


「わかった、協力しよう」


かおるは短く応じ、セラと共に戦闘態勢を整える。


その瞬間、魔物が一気に足を踏み出し、地面を震わせながらかおるに迫った。巨体から繰り出される爪の一撃が、まるで山を切り裂くかのように迫る。その攻撃をかおるは冷徹に回避し、セラと共に反撃を開始した。


セラは素早く魔物の左側に回り込み、手に持っていた短剣を振るう。短剣は魔物の硬い皮膚に浅い傷をつけるが、それでも魔物の動きは止まらない。逆に、魔物の巨大な爪がセラに向かって振り下ろされる。


「危ない!」


かおるが素早くセラを引き寄せ、その攻撃を自分の体で受け止める。かおるの体は驚異的な耐久力を持っており、魔物の爪を受けても倒れることはなかったが、その力は並大抵ではない。


「まだ足りない……!」


かおるは一気に距離を詰め、魔物の目に向かって鋭い一撃を放つ。その刃が魔物の目をかすめ、激しい怒声が響き渡る。


「くっ……! まだ倒れないか!」


魔物は眼前の攻撃に激しく反応し、その目を守るように前足を振り上げて防御する。その隙をついて、セラが再び攻撃を仕掛ける。


「かおる、今よ!」


セラの言葉に反応して、かおるは瞬時にセラを支え、二人で協力して攻撃を続けた。セラは素早く動き、かおるが引き寄せた魔物の隙を狙って剣を深く突き刺す。


その瞬間、魔物が地面に倒れこみ、破裂するような音が響いた。魔物は最後の力を振り絞って、かおるとセラを巻き込もうとしたが、その動きは鈍くなり、やがて完全に動かなくなる。


「ふぅ、なんとか倒したか……」


かおるは一息つきながら、セラの方を見た。セラも息を整えながら、ほっとした様子で彼に微笑んだ。


「うん、でもこれで終わりじゃないわよね?」


「当然だ」


かおるの答えに、セラは少し笑みを浮かべると、再び戦闘態勢を整えた。


その時、アリシアが遠くから駆け寄ってきた。彼女の顔には明らかに心配の色が浮かんでいた。


「かおる、大丈夫?」


「問題ない。だが、これで終わったわけではない」


かおるは真剣な表情で、再び周囲を警戒し始める。その目には、まだ何かが隠れている気配を感じ取っていた。


「おそらく……何かがまだ隠れている」


「隠れている?」


アリシアが聞き返すと、かおるはさらに目を凝らして周囲を見渡した。


その時、地面が再び震え始める。かおるとセラ、そしてアリシアは再度身構え、次の攻撃に備える。


その時、地面の裂け目から現れたのは、さらに巨大な魔物――先ほどよりもさらに強力な存在だった。かおるの目に宿る決意が、いよいよ輝きを放つ。


「今度こそ終わらせる」

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あとがき: 読んでくださってる皆さまありがとうございます!書籍化目指して頑張るぞ!
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