第1章7【初任務と、沈黙の狙撃者】
第7話です!今回は、ネタバレになるのでいいません!書籍化目指してるので応援お願いします!
護衛任務の集合場所は、ラストリア南門の外れ。
俺たちは早朝、まだ靄のかかる道を歩いていた。
「準備はできてるな?」
ジークが振り返る。
俺はうなずき、アリシアも短剣を腰に差し直した。
「で、なんであいつまで来るんだよ」
小声でアリシアがつぶやく。
振り返ると、いつの間にかクロエがこちらを歩いてきていた。
肩に小型の情報端末を装着し、嬉しそうに笑っている。
「だって私、現場観察も仕事のうちだもん♪」
「ただ見たいだけじゃ……」
アリシアは何かを言いかけたが、それ以上は口を閉ざした。
目的地は、ラストリアから少し離れた“黄砂の谷”。
そこに輸送物資を届ける途中、盗賊が頻繁に出るらしい。
「ま、よくある話だ。──ただし、今回は“妙な気配”がある」
ジークの言葉に、全員が警戒を強めた。
荷馬車を守りながら移動していたそのときだった。
──パン!
乾いた銃声が響き、護衛兵の一人が肩を撃たれて倒れる。
「スナイパー!? 高台だ!」
「全員、遮蔽物へ!」
すぐさま岩陰に伏せながら、俺はアリシアの腕を引いた。
「ありがとう……」
その声がかすかに震えていた。
すぐ横でクロエがメモを取っているのが目に入る。
「ふぅん、かおるくん、意外と男らしいところあるのね」
その言葉に、アリシアの眉がぴくりと動く。
「……ねぇ、クロエ。いちいち言わなくてよくない?」
「え? なにか悪いこと言った?」
戦闘の合間にも、火花のような会話が飛び交う。
だが次の瞬間、銃声が再び響き──
俺は、前に出たアリシアを庇うように身を投げ出した。
「かおる!!」
弾は俺の横をかすめ、地面を砕いた。
アリシアの目が、怯えと怒りと……ほんの少し、涙で揺れていた。
「もう……バカ!」
俺はふっと笑った。
「これでおあいこだろ? 今度は、俺が守った」
ジークの銃声が決着を告げ、狙撃者の位置が沈黙する。
任務は無事完了。
だが──俺の中で何かが変わり始めていた。