第7章62【神の牢獄へ ―禁じられた扉の先―】
長編は、これで終わりです!これからも応援よろしくお願いします!次の話からなぜか僕のミスでジークが登場してます。すみません…。
塔から脱出した夜。
かおるたちは、廃墟の小屋に一時的な拠点を設け、そこで休息を取っていた。
セラは外で見張っている。
アリシアだけが、かおるの隣に腰を下ろしていた。
「ねぇ、かおる」
「ん?」
「今日、死ぬかと思った。……あんたが飛び込んでいった時、本当に怖かった」
かおるは、苦笑いで目をそらす。
「でも助かったろ。俺に任せとけって」
「バカ」
アリシアは、かおるの胸を拳で軽く叩いた。
「ねぇ、あんたの『外側の力』って……もしかして、ずっと前から、私たちと違うって気づいてた?」
「……まぁな。でも、それを言えばアリシアもそうだろ。“風の巫女”なんて、他にいないんだから」
「……じゃあ、さ」
アリシアがそっと身を寄せる。
「違う者同士、抱き合うくらい、いいんじゃない?」
「お、おい……」
距離が近すぎる。
アリシアの髪がふわりとかおるの頬にかかり、彼女の指がかおるの胸元をなぞる。
「……ほら、言葉じゃなくて、ちゃんと……感じて?」
かおるの理性が焼ける。
この少女は、無意識に――いや、確信犯だ。
「……ほんと、反則だよ、お前は」
その瞬間、アリシアの唇がかおるの耳に触れるほど近づいて、そっと囁いた。
「今夜は、眠れないかもね?」
かおるは耐えられず、天井を見上げて天を仰いだ。
――理神官との死闘よりこっちの方が精神にくる。
そして、扉の外から聞こえてくるセラの声が、追い打ちをかけた。
「アリシア。貴様、また夜這いか」
「ば、ばか! ちがっ――いや、違わないけど! ちょっと邪魔しないでよセラ!!」
「隊長命令だ。出直せ」
「えええええええええ!!??」
塔での死闘のあとの夜、静かで……とても騒がしい夜が更けていく。