第7章62【神の牢獄へ ―禁じられた扉の先―】『長編2』
次で長編が終わります!長いけど、頑張って書いたので、最後まで読んでくれると嬉しいです!
第三部:封印領域
塔の内部は、想像以上に“静か”だった。
空気が動かない。時間が止まっているような感覚。
床は透明な結晶でできており、まるで宙に浮かぶような錯覚を覚える。
「……誰もいない?」
「いや、いる」
セラが低く唸るように言った。
「感じる。底知れない“視線”……この階層のどこかにいる」
その時だった。
“ようこそ、来訪者たち。”
頭の中に直接響く声。それは、人間の声ではなかった。
「自動音声……じゃない。意思を持った何かだ」
塔の中心部に向かう途中、光の柱が立ち上がる。そこに姿を現したのは、白いローブを纏った異形の存在だった。
「“理神官”……生体型情報管理者だ」
「なにそれ、意味わかんない……!」
アリシアがかおるの腕にしがみつく。
理神官は告げる。
“この施設への侵入は、『違法存在』の行動と判断されます。削除処理を実行します”
「違法存在って……まさか、俺のことか」
かおるが歯を食いしばる。
逃げても無駄だ。ここで戦うしかない。
───
第四部:決戦、理神官
理神官が指を掲げる。次の瞬間、空間が反転し、無数の“仮想の法則”が発動された。
魔法ではない。だがそれ以上に、現実を書き換えるような超現象。
「アリシア、セラ! 一度退け!」
かおるは前に出る。そして、自身の属性――“不適合者”の本領を解放する。
「おれは……“存在の外側”から来たんだ。お前らの論理なんて、知ったことかよ!」
異能を持たない、だがすべてを拒絶できる“無の力”。
理神官が放つ破壊波を、かおるの存在が“無効化”していく。
「貴様、属性無視……構造矛盾。存在論的脅威と認定」
「上等だ!!」
かおるは全力で飛び込む。セラが背後から支援の剣撃を飛ばし、アリシアが気流操作で足場を作る。
「いけっ、かおる!」
「壊れろ!!」
拳が炸裂する。
そして、理神官の身体が崩壊した。
───
第五部:封印の扉
「……終わった?」
アリシアが息をつく。だが、空間の奥から、さらに巨大な扉が現れる。
「これが……“神の牢獄”の本丸……!」
そこに刻まれていたのは、かおるが見たこともない文字列。だが、なぜか読めてしまう。
“天上より落とされし者、ここに永劫を眠る”
「まさか、ここに……“本物の神”がいるのか?」
扉が、かすかに軋む。
「……でも、開けるには三つの鍵がいる。理神官の中枢核はその一つ。残り二つ……!」
物語は、さらに深い核心へと向かって動き始めた。
───