表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『転生違法世界 〜俺、バレたら即死です〜』  作者: 甲斐悠人
第六章【記録戦争 -Record Conflict-】
55/139

第6章53【クロノスの遺児】

静まり返った記録管理庁の地下――

 その最奥に保管された“封印記録”に、セラは息を呑んだ。


「クロノス……。やっぱり、あなたは普通の転生者なんかじゃなかったのね、かおる」


 そこに記されていたのは、一万年以上前の“世界設計者”の名――クロノス。

 そして、現代に転生した「その遺児」の存在。


「まさか、転生自体が……“仕組まれていた”?」


 セラはデータ端末を閉じ、静かに立ち上がった。


「この真実を知ってしまった以上、私も動くしかない……!」


 


 一方その頃――


 かおるとアリシアは、湖畔の宿で束の間の休息を取っていた。


「……ふう。ようやく、風呂に入れたな」


「私、手当てしてあげる。背中、見せて」


「え、お、おい待て。お前、ちょっと距離が――」


「かおるのせいでしょ。私、さっきの戦闘で腕、こんなに擦りむいたんだから。ほら、感謝してよね?」


 不満そうに唇を尖らせながらも、アリシアは丁寧に包帯を巻く。


 ――だが。


「……」


 包帯の手が、ふと止まった。


「どうした?」


「……好き。かおるのこと」


 不意打ちだった。


 かおるの心臓が高鳴る。


「ずっと、言いたかったけど……あなたはきっと“どこかに行ってしまう”気がして」


 アリシアの声は、震えていた。


「でも、今日、決めたの。たとえどんな過去があっても、私はあなたのそばにいるって」


 かおるはゆっくりとアリシアの肩に手を置いた。


「……バカだなお前」


「……バカでいいもん」


 唇が、わずかに近づいた――


 その瞬間。


「かおる、いるか!? 緊急だ!」


 扉が荒々しく開かれた。


 セラだった。


「……空気読めよ……」


 アリシアが呟いた。


「急ぎだ。お前の“出生”が記録にあった。“クロノス”の名でな」


「……!」


 かおるの表情が一変する。


 


 クロノス――

 それは、この世界を設計し、属性体系を構築したとされる“原初の神”の名。


「もしそれが本当なら……俺は……」


「お前が何者かは、まだわからない。でも、敵が先に気づいたら……次はお前の命が狙われる」


 


 かおるは拳を握った。


「行こう。今度は、“自分の正体”を知るために」


 アリシアとセラが、かおるの両側に立つ。


「ならば、私たちも一緒に。どんな真実でも受け止めるわ」


 


 三人の物語は、再び動き出す――

 世界の“始まり”に迫る旅が、今、幕を開ける。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あとがき: 読んでくださってる皆さまありがとうございます!書籍化目指して頑張るぞ!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ