第6章48【アリシアと夜を重ねて】
夜は更け、隠れ家の中には誰もいないかのような静寂が広がっていた。
セラは眠っている。
だが、かおるはまだ眠れずにいた。
さっきのアリシアとのキス――思い出すたび、胸が熱くなる。
そんな時だった。
かすかな足音が、床を踏みしめる音が、背後から近づいてきた。
「……眠れないの?」
アリシアだった。
――だがその姿に、かおるは息を呑む。
ラフなシャツ一枚。下は……何も穿いていない。
白く長い脚が、月明かりに照らされ、ほのかに輝いていた。
「ちょ……おまえ、その格好……!」
「ふふ。やっぱり驚いた?」
アリシアはにじり寄るようにして、かおるのベッドに腰掛けた。
そして、首筋にそっと唇を寄せる。
「……ずっと、我慢してたのよ」
「アリシア……!」
「何度も命を懸けて、何度もお互いの背中を見てきて……
“好き”にならないわけないじゃない」
かおるのシャツのボタンに指をかける。
一つずつ、時間をかけて外していく。
肌に触れる彼女の指が、火照った皮膚をさらに熱くしていく。
そして――
唇が重なり、舌が絡み合い、深い吐息が漏れる。
「私だけを見て……。
この身体も、想いも、全部……かおるにあげる」
もはや理性など、とうに失われていた。
夜が明けるまで、二人は幾度も、互いの名を呼び合い、すべてをさらけ出し合った――。
そして朝。
淡い朝焼けが部屋を染める中、かおるは腕枕の中にいるアリシアを見つめながら、静かに思った。
(――守りたい。今度こそ、この絆も、この時間も)
だがその時、外の森から、異様な気配が迫ってくる。
“記録連盟の刺客”が、ついに動き出したのだ――!