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『転生違法世界 〜俺、バレたら即死です〜』  作者: 甲斐悠人
第四章【記録と嘘の図書館 編】
38/139

第4章36【記録の狭間】【後編】

後編です!これで、完結、、では、ないよー!

次の瞬間、かおるとアリシアは、虚無記録の“深層”へと引きずり込まれた。


 そこは、“書かれなかった物語”たちが、記録の端でさまよう領域。


 無限の分岐、失われた記憶、語られなかった真実。


 そして、その中心に彼女はいた。


「やっと、来たのね。かおる」


 少女――カガリ・ユキ。

 だが、彼女の姿は時々“別人”と重なって見えた。セリア。クロエ。ジーク。すでに死んだはずの仲間たちの顔。


「……お前、何者なんだ」


「私は、“物語の外側”から来た者。君と同じ。“記録違法者”の、原型よ」


 カガリの手がかおるへと伸びる。


「君はね、ここで“終わる”はずだった。でも……誰かが君を物語にねじ込んだ。だから、君は“バレたら即死”の運命なのよ」


 その言葉に、アリシアが立ちはだかる。


「かおるは、そんな不完全な存在じゃない。私がずっと見てきた。彼は“今を生きてる”。その事実こそが、記録だわ!」


 叫ぶ彼女に、カガリは悲しげに微笑む。


「それが――一番危険なの」


 カガリが指を鳴らすと、記録の断片が無数に降り注いだ。かおるを“削除”するように。


「かおるを……返してもらうわ」


 そのとき、アリシアが彼の手を強く握った。


「私の記録に、かおるを“刻む”!」


 彼女の瞳が強く輝いた瞬間、周囲の記録が“再構成”される。


 アリシアの想いが、新たな“記録”を作っていく。――未来の記録だ。


「君は、ここにいる。それだけでいいの!」


 記録が光を放ち、虚無空間が砕けていく。

 カガリの姿もまた、霧のように薄れていった。


 ――かおるが選んだ“今”が、“違法”を超えて世界に刻まれたのだ。



---



塔の外。

 夕暮れの風が吹く中、かおるとアリシアは並んで歩いていた。


「……やっと、終わった?」


「いや、始まったんだと思う」


 かおるは、空を見上げて呟く。


「これからは、記録じゃなくて、“俺たち自身の物語”を生きていくんだ」


 アリシアは微笑み、そっと彼の手を握った。


「だったら、私はずっと君のヒロインでいる」


「……お前な、照れるだろ」


「ふふ、真っ赤」


 二人の笑い声が、塔の記録にも残らない“本物の感情”として、夕空に溶けていった――。

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あとがき: 読んでくださってる皆さまありがとうございます!書籍化目指して頑張るぞ!
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