第3章26【狩人部隊襲来、記憶の罠】
転移亀裂から現れたのは、王国直属の精鋭・狩人部隊。
黒装束に顔を覆った、6人の殺し屋たちだった。
「確認、違法転生体E-000……殺害命令、発令」
かおるは魔法を一切使わず、《再現記憶》で彼らの戦闘パターンを一瞬で思い出す。
それはかつての王都で、ジークと訓練中に遭遇した狩人の動き。
「アリシア、右から回り込んでくる!下段に切り返しが来る!」
「っ、了解!」
アリシアはかおるの指示を頼りに、相手の動きを封じていく。
かおるは事前に仕掛けておいた罠を起動。
地面に埋めた“罠付き木杭”が、敵の足元を貫く。
「くっ……!」
「魔法がなければ勝てないとでも思ったかよ。俺は“記録”してるんだ、お前らの全部を!」
だが、敵の隊長が一言つぶやく。
「ならば、こちらも“記録破壊”を開始する」
次の瞬間、隊長の掌に現れたのは、クロエの記録断章。
「クロエ……っ!」
「これがなければ、お前はもう“記録の王”ではない。記憶も、力も、奪わせてもらう」
隊長が断章を折ろうとしたその時、一発の銃声が空気を裂いた。
「それに触るなよ……それは、あの子の“命”なんだ」
現れたのは、イリナ。
魔法ではなく、純粋な火薬式銃。
古代兵器を密かに修理していたのだった。
「……“力”じゃなく、“記録”と“覚悟”で勝つ。それが、あんたたちにはわからない」