第3章25【イリナの過去と、世界の歪み】
下書きの残りがなんとあと、15話分しかない!だから今日はあと、3,4話投稿します!これからも応援お願いします!
イリナの部屋は、まるで図書館のようだった。壁一面に魔導書と記録の束が並んでいる。
「……ここが、私の居場所。十年、この世界で生きるために全部調べてきた」
イリナは魔法陣を展開すると、中央の床に一冊の本を置いた。
表紙には「第六観測計画:対象E-000」と記されている。
「これ、あんたが記録されてた文書だよ……かおるくん」
「俺が……“記録”されてた?」
イリナは頷き、静かに語りはじめた。
「私は、政府機関“異世界管理機構”の観測対象として、この世界に送り込まれた。
本来は、あなたのような“逸脱因子”を監視するために」
「じゃあ、お前は……敵だったのか?」
「……違う。私は、ただの観測者だった。でも、十年生きて、知ったの。
この世界は、ただの“転生ゲーム”なんかじゃない。
生きてる人間を、記録として消費する“装置”だってことを」
かおるの脳裏に、クロエ、セリア、ジークの最期が浮かぶ。
「イリナ……」
「かおるくん。私は、記録者をやめる。あなたと一緒に、この世界の真実を暴く側に回る」
まっすぐな瞳で見つめられ、かおるは黙って頷いた。
その時――部屋の外から怒鳴り声。
「イリナ!おい、外部からの転移反応だ!」
かおるとイリナが飛び出すと、里の空に黒い亀裂が走っていた。
そこから、王国の紋章を背負った“狩人部隊”が現れた。
「……来たな。俺を潰すために」
かおるは懐から《記録断章》を取り出した。
今、戦いが再び始まる。