第3章24【転生者会議と、イリナの告白】
翌朝、かおるとアリシアは、“転生者の里”の広間に呼び出されていた。
そこには、かおると同じようにこの世界に転生してきたという数名の人物たちが集まっていた。
・元自衛官の青年、ハヤト。
・元研究者の女、レナ。
・そして案内役だった少女、イリナ。
「……まずは、あんたが“記録保持者”ってやつなのか、確認させてもらうよ」
ハヤトが警戒した視線を向ける中、かおるは胸元から“転生記録”の一部を取り出した。
「これは、クロエって仲間が……命を懸けて託してくれた。絶対に無駄にはしない」
その言葉に、ハヤトとレナの表情が少し和らぐ。
「なら、俺たちはあんたに賭ける」
短く、だが力強くハヤトが頷いた。
それを合図に、イリナがかおるの隣へと歩み寄る。
「……あなたの能力、《再現記憶》。それ、使いこなせるようになりたいでしょう?」
「……え?」
「実は、私も“記憶系能力者”。あなたに、教えられることがあると思う」
イリナは、感情の起伏が乏しいが、その瞳だけはどこか切実だった。
「かおるくん。……あなたと、共に戦いたいの。私の過去も、知ってほしい」
そう言って、イリナは自室へとかおるを誘った。
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その夜。
アリシアは一人、かおるの帰りを待っていた。
手には握りしめたままの、昨夜、かおるの寝顔をこっそりスケッチした紙。
「……あたし、ちょっとだけ、焦ってるかも」
小さくつぶやいたその声は、誰にも届かない。
“かおるを中心に、世界が動き始めている”。
それを、彼女だけが一番強く感じていた。