第2章14【正体不明の少女と、動き出す夜】
今日だけで14話も公開したぞ!いろいろアイデアを考えていたので、いっぱい描けました!いまのところ第32話まで考えてあるのでどんどん投稿していこう思います!お楽しみに!
その夜。村は静かに眠っていた――はずだった。
ガンッ!
「うおおっ!?」
宿の壁を突き破って、俺は外へ吹っ飛ばされた。
「ちょ、誰!? まだ夜中! 睡眠時間返せえ!」
立ち上がる俺の前に立っていたのは、全身黒装束の男。そしてその後ろにいたのは――
「……た、助けて……!」
ボロボロの服をまとった少女だった。
その一瞬、俺の体が動いた。
「やめろ! そいつに手ェ出すな!」
「黙れ、対象は回収命令だ。抵抗するなら、処理対象を追加する」
その言葉に、スッと俺の視界が冷たくなる。
――こいつ、完全に“実戦”慣れしてやがる。
「なら、俺が“処理されない側”ってこと、教えてやるよ……!」
刹那、地面を蹴って間合いを詰める!
剣を引き抜き、逆袈裟に一閃――
ガギィンッ!!
敵の短刀と俺の刃が交差し、火花が散る。
「反応は上出来……だが、軽い!」
男が背後に回りこむ――だが!
「おっと、読めてるんだよっ!」
俺の“銀属性”がうなる。
予備動作から反転を予測し、肘で一発、カウンター!
「ぐっ……!」
男が一瞬よろめいたその隙に――
踏み込んで、脇腹へ“突き”を叩き込む!
ズドン!
「ぐはっ……!」
敵は吹き飛ばされ、民家の壁に突っ込んで気絶。
そのとき、屋根の上からクロエが降りてきた。
「やるじゃない、カオル。少し見直したわ」
「もうちょい早く援護くれてもよくない!?」
「“これはいける”と思って見てたのよ。なかなかの見応えだったわ」
「俺は闘技場の見世物か……!」
そして、怯えていた少女が、恐る恐る俺に近づいてきた。
「……ありがとう。でも、私……“黒翼団に作られた存在”なの」
「……“作られた”?」
言葉の意味を理解する前に、俺の胸に強烈な違和感が走った。
――この子、普通じゃない。
この夜、俺たちは“敵が人ではない”ことを初めて知ることになる。