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第12章119【灯籠の行方、二人の足跡】
夜の川辺を歩くかおるとアリシア。 柔らかな灯籠の光が、水面にゆらゆらと映っていた。
「……あのふたり、妙に気になるな」 かおるが言うと、アリシアもうなずく。
「“第二の審判”って、ただの挨拶にしては意味深すぎるわ」
「ま、どっちにせよ……今は考えても仕方ない」
ふたりは手を繋いだまま、出店の並ぶ広場へと戻る。
人混みの中で、笑い声が弾ける。
「……なあ、アリシア」 「なに?」 「こうしてると、普通の“日常”ってのも、悪くないって思えるよ」
アリシアは、少し照れくさそうに微笑んだ。
「……そうね。悪くないわ」
灯籠が一つ、風に乗ってふわりと舞い上がる。 それはまるで、ふたりの未来を静かに照らしているかのようだった。