第2章13【田舎の村と、はじめての“作戦”】
第13話です!みてねー
「……なにこの村、静かすぎない?」
ギルドから任務を受けた俺たちは、街道を3日歩いた先にある山あいの村に来ていた。
目的は“黒翼団の痕跡”の調査――なんだけど。
「住人の目が、全員こっちを避けてる。っていうか……閉めてる、ドア」
アリシアが小声で言った。
「わかる。人がいる気配はするのに、歓迎ゼロ。なんだこれ、俺、何かした?」
俺が苦笑いで言うと、クロエが静かに答える。
「これは、恐れてるのよ。外から来た“戦える人間”をね」
ジークは首をかしげる。
「それって、つまり――?」
「この村……すでに黒翼団の“実験場”になってる可能性がある」
クロエの言葉に、一瞬空気が張り詰めた。
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俺たちは“宿”らしき建物を借り、作戦会議を始める。
「今回は、3班に分かれて動く」
クロエが地図を机に広げながら言った。
「私は村の記録庫を調査、ジークとアリシアは住人と接触して情報収集。
カオル、君は――」
「俺は?」
「“監視者を釣る”おとりよ。あ、あと荷物持ち」
「また俺だけ“サブ任務”多くない!?」
「安心して。釣れたら、即座に私が潰すわ」
何が安心なのかわからない。
翌朝、俺は単独で村の端をうろつきながら、“わざと目立つ行動”を取っていた。
──そのときだった。
「……動くな。剣を捨てろ」
背後に低い声。
振り向くと、顔の下半分を隠した青年が、短剣をこちらに向けていた。
「お前……黒翼団か?」
「その言葉を知っている時点で、消す理由は十分だな」
だが、そのとき――
ザンッ!
屋根の上から、矢が青年の足元をかすめる!
「……仲間か。ちっ、失敗したか」
青年はそのまま煙玉を投げ、姿を消した。
――けど、その目。
俺は、あの目に“何か知っている”光を感じた。
「クロエ、今の見た!?」
「ええ、記録したわ。あとで拷問……いえ、“事情聴取”用に情報をまとめておく」
「なんで一瞬、物騒な言葉出た……?」
こうして俺たちは、村に潜む“影”の輪郭に一歩近づいた。
それと同時に、ここがただの調査任務じゃないことも、はっきり分かってきた。