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第12章112【崩壊の序章、染まる大地】【後編】
すみません。日常回は終わりです。戦いを久々にかきたくなったので、かきます。
残されたのは、かおるとアリシアだけだった。
沈黙。 嗤う影たちの声だけが響いていた。
「……終わったのか、これで……」
呟くアリシア。涙を浮かべながら、剣を構える手は震えていた。
「いや……」
かおるが一歩、影に向かって踏み出す。その足取りは重く、しかし確かだった。
「終わってたまるか……こんなやり方で、奪われてたまるか……」
全身から、黒と紅が混ざった魔力が溢れ出す。怒りと悲しみが混ざった、制御不能な衝動。
「俺は……俺は、おまえらを許さない!!!!」
大地が揺れる。空が裂ける。 かおるの力が暴走寸前まで膨れ上がる。
「かおる、ダメよ! あなたが壊れちゃう!」
アリシアが叫ぶ。だが、もう彼の瞳には理性はなかった。仲間を殺された男の、獣のような咆哮だけが、世界に響いていた。